2016年10月13日

本資料は、米バイオジェン社が 2016年10月8日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語訳として発表させていただくものです。よって必ずしも日本の状況を反映したものでないことをご了承ください。内容につきましては原本である英文が優先します。

- 乳児期発症型脊髄性筋萎縮症に関する第III相試験の安全性に関する初期データが、治験薬関連の有害事象を伴わない、好ましい安全性プロファイルを示す –
– 進行中の第II相非盲検試験の解析により、発症前の乳児における有効性を示す –

マサチューセッツ州ケンブリッジ、カリフォルニア州カールスバッド – 2016年10月8日:バイオジェン(NASDAQ略号: BIIB)とIonis Pharmaceuticals(NASDAQ略号: IONS)は、ヌシネルセンに関する臨床試験で得られた新たなデータについて、スペインのグラナダで開催された2016年国際筋研究会議(World Muscle Society)において発表しました。発表には、乳児期発症型(1型を発症する可能性が高い)の脊髄性筋萎縮症(SMA)患者対象の第III相ENDEAR試験の中間解析で得られた安全性に関する結果を含み、SMA発症前乳児を対象とした第II相非盲検NURTURE試験の良好な中間解析結果、および遅発型SMA(2型と3型と同等)の患者を対象とした進行中の第II相非盲検試験の最近の解析結果が含まれました。

バイオジェンのSMA臨床開発担当シニア・ディレクターであるウイルドン・ファーウエルは次のように述べています。「ヌシネルセンの臨床プログラムでは、全般的に一貫性のある良好な結果が示されたことに、私たちは引き続き勇気づけられています。これらの結果には、SMA症状を示す前に投薬を受けた乳児についての初めてのデータも含まれています。NURTURE試験は、遺伝的にリスクがあるSMA発症前の乳児において治療薬候補を評価するための初の試験です。この解析においては、最長1年間の治療を受けた乳児が、1型SMA患者さんで観察される典型的な発達過程での変化よりも、より正常発達に近い時系列の運動マイルストーンを達成しています」。

バイオジェンは米食品医薬品局(FDA)に対するヌシネルセン承認に向けた新薬承認申請(NDA)の段階的提出を完了しています。欧州医薬品庁への販売承認申請の提出は翌週行われる予定です。バイオジェンは、今後数カ月のうちに他国でも承認申請を行う予定です。

 

第III相ENDEAR試験の中間データ

乳児期発症型SMA対象の第III相ENDEAR比較対照試験の中間解析において、ヌシネルセンによる治療を受けた乳児が主要評価項目において統計的かつ臨床的に有意な改善を示しました(p<0.0001)。主要評価項目は、運動マイルストーンレスポンダーの割合で評価し、「ハマースミス乳児神経学的検査」(HINE)を用いて計測されました。レスポンダーとは、病状が悪化した場合に比べ、より多くの運動マイルストーンのカテゴリー(キッキング、頭部のコントロール、寝返り、おすわり、ハイハイ、起立、歩行)において改善した患者さんの基準により評価されました。

ヌシネルセンの忍容性は一般に良好であり、安全性のプロファイルも許容範囲でした。治験薬関連の有害事象(AE)はほとんど示されませんでした。良好な中間解析結果に基づき、患者さんは非盲検延長試験SHINE試験へ移行することでヌシネルセンの投与を受けることができます。患者さんの移行後、ENDEAR試験は終了となります。詳細な有効性データは、参加者がENDEAR試験における通院を終了後、今後の医学会議で発表されます。

 

発症前のSMAの患者さんにおける初の臨床データ

進行中の非盲検、30カ月、第II相NURTURE試験の中間解析では、ヌシネルセンで治療を受けた乳児が運動機能に加え完全な頭部コントロール、一人座り、つかまり立ち、ひとり立ち、伝い歩きなど運動マイルストーンの改善が示されました(バリデーションされた評価尺度で測定)。主要評価項目は、呼吸器による介入(1日6時間以上の侵襲的あるいは非侵襲的ベンチレーションを7日間以上連続または気管開口術)または、死亡までの期間と定義されました。中間解析時点で全ての患者さんが生存しており、呼吸器による介入も不要でした。この解析には遺伝子により診断された13名の発症前の患者さんのデータが含まれています。これらの患者さんの中間解析までの試験参加期間は、最短で64日間、最長で13カ月間でした。3名の乳児がヌシネルセンと関連する可能性があるAEを認めましたが、全例で回復しました。さらに、試験を中止または参加を取りやめた乳児はなく、新たな安全上の懸念は示されませんでした。NURTURE試験は現在も海外において実施中であり組み入れも進められています。

Ionis Pharmaceuticalsの上級副社長であるC. Frank Bennett, Ph.D.は次のように述べています。「これらの知見はヌシネルセンの潜在的可能性を裏付けるものであり、私たちはこの治験薬による治療に注力し続け、患者さんとご家族に一日も早くお届けできるよう全力を尽くします。治験担当医、患者さん、ご家族の決断とご協力なしにヌシネルセンをこれほど早く開発することは不可能であり、心より感謝しています」。

   

進行中の非盲検第II相試験からの裏付けデータ

さらに、28名の遅発型SMA(2型と3型と同等)の患者さんにおける非盲検第II相試験からの探索的な有効性と安全性のデータ(CS2/CS12)によると、ヌシネルセンによる治療を受けている子供たちが、複数の尺度で見て、3年近くにわたり運動機能の改善を示しています。これらの結果は、遅発型SMAの患者さんに多く見られるスコアの緩慢な悪化とは対照的なものです。全般的に大半のAEは軽度から中等度であり、ヌシネルセンとの関連性は考えられませんでした。治験薬関連の重篤な有害事象(SAE)は存在しませんでした。

 

 

ヌシネルセン臨床試験プログラム

ヌシネルセン臨床試験プログラムはENDEAR試験とCHERISH試験という二つの検証試験で構成されています。ENDEAR試験は乳児期発症型SMAの患者さん122名の13カ月にわたる試験としてデザインされました。これらの患者さんは、SMAの兆候と症状が生後6カ月以下で発現し、かつスクリーニング時の年齢が生後7カ月以下でした。予め規定されていた中間解析の結果に基づき、ENDEAR試験は終了します。希望する患者さんに対しては、現在SHINE試験(非盲検)への移行を行っており、本試験では全員がヌシネルセンの投与を受けることになります。ENDEAR試験の中間解析の結果は今後の医学会で発表される予定です。

CHERISH試験では15カ月にわたり、126名の歩行不能な2型と同等の遅発型SMAの患者さんにおいて、ヌシネルセンの試験が行われています。これらの患者さんは、SMAの兆候と症状が生後6カ月以降で発現し、かつスクリーニング時の年齢が2歳から12歳の間でした。CHERISH試験は2016年5月に患者登録が完了しており、現在も進行中です。

SHINE試験(非盲検)はENDEAR試験とCHERISH試験に参加した患者さんの非盲検延長試験として実施されます。ヌシネルセンの長期的な安全性と忍容性を評価するようデザインされたものです。

ヌシネルセンについて追加データを収集するために、EMBRACE試験とNURTURE試験という二つの第II相試験がデザインされました。EMBRACE試験は、ENDEAR試験またはCHERISH試験の年齢等の基準を満たさない乳児期発症型または遅発型SMAの患者さんの部分集団についての追加データを収集するためにデザインされています。乳児期発症型(1型を発症する可能性が高い)のSMA母集団においてエビデンスが示されたため、EMBRACE試験のシャム(実薬でない)群は中止となり、患者さんには非盲検延長試験を通じてヌシネルセンの投与を受ける選択肢が提供されています。NURTURE試験は発症前の乳幼児(初回投与時に生後6週間以下)を対象として実施中の非盲検試験で、発症前の治療によりSMA症状の発現を予防または遅らせることができるかどうかを判断するための試験です。

 

SMA について1-5

SMAの特徴は、脊髄および下位脳幹における運動ニューロンの欠損であり、重篤で進行性の筋萎縮や筋無力を引き起こします。最も重篤なタイプのSMAの患者さんは最終的に麻痺状態となり、呼吸や嚥下など生命維持のための基本的な身体機能に支障をきたす恐れがあります。

SMN1(Survival Motor Neuron 1)遺伝子の欠落または欠損により、SMAの患者さんは運動ニューロン維持に必要なSMNタンパク質を十分に産生することができません。SMAの重篤度はSMNタンパク質の量と相関関係があります。最も重篤で生命を脅かす1型SMAの患者さんではSMNタンパク質がほとんど生成されず、支えなしに座ることや呼吸器による補助なしに2年以上生存することができません。2型と3型の患者さんでは、より多くのSMNタンパク質が生成され重篤度も下がりますが、日々の生活と人生に困難を強いられます。

現在、SMAの根本治療として承認された治療法はありません。

SMAの疾患啓発支援のため、バイオジェンは米国で「Together in SMA」というプログラムを立ち上げ、SMA関係者に資料や情報提供を行っています。詳細は、https://www.togetherinsma.com/をご覧ください。

 

 

ヌシネルセンについて 

ヌシネルセンはSMAの治療薬として開発中の病態修飾療法剤です6。ヌシネルセンはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であり、SMN1とほぼ同一の遺伝子であるSMN2のスプライシングを変えるようデザインされています。その目的は完全に機能するSMNタンパク質の産生を増やすことにあります7。

ASOは標的RNAと結合して遺伝子発現を調節するようデザインされた短鎖の合成ヌクレオチドです。このテクノロジーを使うことで、ヌシネルセンは機能的SMNタンパク質の量を増やす潜在力を備えています。

米国と欧州連合の規制当局は、審査プロセスを早めるため、特別な配慮を提供しています。米国ではファスト・トラック指定に、また米国、EUともにオーファンドラッグに指定されています。

次に掲げる組織のヌシネルセンに対する支援に謝辞を申し上げます。筋ジストロフィー協会、SMA財団、Cure SMA、およびコールド・スプリング・ハーバー研究所とマサチューセッツ大学医学部からの知的所有権のライセンス供与。

 

 

バイオジェンについて

最先端の科学と医学を通じて、バイオジェンは神経変性疾患、血液疾患、自己免疫疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者様に提供します。1978年に設立されたバイオジェンは、世界で最も長い歴史のある独立したバイオテクノロジー企業の一つであり、多発性硬化症と血友病の治療法における先進性と革新性で世界中の患者さんに貢献しています。製品情報、プレスリリース、同社に関するその他の情報については、http://www.biogen.com およびバイオジェン社専用Twitter(https://twitter.com/biogen)をご覧ください。

 

 

Ionis Pharmaceuticalsについて

Ionis社はRNA標的化医薬品の発見と開発におけるリーディング企業であり、重篤な希少疾患など最もアンメットニーズの大きい患者さんのための医薬品開発に注力しています。Ionis社は独自のアンチセンス技術を使い、ファースト・イン・クラスとベスト・イン・クラスの医薬品の大規模なパイプラインを構築してきました。このパイプラインには12種類以上の中期から後期の開発品が含まれています。現在、第3相試験が行われている医薬品の中でもvolanesorsenについては100%子会社のAkcea Therapeuticsを通じての製品化を計画中です。Volanesorsenは家族性カイロミクロン血症症候群または家族性部分的リポジストロフィーの治療薬です。IONIS-TTRRxはIonis社がGSKと共同開発している医薬品であり、あらゆる形態のTTRアミロイドーシスの患者さんの治療薬です。ヌシネルセンはバイオジェンと共同開発中の、脊髄性筋萎縮症の乳児と小児対象の治療薬です。Ionis社の特許は同社の医薬品とテクノロジーを強力かつ幅広く保護しています。Ionis社についての追加情報は次のサイトで入手できます。www.ionispharma.com

 

1. Darras B, Markowitz J, Monani U, De Vivo D. Chapter 8 - Spinal Muscular Atrophies. In: Vivo BTD, ed. Neuromuscular Disorders of Infancy, Childhood, and Adolescence (Second Edition). San Diego: Academic Press; 2015:117-145. 
2. Lefebvre S, Burglen L, Reboullet S, et al. Identification and characterization of a spinal muscular atrophy-determining gene. Cell. 1995;80(1):155-165. 
3. Mailman MD, Heinz JW, Papp AC, et al. Molecular analysis of spinal muscular atrophy and modification of the phenotype by SMN2. Genet Med. 2002;4(1):20-26. 
4. Monani UR, Lorson CL, Parsons DW, et al. A single nucleotide difference that alters splicing patterns distinguishes the SMA gene SMN1 from the copy gene SMN2. Hum Mol Genet. 1999;8(7):1177-1183. 
5. Peeters K, Chamova T, Jordanova A. Clinical and genetic diversity of SMN1-negative proximal spinal muscular atrophies. Brain. 2014;137(Pt 11):2879-2896. 
6. Rigo F, Hua Y, Krainer AR, Bennett CF. Antisense-based therapy for the treatment of spinal muscular atrophy. J Cell Biol. 2012;199(1):21-25. 
7. Hua Y, Sahashi K, Hung G, Rigo F, Passini MA, Bennett CF, Krainer AR. Antisense correction of SMN2 splicing in the CNS rescues necrosis in a type III SMA mouse model. Genes Dev. 2010 Aug 1;24(15):1634-44. 

SPI-JPN-0018

その他のプレスリリース

  • 2016年12月26日FDAがバイオジェンのSPINRAZA™(ヌシネルセン)を承認 世界初の脊髄性筋萎縮症治療薬
  • 2016年12月21日バイオジェンがミシェル・ヴォナッソスを最高経営責任者(CEO)に指名
  • 2016年12月19日多発性硬化症治療薬「テクフィデラ®カプセル」製造販売承認取得
  • 2016年12月12日脊髄性筋萎縮症の治療薬候補ヌシネルセンナトリウム日本でも承認申請
  • 2016年11月10日バイオジェンとIONIS社:ヌシネルセンが遅発型脊髄性筋萎縮症に対する第III相CHERISH試験の中間解析で主要評価項目を達成