2016年12月26日

本資料は、米バイオジェン社が 2016年12月23日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語訳として発表させていただくものです。よって必ずしも日本の状況を反映したものでないことをご了承ください。内容につきましては原本である英文が優先します。

幅広いSMA患者が適応対象に 
臨床試験でSMA患者の運動機能を改善;乳児期発症型SMA患者の生存を延長 申請から3カ月未満でFDAが承認

マサチューセッツ州ケンブリッジ、カリフォルニア州カールスバッド – 2016年12月23日:米食品医薬品局(FDA)がバイオジェン(NASDAQ略号: BIIB)のSPINRAZA™(一般名:ヌシネルセンナトリウム、以下、ヌシネルセン)を優先審査制度の下で脊髄性筋萎縮症(SMA)の小児患者および成人患者を対象とした治療薬として承認しました。SPINRAZA™はSMA治療薬として米国で承認された世界初であり、唯一の治療薬です。SMAは乳児と幼児の遺伝的原因疾患による主要な死亡原因であり、進行性の筋力低下による衰弱を特徴としています。

主要比較対照試験であるENDEAR試験において、ヌシネルセンの投与を受けた乳児期発症型SMA患者群は、実薬投与を受けなかった患者群と比べ、臨床的に有意な運動機能の改善を達成し、維持しました。さらに、ヌシネルセン投与を受けた患者の多くは、投与を受けなかった患者に比較してより長期間の生存を認めました。非盲検試験において、支えなしで座れる、または従来の想定では不可能であった起立や歩行などのマイルストーンを達成した患者も報告されており、またそれらの機能が失われると考えられていた年齢でも機能を維持している患者も報告されています。これら臨床試験で得られた総合的な知見は、幅広いSMA患者に対するヌシネルセンの有効性を裏付け、また、早期治療開始の意義についても支持しています。

バイオジェンの最高経営責任者(CEO)であるジョージ・A・スキャンゴス(Ph.D.)は次のように述べています。「ヌシネルセンはSMA患者さんと関係者に新たな希望を提供できる医薬品です。また最先端のサイエンスを応用して難病の患者さんの生活と人生に意義ある変化をもたらすという当社のミッションを具現化したものです。私たちはヌシネルセンの臨床開発プログラムに参加して下さった患者さんとご家族のコミットメントや治験担当医の皆さんのたゆまぬ努力に恐縮するとともに感謝しています。また、FDAがこの治療薬を迅速に審査・承認してくれたことにも感謝しています。さらに、この臨床試験を開始したIonis社の皆さんにも感謝の意を表します」。

FDAの承認は、170名以上の患者対象の複数のヌシネルセンの臨床試験でのポジティブな結果に基づいています。このデータには、乳児期発症型SMAにおいてヌシネルセンを評価するための第III相比較対照試験であるENDEAR試験の中間解析、ならびに1型、2型および3型SMAの発症後の患者、発症前の患者、または発症する可能性のある患者における非盲検試験データです。

米国の患者団体「Cure SMA」のケネス・ホビー会長は次のように述べています。「本日のヌシネルセン承認により、SMA患者さんの未来が変わりました。特に喜ばしいのは、緻密に組み上げられた厳格な臨床開発計画のおかげで幅広い適応症への効果が認められ、多くの患者さんがこの医薬品にアクセスできるようになることです。ここに至るまでには、家族、研究者、企業、FDAなど一つの共同体として共に力を合わせてきた全ての関係者のストーリーがあります」。

ヌシネルセンは、ほぼ一週間で米国の医療関係者に対して出荷可能となる予定です。医療機関や治療センターがヌシネルセンについて準備学習期間が必要なため、バイオジェンは治療開始までの期間には医療機関によって幅があると予測しています。

 

ヌシネルセンの第III相臨床試験であるENDEAR試験

ENDEAR試験は、乳児期発症型(1型を発症する可能性が高い)SMAの患者対象の無作為化・二重盲検・シャム(偽処置群)対照試験です。ENDEAR試験で予め規定されていた中間解析において、ハマースミス乳児神経学的検査(HINE)で測定したところ、ヌシネルセンの投与を受けた乳児は、投与を受けなかった乳児に比べて有意に運動マイルストーンを達成しました(40%対0%;p<0.0001)。さらに、ヌシネルセンの投与を受けた患者群において、投与を受けなかった患者群に比べて低い死亡率となりました(43%に対して23%)。その他の解析済み有効性評価項目からのデータは、一貫して、治療を受けた乳児群がより良好な結果を示しました。

ENDEAR試験の詳細な中間解析結果は、2017年1月に開催される英国小児神経学会(BPNA)の年次会議で発表される予定です。

 

ヌシネルセン臨床試験プログラムのアップデート

バイオジェンはヌシネルセンの世界的な開発・製造・商業化権をアンチセンス治療のリーダーであるIonis Pharmaceuticals社(NASDAQ略号: IONS)からライセンス導入しました。バイオジェンとIonis社は革新的な臨床プログラムを実施し、2011年に臨床試験でヌシネルセンを初めてヒトへ投与してからわずか5年で規制当局による初の承認を獲得しました。ヌシネルセンのFDA承認に基づき、Ionis社には6千万ドルのマイルストーンが支払われます。また、Ionis社にヌシネルセンの今後の売上に応じて最大15%前後の段階的なロイヤルティが支払われることになります。

欧州医薬品庁(EMA)は10月にバイオジェンのSMA治療薬ヌシネルセンの承認申請(MAA)を有効と認め、EMAのヒト用医薬品委員会(CHMP)が加速評価対象に指定しました。さらに、バイオジェンは、日本、カナダ、オーストラリアで承認申請を提出しており、2017年には他の国々でも申請する予定です。

FDAはヌシネルセンを承認するとともに、バイオジェンに希少小児疾患優先審査バウチャーを発行しました。このバウチャーは、今後開発する希少疾患の新薬承認申請において優先審査権を付与するものであり、バウチャーなしには優先審査が認められない可能性がある製品に使用することができます。希少小児疾患審査バウチャープログラムは、希少小児疾患の予防と治療のための新たな医薬品と生物製剤の開発を促進することを目的としています。

ヌシネルセンと米国での処方に関する情報についての詳細は、次のサイトでご覧ください。www.SPINRAZA.com

 

SMA 1-5について

SMAは、脊髄および下位脳幹における進行性の運動ニューロンの脱落を特徴とする疾患であり、重篤で進行性の筋萎縮や筋無力を引き起こします。最も重篤なタイプのSMAの患者さんは最終的に麻痺状態となり、呼吸や嚥下など生命維持のための基本的な身体機能に支障をきたす恐れがあります。

SMN1(Survival of Motor Neuron 1)遺伝子の欠落または欠損により、SMAの患者さんは運動ニューロン維持に必要なSMNタンパク質を十分に産生することができません。SMAの重篤度はSMNタンパク質の量と相関関係があります。最も重篤で生命を脅かす1型SMAの患者さんではSMNタンパク質がほとんど生成されず、支えなしに座ることや呼吸器による補助なしに2年以上生存することができません。2型と3型の患者さんでは、より多くのSMNタンパク質が生成され重篤度も下がりますが、日々の生活と人生に困難を強いられます。

SMAの疾患啓発支援のため、バイオジェンは米国で「Together in SMA」というプログラムを立ち上げ、SMA関係者に資料や情報提供を行っています。詳細は、https://www.togetherinsma.com/をご覧ください。

 

SPINRAZA™(ヌシネルセン)について 

ヌシネルセンはSMAの治療薬としてグローバルレベルで開発が進められています。

ヌシネルセンはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であり、SMNタンパク質の欠損につながる染色体5qの変異により引き起こされるSMAの治療薬として設計されました。本剤はSMN1とほぼ同一の遺伝子であるSMN2のスプライシングを変えるようデザインされています。その目的は完全に機能するSMNタンパク質の産生を増やすことにあります。

ASOは標的RNAと結合して遺伝子発現を調節するようデザインされた短鎖の合成ヌクレオチドです。このテクノロジーを使うことで、ヌシネルセンは機能的SMNタンパク質の量を増やす可能性を備えています。

ヌシネルセンは髄腔内注射によって投与されます。これにより、SMNタンパク質のレベルが不足することにより運動ニューロンの変性が起きている患者の脊髄の周囲の脳脊髄液(CSF)に直接治療薬を届けています。

ヌシネルセンについて最も多く報告されている有害事象は、上気道感染、下気道感染、ならびに便秘です。肺拡張不全の重篤な有害事象は、ヌシネルセンによる治療を受けた患者においてより多く報告されました。急性の重症血小板減少症を含む血液凝固異常と血小板減少症がASOの投与後に若干観察されています。潜在的に致死的な糸球体腎炎を含む腎臓毒性が、ASO投与後に若干観察されています。

ヌシネルセンの処方情報詳細は、次のサイトで入手できます。www.SPINRAZA.com

 

バイオジェンについて

最先端の科学と医学を通じて、バイオジェンは神経変性疾患、血液疾患、自己免疫疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者様に提供します。1978年に設立されたバイオジェンは、世界で最も長い歴史のある独立したバイオテクノロジー企業の一つであり、多発性硬化症と血友病の治療法における先進性と革新性で世界中の患者さんに貢献しています。製品情報、プレスリリース、同社に関するその他の情報については、http://www.biogen.com およびバイオジェン社専用Twitter(https://twitter.com/biogen)をご覧ください。

 

Ionis Pharmaceuticalsについて

Ionis社はRNA標的化医薬品の発見と開発におけるリーディング企業であり、重篤な希少疾患など最もアンメットニーズの大きい患者さんのための医薬品開発に注力しています。Ionis社は独自のアンチセンス技術を使い、ファースト・イン・クラスとベスト・イン・クラスの医薬品の大規模なパイプラインを構築してきました。このパイプラインには12種類以上の中期から後期の開発品が含まれています。現在、第III相試験が行われている医薬品の中でもvolanesorsenについては100%子会社のAkcea Therapeuticsを通じての製品化を計画中です。Volanesorsenは家族性カイロミクロン血症症候群または家族性部分的リポジストロフィーの治療薬です。IONIS-TTRRxはIonis社がGSKと共同開発している医薬品であり、あらゆる形態のTTRアミロイドーシスの患者さんの治療薬です。ヌシネルセンはバイオジェンと共同開発中の、脊髄性筋萎縮症の乳児と小児対象の治療薬です。Ionis社の特許は同社の医薬品とテクノロジーを強力かつ幅広く保護しています。Ionis社についての追加情報は次のサイトで入手できます。www.ionispharma.com

 

 

1. Darras B, Markowitz J, Monani U, De Vivo D. Chapter 8 - Spinal Muscular Atrophies. In: Vivo BTD, ed. Neuromuscular Disorders of Infancy, Childhood, and Adolescence (Second Edition). San Diego: Academic Press; 2015:117-145.
2. Lefebvre S, Burglen L, Reboullet S, et al. Identification and characterization of a spinal muscular atrophy-determining gene. Cell. 1995;80(1):155-165. 
3. Mailman MD, Heinz JW, Papp AC, et al. Molecular analysis of spinal muscular atrophy and modification of the phenotype by SMN2. Genet Med. 2002;4(1):20-26. 
4. Monani UR, Lorson CL, Parsons DW, et al. A single nucleotide difference that alters splicing patterns distinguishes the SMA gene SMN1 from the copy gene SMN2. Hum Mol Genet. 1999;8(7):1177-1183. 
5. Peeters K, Chamova T, Jordanova A. Clinical and genetic diversity of SMN1-negative proximal spinal muscular atrophies. Brain. 2014;137(Pt 11):2879-2896. 

SPI-JPN-0034

その他のプレスリリース

  • 2017年02月15日多発性硬化症治療薬「テクフィデラ®カプセル」2月22日に国内で発売
  • 2017年02月02日中高生向け実験イベント 「遺伝子ラボ~光る大腸菌から考える 私たちと未来の医療~」
  • 2017年01月19日バイオベラティブ・ジャパン 笠本 浩が日本法人代表取締役社長に就任
  • 2017年01月16日ヌシネルセンが乳児期発症型脊髄性筋萎縮症の死亡または永続的な人工呼吸器装着リスクを有意に低減したことを示す新データを発表
  • 2016年12月21日バイオジェンがミシェル・ヴォナッソスを最高経営責任者(CEO)に指名