2016年12月12日

脊髄性筋萎縮症の治療薬候補ヌシネルセンナトリウム日本でも承認申請

バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:スティーブ・スギノ)は、このたび、ヌシネルセンナトリウム(一般名)について、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬として、製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。承認されれば日本初のアンチセンス核酸医薬品*となる見込みです。

*疾患に関係するタンパク質をつくるRNA(mRNA、mRNA前駆体、miRNA)を標的とする核酸医薬品

ヌシネルセンナトリウムは米国食品医薬品局(FDA)に対して9月に、欧州医薬品庁(EMA)に対しては10月に承認申請を行い、現在審査が行われています。EMAのヒト用医薬品委員会(CHMP)は、加速審査評価対象に指定するとともに、FDAも本剤を優先審査対象に指定しました。日本でも、オーファン医薬品の指定を受けています。

ヌシネルセンナトリウムは乳児期発症型(1型と同等)のSMA患者対象の第III相試験であるENDEAR試験、遅発型SMA(2型と同等)を対象としたヌシネルセンナトリウム評価のための第III相試験であるCHERISH試験、それぞれの中間解析において規定の主要評価項目を達成しました。日本も両試験に参加しました。

バイオジェン・ジャパン株式会社代表取締役社長のスティーブ・スギノは次のように述べています。「ENDEAR第III相試験の中間解析の結果を受け、米国、EUに続いて日本でも早期に承認申請ができたことをうれしく思います。遺伝的要因で発症するSMAは多くの場合、乳児期から症状があらわれ、これまで治療薬もありませんでした。患者さんにこの薬を早期にお届けすることが実現できるよう、社員一丸となって承認に向けて取り組んでまいります」。

SMAは、脊髄および下位脳幹における進行性の運動ニューロンの脱落を特徴とする疾患であり、重篤で進行性の筋萎縮や筋無力を引き起こします。最も重篤なタイプのSMAの患者さんは最終的に麻痺状態となり、呼吸や嚥下など生命維持のための基本的な身体機能に支障をきたす恐れがあります。日本においては小児慢性特定疾病に認定されており、国内の患者さんの数は平成27年度の医療受給者証保持者数(難病情報センター)によると、874人です。なお、現在、SMAの根本治療として承認された治療法はありません。

 

ヌシネルセンナトリウム臨床試験プログラム

ヌシネルセンナトリウムは発症前ならびに発症後、つまり今後発症する可能性がある患者さん、あるいはすでに1型、2型、3型と診断されたSMA患者さんを対象に臨床開発が実施されてきました。

ヌシネルセンナトリウム第III相臨床試験プログラムはENDEAR試験とCHERISH試験という二つの検証試験で構成されています。ENDEAR試験は乳児期発症型SMAの患者さん122名の13カ月にわたる試験としてデザインされました。これらの患者さんは、SMAの兆候と症状が生後6カ月以下で発現し、かつスクリーニング時の年齢が生後7カ月以下でした。予め規定されていた中間解析では、運動マイルストーンレスポンダーの割合で評価し、「ハマースミス乳児神経学的検査」(HINE)を用いて計測され、主要評価項目において統計的かつ臨床的に有意な改善を示しました(p<0.0001)。

一方、CHERISH試験は遅発型SMAの患者さん126名の15か月にわたる試験としてデザインされました。これらの患者さんは生後6カ月以上で兆候と症状があった患者さんおよびスクリーニング時点で2歳から12歳だった患者さんでした。予め規定されていた中間解析では、「ハマースミス運動機能スケール拡大版」(HFMSE)を用いた評価で、治療群(n=82)とシャム対象(実薬でない)群(n=42)との間で、15カ月時点で5.9ポイント(p=0.0000002)の差を示しました。

それぞれの中間解析における良好な結果に基づき、ENDEAR試験及びCHERISH試験は早期終了され、試験参加者は非盲検試験であるSHINE試験にて引き続きヌシネルセンナトリウムの投与を受けることが可能です。

SHINE試験(非盲検)はENDEAR試験とCHERISH試験に参加した患者さんの非盲検延長試験として実施されます。ヌシネルセンナトリウムの長期的な安全性と忍容性を評価するようデザインされたものです。

ヌシネルセンナトリウムについて追加データを収集するために、EMBRACE試験とNURTURE試験という二つの第II相試験がデザインされました。EMBRACE試験は、ENDEAR試験またはCHERISH試験の年齢等の基準を満たさない乳児期発症型または遅発型SMAの患者さんの部分集団についての追加データを収集するためにデザインされています。乳児期発症型(1型を発症する可能性が高い)のSMA母集団においてエビデンスが示されたため、EMBRACE試験のシャム(実薬でない)群は中止となり、患者さんには非盲検延長試験を通じてヌシネルセンナトリウムの投与を受ける選択肢が提供されています。NURTURE試験は発症前の乳児(初回投与時に生後6週間以下)を対象として実施中の非盲検試験で、発症前の治療によりSMA症状の発現を予防または遅らせることができるかどうかを判断するための試験です。

 

ヌシネルセンナトリウムについて

ヌシネルセンナトリウムはSMAの治療薬として開発中の病態修飾療法剤です。ヌシネルセンナトリウムはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であり、SMN1とほぼ同一の遺伝子であるSMN2のスプライシングを変えるようデザインされています。その目的は完全に機能するSMNタンパク質の産生を増やすことにあります。

ASOは標的RNAと結合して遺伝子発現を調節するようデザインされた短鎖の合成ヌクレオチドです。このテクノロジーを使うことで、ヌシネルセンナトリウムは機能的SMNタンパク質の量を増やす可能性を備えています。

 

バイオジェンについて

最先端の科学と医学を通じて、バイオジェンは神経変性疾患、血液疾患、自己免疫疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者様に提供します。1978年に設立されたバイオジェンは、世界で最も長い歴史のある独立したバイオテクノロジー企業の一つであり、多発性硬化症と血友病の治療法における先進性と革新性で世界中の患者さんに貢献しています。製品情報、プレスリリース、同社に関するその他の情報については、http://www.biogen.com およびTwitter(https://twitter.com/biogen)をご覧ください。

 

バイオジェン・ジャパンについて

バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。バイオジェンは、最先端の科学と医薬品研究を通じて、深刻な神経疾患、自己免疫疾患、希少疾患領域における革新的な治療薬を創薬開発し、世界中の患者さんに届けています。当社は1978年にノーベル賞受賞者らによって設立され、世界で最も歴史のある独立系バイオテクノロジー企業として、日本では2000年より事業を展開しています。 
http://www.biogen.co.jp

 

CA-JPN-0028

その他のプレスリリース

  • 2016年12月26日FDAがバイオジェンのSPINRAZA™(ヌシネルセン)を承認 世界初の脊髄性筋萎縮症治療薬
  • 2016年12月21日バイオジェンがミシェル・ヴォナッソスを最高経営責任者(CEO)に指名
  • 2016年12月19日多発性硬化症治療薬「テクフィデラ®カプセル」製造販売承認取得
  • 2016年11月10日バイオジェンとIONIS社:ヌシネルセンが遅発型脊髄性筋萎縮症に対する第III相CHERISH試験の中間解析で主要評価項目を達成
  • 2016年10月13日脊髄性筋萎縮症の治療薬候補ヌシネルセンの有効性の可能性を裏付けるデータを国際筋研究会議で発表