2016年08月03日

本資料は、米バイオジェン社が 2016年8月1日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳を参考資料として発表させていただくものです。よって必ずしも日本の状況を反映したものでないことをご了承ください。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

バイオジェンとIONIS社:ヌシネルセンが乳児期発症型脊髄性筋萎縮症に対する第3相ENDEAR試験の中間解析で主要評価項目を達成

バイオジェンは今後数カ月のうちにヌシネルセンの承認申請を予定
バイオジェンはヌシネルセンをグローバルレベルで開発・製品化するオプション権を行使

マサチューセッツ州ケンブリッジ、カリフォルニア州カールスバッド – 2016年8月1日:バイオジェン       (NASDAQ略号: BIIB)とIonis Pharmaceuticals(NASDAQ略号: IONS)は、両社が開発中の脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬候補であるヌシネルセンが、乳児期発症型(1型と同等)のSMA患者対象の第3相試験であるENDEAR試験の中間解析において規定の主要評価項目を達成したと発表しました。この解析では、ヌシネルセンの投与を受けた乳児が、運動マイルストーンにおいて、治療を受けなかった群に比べて統計的に有意な改善を示しました。ヌシネルセンは、この試験において、忍容できる安全性プロファイルを示しました。この結果、バイオジェンは、ヌシネルセンを全世界で開発・製品化するオプション契約を行使し、Ionis社に7,500万ドルのライセンス料を支払いました。バイオジェンは、今後数カ月のうちに世界の主要各国の規制当局に対する承認申請を行います。

バイオジェンのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるアルフレッド・サンドロックM.D., Ph.D.は次のように述べています。「この臨床試験に参加してくださった家族の皆さんに感謝しています。このプログラムに尽力いただいた治験担当医の皆さんはじめ、多くのSMA関係者にもお礼申し上げます。こうした方々のご協力なくして今日を迎えることは不可能だったでしょう。遺伝的要因による乳児死亡の最大の原因であるSMAの初の治療薬を、この非常に厳しい疾患に直面しているご家族にお届けするにあたり、当社はSMA関係者の皆さんの緊急性を痛感しています。私たちは、より大きなSMA患者母集団におけるヌシネルセンの今後の可能性の追求に邁進し続ける決意です。また、進行中の複数の試験を早急に完了すべく注力してまいります」。

予め規定されていた中間解析の結果を受けてENDEAR試験は終了し、試験参加者は非盲検のSHINE試験に移行することが可能になります。この試験では全ての患者さんがヌシネルセンの投与を受けることになります。ENDEAR試験のその他の評価項目については、全データがそろった時点で解析される予定です。結果は今後、学会で発表されることになります。さらに、同じく乳児期発症型患者さんを含む第2相試験であるEMBRACE試験のシャム対照群に登録した患者さんには、ヌシネルセンの投与を受ける機会を提供します。

CHERISH 試験(2型と同等の遅発型)やNURTURE試験(発症前の乳児) などのヌシネルセンの他の試験は、これら母集団におけるヌシネルセンの安全性と有効性のデータを収集するために当初の予定通り継続します。

Ionis Pharmaceuticalsの最高執行責任者(COO)であるB. Lynne Parshallは次のように述べています。「ヌシネルセンが承認されれば、SMAの患者さんとご家族の生活と人生が有意義な変化を遂げると強く期待しています。バイオジェンと協働の上、臨床試験プログラムを完了し、規制当局による肯定的な審査に備えたいと考えています。ヌシネルセンは当社の神経疾患領域から当局の審査に進む初のアンチセンス薬です。このことは、その他の治療選択肢では適切に治療できない重篤な疾患に対する当社のアンチセンス技術の可能性を具体的に示すものです」。

Cure SMA(米国の患者団体)のケネス・ホビー会長は次のようにコメントしています。「本日はこの重篤な疾患の研究開発を懸命に支えてきたSMA関係者にとって希望に満ちた日です。私たち家族の多くが、SMAの解明を進めるために、臨床試験に参加しています。私たちは、今回の重要なマイルストーンの達成に胸を躍らせており、試験結果によって創出される機会により、SMAの初の治療選択肢が患者と家族にもたらされることに興奮しています。私たちは、治療法、ひいては完治させる方法を手にするまで、SMAの研究に粘り強く協力していきます」。

バイオジェンは、今後ヌシネルセンを開発・申請・製品化するためのあらゆる活動に責任を持ち、コストのすべてを負担します。Ionis社は第3相試験を完了させ、バイオジェンとの協力のもとで承認申請を行います。両社は、Ionis社が実施中の臨床試験プログラムをバイオジェンに移行させるための作業も共同で行います。Ionis社には、ヌシネルセンの予想売上に対する段階的なロイヤルティを最大で十数パーセントを受け取る権利があります。また、承認の進捗状況に応じて最大1億5千万ドルのマイルストーンの支払いを受けることになります。

 

ヌシネルセン臨床試験プログラム

ヌシネルセン第3相試験はENDEAR試験と CHERISH試験という申請を前提とした2つの試験で構成されています。ENDEAR試験は13カ月にわたる試験であり、乳児期発症型SMAの患者さん122名において ヌシネルセンの研究を行います。乳児期発症型SMAとして、SMAの兆候と症状が生後6か月以下で現れ、かつ生後7カ月以下の検査でスクリーニングされた症例を対象としています。試験の早期段階で得られた結果、および規制当局関係者との議論で得られた結果に基づき、「ハマースミス乳児神経学的検査」(HINE)の運動コンポーネントからの運動マイルストーンレスポンダーを評価する主要評価項目が今年になってENDEAR試験に追加されました。

CHERISH試験は、15カ月にわたる試験であり、遅発型SMAの126名の歩行のできない患者さんにおいてヌシネルセンを研究するものです。遅発型SMAとは、兆候と症状が生後6カ月以降で現れ、かつ2歳から12歳までの期間の検査でスクリーニングされた症例を対象としています。CHERISH試験は、2016年5月に患者登録が完了しています。

さらに、非盲検延長試験のSHINE試験はENDEAR試験とCHERISH試験に参加した患者さんのための試験であり、オープン試験としてヌシネルセンの長期的な安全性と忍容性を評価することを目的としています。

二つの追加的な第2相試験であるEMBRACE試験とNURTURE試験はヌシネルセンについての追加データを収集するために設計されました。EMBRACE試験は、ENDEAR試験またはCHERISH試験において、年齢等の基準を満たさない乳児期発症型または遅発型SMA患者さんの小規模なサブセットについての追加データを収集するために設計されています。NURTURE試験は発症前に治療することでSMAの発症を予防または遅延させる効果があるかどうかを判断するために、初回投与時に生後6週間以下の発症前の乳児を対象に進行中の試験です。これらの試験はいずれもグローバル規模で実施されています。

 

SMA について1-5

脊髄性筋萎縮症(SMA)の特徴は、脊髄および下位脳幹における運動ニューロンの欠損であり、重篤で進行性の筋萎縮や筋無力を引き起こします。最後には、最も重篤なタイプのSMAの患者さんは麻痺を起こし、呼吸や嚥下など生命維持のための基本的な身体機能に支障をきたす恐れがあります。

SMN1遺伝子の欠損または損傷により、SMAの患者さんは運動ニューロン維持に必要な生存運動ニューロン(SMN:Survival Motor Neuron)タンパク質を十分に産生することができません。SMAの重篤度はSMNタンパク質の量と相関関係があります。最も重篤で生命を脅かす1型SMAの患者さんではSMNタンパク質がほとんど生成されず、支えなしに座ることや呼吸器による補助なしに2年以上生存することができません。2型と3型の患者さんでは、より多くのSMNタンパク質が生成され重篤度も下がりますが、日々の生活と人生に困難を強いられます。

現在、SMAの根本治療として承認された治療法はありません。

 

ヌシネルセンについて 

ヌシネルセンはSMAの治療薬として開発中の疾患修飾療法剤です6。ヌシネルセンはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であり、SMN1とほとんど同じ遺伝子であるSMN2のスプライシングを変えるよう設計されています。その目的は完全に機能するSMNタンパク質の産生を増やすことにあります7。

ASOは標的RNAと結合して遺伝子発現を調節するよう設計された短鎖の合成ヌクレオチドです。このテクノロジーを使うことで、ヌシネルセンは機能的SMNタンパク質の量を増やす潜在力を備えています。

米国と欧州連合の規制当局は、審査プロセスを早めるため、米国ではオーファンドラッグ指定、ファスト・トラック指定を付与し、EUでもオーファンドラッグに指定するなど特別な配慮を提供しています。

次に掲げる組織のヌシネルセンに対する支援に謝辞を申し上げます。筋ジストロフィー協会、SMA財団、Cure SMA、およびコールド・スプリング・ハーバー研究所とマサチューセッツ大学医学部からの知的所有権のライセンス。

 

バイオジェンについて

最先端の科学と医学を通じて、バイオジェンは神経変性疾患、血液疾患、自己免疫疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者様に提供します。1978年に設立されたバイオジェンは、世界で最も長い歴史のある独立したバイオテクノロジー企業の一つであり、多発性硬化症と血友病の治療法における先進性と革新性で世界中の患者さんに貢献しています。製品情報、プレスリリース、同社に関するその他の情報については、http://www.biogen.com およびバイオジェン社専用Twitter(https://twitter.com/biogen)をご覧ください。

 

Ionis Pharmaceuticalsについて

Ionis社はRNA標的化医薬品の発見と開発におけるリーディング企業であり、重篤な希少疾患など最もアンメットニーズの大きい患者さんのための医薬品開発に注力しています。Ionis社は独自のアンチセンス技術を使い、ファースト・イン・クラスとベスト・イン・クラスの医薬品の大規模なパイプラインを構築してきました。このパイプラインには12種類以上の中期から後期の開発品が含まれています。現在、第3相試験が行われている医薬品の中でもvolanesorsenについては100%子会社のAkcea Therapeuticsを通じての製品化を計画中です。Volanesorsenは家族性カイロミクロン血症症候群または家族性部分的リポジストロフィーの治療薬です。IONIS-TTRRxはIonis社がGSKと共同開発している医薬品であり、あらゆる形態のTTRアミロイドーシスの患者さんの治療薬です。ヌシネルセンはバイオジェンと共同開発中の、脊髄性筋萎縮症の乳児と小児対象の治療薬です。Ionis社の特許は同社の医薬品とテクノロジーを強力かつ幅広く保護しています。Ionis社についての追加情報は次のサイトで入手できます。www.ionispharma.com

 

 

1. Darras B, Markowitz J, Monani U, De Vivo D. Chapter 8 - Spinal Muscular Atrophies. In: Vivo BTD, ed. Neuromuscular Disorders of Infancy, Childhood, and Adolescence (Second Edition). San Diego: Academic Press; 2015:117-145. 
2. Lefebvre S, Burglen L, Reboullet S, et al. Identification and characterization of a spinal muscular atrophy-determining gene. Cell. 1995;80(1):155-165. 
3. Mailman MD, Heinz JW, Papp AC, et al. Molecular analysis of spinal muscular atrophy and modification of the phenotype by SMN2. Genet Med. 2002;4(1):20-26. 
4. Monani UR, Lorson CL, Parsons DW, et al. A single nucleotide difference that alters splicing patterns distinguishes the SMA gene SMN1 from the copy gene SMN2. Hum Mol Genet. 1999;8(7):1177-1183. 
5. Peeters K, Chamova T, Jordanova A. Clinical and genetic diversity of SMN1-negative proximal spinal muscular atrophies. Brain. 2014;137(Pt 11):2879-2896. 
6. Rigo F, Hua Y, Krainer AR, Bennett CF. Antisense-based therapy for the treatment of spinal muscular atrophy. J Cell Biol. 2012;199(1):21-25. 
7. Hua Y, Sahashi K, Hung G, Rigo F, Passini MA, Bennett CF, Krainer AR. Antisense correction of SMN2 splicing in the CNS rescues necrosis in a type III SMA mouse model. Genes Dev. 2010 Aug 1;24(15):1634-44. 

 

 

その他のプレスリリース

  • 2016年11月10日バイオジェンとIONIS社:ヌシネルセンが遅発型脊髄性筋萎縮症に対する第III相CHERISH試験の中間解析で主要評価項目を達成
  • 2016年10月13日脊髄性筋萎縮症の治療薬候補ヌシネルセンの有効性の可能性を裏付けるデータを国際筋研究会議で発表
  • 2016年09月29日バイオジェンが脊髄性筋萎縮症の治療薬候補ヌシネルセンの段階的申請方式でのFDAへの承認申請を完了
  • 2016年09月08日バイオジェン・ジャパン:日本法人も分社・新会社設立
  • 2016年09月05日バイオジェンが開発中のアルツハイマー病治療薬aducanumabがFDAの優先承認審査制度に指定