2016年11月10日

本資料は、米バイオジェン社が 2016年11月7日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語訳として発表させていただくものです。よって必ずしも日本の状況を反映したものでないことをご了承ください。内容につきましては原本である英文が優先します。

バイオジェンとIONIS社:ヌシネルセンが遅発型脊髄性筋萎縮症に対する第III相CHERISH試験の中間解析で主要評価項目を達成

-- 2つ目の第III相試験の中間解析結果でもヌシネルセンの有効性と安全性プロファイルが示された

– 中間解析結果は統計学的に有意かつ臨床的にも有意義

マサチューセッツ州ケンブリッジ、カリフォルニア州カールスバッド – 2016年11月7日:バイオジェン       (NASDAQ略号: BIIB)とIonis Pharmaceuticals(NASDAQ略号: IONS)は、治験中の脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬ヌシネルセン(一般名)が遅発型SMA(2型と同等)を対象としたヌシネルセン評価のための第III相試験であるCHERISH試験の中間解析で主要評価項目を達成したと発表しました。解析で得られた知見によると、ヌシネルセンの投与を受けた小児患者さんは、治療を受けていない小児患者さんに比べ、運動機能において統計学的に明らかな有意な改善を示しました。この試験においても、ヌシネルセンは忍容可能な安全性プロファイルを示しました。

バイオジェンのマイケル・エーラース執行副社長兼研究開発統括責任者(M.D., Ph.D.)は次のように述べています。「こうした結果は、乳児期発症型SMA(1型と同等)において大きな成果を示した試験と同様に、ヌシネルセンがSMA患者さんに広くベネフィットをもたらす可能性を示すものです。当社としては、世界各国の規制当局にこのデータを示すとともに、ヌシネルセンを患者さんに一日でも早くお届けするためにも緊密に共同作業を行っていく所存です」。

バイオジェンはヌシネルセンを米国で早ければ2016年末まで、遅くとも2017年第1四半期に発売を開始することを見込んでおり、準備を進めています。

 

CHERISH試験中間解析の結果

CHERISH試験は、15カ月にわたり、126名の歩行不能な遅発型SMA(2型と同等)の患者さんにおいて、ヌシネルセン投与試験を行いました。参加したのは、生後6カ月以上で兆候と症状があった患者さんおよびスクリーニング時点で2歳から12歳だった患者さんでした。

既定の中間解析の主要評価項目の結果は、治療アーム(n=84)とシャム対照(実薬でない)群(n=42)との間で、15カ月時点で5.9ポイント(p= 0.0000002)の差を示しました。評価尺度としては「ハマースミス運動機能スケール拡大版」(HFMSE)が使用されました。ベースラインから治療15カ月目までに、ヌシネルセンの投与を受けた患者さんではHFMSEが平均で4.0ポイント改善しました。一方で、治療を受けなかった患者さんのポイントは1.9低下しました。HFMSEは信頼性が高く有効なツールであり、特にSMAの小児の運動機能を評価するようデザインされています。また、その3ポイント以上の変化は臨床的に有意義であると考えられています。その他の評価項目で得られたデータは、ヌシネルセンによる治療を受けた小児患者さんに一貫して良好なものでした。ヌシネルセンは忍容可能な安全性プロファイルを示しました。有害事象の多くは、SMA疾患、一般母集団と共通の事象、または腰椎穿刺関連事象と考えられました。試験を中止した患者さんはいませんでした。

このようにポジティブな中間解析結果が示されたことを受け、CHERISH試験は中止し、試験参加者はSHINE非盲検延長試験に移行してヌシネルセンの投与を受けることができます。試験結果の全容は今後の医学会議で発表される予定です。

Ionis Pharmaceuticals社のB. Lynne Parshall最高執行責任者は次のように述べています。「これらのデータは、ヌシネルセンの可能性をさらに裏付けるものです。私たちはヌシネルセン試験に参加して下さったすべての患者さん、ご家族と臨床医の皆様に感謝しています。皆さんのコミットメントとご支援がなければ、このプログラムがこれほど迅速に進むことはなかったでしょう」。

米食品医薬品局(FDA)は、最近、SMA治療薬としてのヌシネルセンの新薬承認申請(NDA)を受理し、迅速審査扱いにする方針であるとの通知がありました。さらに、欧州医薬品庁(EMA)は、最近、バイオジェンの欧州における販売承認申請(MAA)を有効と認めました。EMAのヒト用医薬品委員会(CHMP)は、加速審査評価対象に指定するとともに、FDAも本剤を優先審査対象に指定しました。バイオジェンは日本をはじめとするその他の国々においても承認申請を近く行う予定です。

 

ヌシネルセン臨床試験プログラム

ヌシネルセンは発症前ならびに発症後、つまり今後発症する可能性がある患者さん、あるいはすでに1型、2型、3型と診断されたSMA患者さんを対象に実施されてきました。

ヌシネルセン第III相臨床試験プログラムはENDEAR試験とCHERISH試験という二つの検証試験で構成されています。ENDEAR試験は乳児期発症型SMAの患者さん122名の13カ月にわたる試験としてデザインされました。これらの患者さんは、SMAの兆候と症状が生後6カ月以下で発現し、かつスクリーニング時の年齢が生後7カ月以下でした。中間解析で予め規定されていた中間解析では、運動マイルストーンレスポンダーの割合で評価し、「ハマースミス乳児神経学的検査」(HINE)を用いて計測されました。中間解析における良好な結果に基づき、ENDEAR試験は中止され、試験参加者は非盲検試験であるSHINE試験に移行することができ、ヌシネルセンの投与を受けることが可能です。

SHINE試験(非盲検)はENDEAR試験とCHERISH試験に参加した患者さんの非盲検延長試験として実施されます。ヌシネルセンの長期的な安全性と忍容性を評価するようデザインされたものです。

ヌシネルセンについて追加データを収集するために、EMBRACE試験とNURTURE試験という二つの第II相試験がデザインされました。EMBRACE試験は、ENDEAR試験またはCHERISH試験の年齢等の基準を満たさない乳児期発症型または遅発型SMAの患者さんの部分集団についての追加データを収集するためにデザインされています。乳児期発症型(1型を発症する可能性が高い)のSMA母集団においてエビデンスが示されたため、EMBRACE試験のシャム(実薬でない)群は中止となり、患者さんには非盲検延長試験を通じてヌシネルセンの投与を受ける選択肢が提供されています。NURTURE試験は発症前の乳児(初回投与時に生後6週間以下)を対象として実施中の非盲検試験で、発症前の治療によりSMA症状の発現を予防または遅らせることができるかどうかを判断するための試験です。

 

SMA について1-5

SMAの特徴は、脊髄および下位脳幹における運動ニューロンの欠損であり、重篤で進行性の筋萎縮や筋無力を引き起こします。最も重篤なタイプのSMAの患者さんは最終的に麻痺状態となり、呼吸や嚥下など生命維持のための基本的な身体機能に支障をきたす恐れがあります。

SMN1(Survival Motor Neuron 1)遺伝子の欠落または欠損により、SMAの患者さんは運動ニューロン維持に必要なSMNタンパク質を十分に産生することができません。SMAの重篤度はSMNタンパク質の量と相関関係があります。最も重篤で生命を脅かす1型SMAの患者さんではSMNタンパク質がほとんど生成されず、支えなしに座ることや呼吸器による補助なしに2年以上生存することができません。2型と3型の患者さんでは、より多くのSMNタンパク質が生成され重篤度も下がりますが、日々の生活と人生に困難を強いられます。

現在、SMAの根本治療として承認された治療法はありません。

SMAの疾患啓発支援のため、バイオジェンは米国で「Together in SMA」というプログラムを立ち上げ、SMA関係者に資料や情報提供を行っています。詳細は、https://www.togetherinsma.com/をご覧ください。

 

ヌシネルセンについて 

ヌシネルセンはSMAの治療薬として開発中の病態修飾療法剤です6。ヌシネルセンはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であり、SMN1とほぼ同一の遺伝子であるSMN2のスプライシングを変えるようデザインされています。その目的は完全に機能するSMNタンパク質の産生を増やすことにあります7。

ASOは標的RNAと結合して遺伝子発現を調節するようデザインされた短鎖の合成ヌクレオチドです。このテクノロジーを使うことで、ヌシネルセンは機能的SMNタンパク質の量を増やす可能性を備えています。

米国と欧州連合の規制当局は、審査プロセスを早めるため、特別な配慮を提供しています。米国ではファスト・トラック指定に、また米国、EUともにオーファンドラッグに指定されています。

次に掲げる組織のヌシネルセンに対する支援に謝辞を申し上げます。筋ジストロフィー協会、SMA財団、Cure SMA、およびコールド・スプリング・ハーバー研究所とマサチューセッツ大学医学部からの知的所有権のライセンス供与。

 

バイオジェンについて

最先端の科学と医学を通じて、バイオジェンは神経変性疾患、血液疾患、自己免疫疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者様に提供します。1978年に設立されたバイオジェンは、世界で最も長い歴史のある独立したバイオテクノロジー企業の一つであり、多発性硬化症と血友病の治療法における先進性と革新性で世界中の患者さんに貢献しています。製品情報、プレスリリース、同社に関するその他の情報については、http://www.biogen.com およびバイオジェン社専用Twitter(https://twitter.com/biogen)をご覧ください。

 

Ionis Pharmaceuticalsについて

Ionis社はRNA標的化医薬品の発見と開発におけるリーディング企業であり、重篤な希少疾患など最もアンメットニーズの大きい患者さんのための医薬品開発に注力しています。Ionis社は独自のアンチセンス技術を使い、ファースト・イン・クラスとベスト・イン・クラスの医薬品の大規模なパイプラインを構築してきました。このパイプラインには12種類以上の中期から後期の開発品が含まれています。現在、第3相試験が行われている医薬品の中でもvolanesorsenについては100%子会社のAkcea Therapeuticsを通じての製品化を計画中です。Volanesorsenは家族性カイロミクロン血症症候群または家族性部分的リポジストロフィーの治療薬です。IONIS-TTRRxはIonis社がGSKと共同開発している医薬品であり、あらゆる形態のTTRアミロイドーシスの患者さんの治療薬です。ヌシネルセンはバイオジェンと共同開発中の、脊髄性筋萎縮症の乳児と小児対象の治療薬です。Ionis社の特許は同社の医薬品とテクノロジーを強力かつ幅広く保護しています。Ionis社についての追加情報は次のサイトで入手できます。www.ionispharma.com

 

1. Darras B, Markowitz J, Monani U, De Vivo D. Chapter 8 - Spinal Muscular Atrophies. In: Vivo BTD, ed. Neuromuscular Disorders of Infancy, Childhood, and Adolescence (Second Edition). San Diego: Academic Press; 2015:117-145. 
2. Lefebvre S, Burglen L, Reboullet S, et al. Identification and characterization of a spinal muscular atrophy-determining gene. Cell. 1995;80(1):155-165. 
3. Mailman MD, Heinz JW, Papp AC, et al. Molecular analysis of spinal muscular atrophy and modification of the phenotype by SMN2. Genet Med. 2002;4(1):20-26. 
4. Monani UR, Lorson CL, Parsons DW, et al. A single nucleotide difference that alters splicing patterns distinguishes the SMA gene SMN1 from the copy gene SMN2. Hum Mol Genet. 1999;8(7):1177-1183. 
5. Peeters K, Chamova T, Jordanova A. Clinical and genetic diversity of SMN1-negative proximal spinal muscular atrophies. Brain. 2014;137(Pt 11):2879-2896. 
6. Rigo F, Hua Y, Krainer AR, Bennett CF. Antisense-based therapy for the treatment of spinal muscular atrophy. J Cell Biol. 2012;199(1):21-25. 
7. Hua Y, Sahashi K, Hung G, Rigo F, Passini MA, Bennett CF, Krainer AR. Antisense correction of SMN2 splicing in the CNS rescues necrosis in a type III SMA mouse model. Genes Dev. 2010 Aug 1;24(15):1634-44.

 

SPI-JPN-0019

その他のプレスリリース

  • 2016年12月26日FDAがバイオジェンのSPINRAZA™(ヌシネルセン)を承認 世界初の脊髄性筋萎縮症治療薬
  • 2016年12月21日バイオジェンがミシェル・ヴォナッソスを最高経営責任者(CEO)に指名
  • 2016年12月19日多発性硬化症治療薬「テクフィデラ®カプセル」製造販売承認取得
  • 2016年12月12日脊髄性筋萎縮症の治療薬候補ヌシネルセンナトリウム日本でも承認申請
  • 2016年10月13日脊髄性筋萎縮症の治療薬候補ヌシネルセンの有効性の可能性を裏付けるデータを国際筋研究会議で発表