本資料は、米バイオジェン社が 2019年3月21日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語訳として発表させていただくものです。よって必ずしも日本の状況を反映したものでないことをご了承ください。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

バイオジェンとエーザイ、アルツハイマー病を対象としたアデュカヌマブの臨床第III相国際共同試験(ENGAGE試験、EMERGE試験)を中止

独立データモニタリングコミッティが主要評価項目達成の可能性が低いと判断

2019年3月21日 – バイオジェン(Nasdaq: BIIB、以下 バイオジェン) とエーザイ株式会社(以下 エーザイ)は、本日、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI due to AD)および軽度アルツハイマー病患者さんを対象にアデュカヌマブの有効性、安全性を評価する臨床第III相国際共同試験(ENGAGE試験、EMERGE試験)を中止することを決定したことをお知らせします。本決定は、独立したデータモニタリングコミッティにより行われた無益性(Futility)解析の結果、本試験において主要評価項目が達成される可能性が低いと判断されたことに基づくものであり、安全性に関する問題によるものではありません。

バイオジェンのCEOであるミシェル・ヴォナッソスは、「この残念なお知らせにより、アルツハイマー病の複雑さ、およびニューロサイエンスに関する知見の進展の必要性を再認識しました。治験に参加いただくことで、本研究に貢献いただいた患者さんとそのご家族、治験医の皆様に深く感謝いたします。バイオジェンの歴史は新たなイノベーションに基づくものであり、成功と失敗から多くを学んできました。患者さんに対する不動のコミットと強固な事業基盤によって、引き続きアルツハイマー病をはじめとするいまだ満たされない医療ニーズを有する疾患に向けた革新的な治療薬のパイプラインの開発を進めていきます」と述べています。

ENGAGE試験、EMERGE試験の詳細な結果については、今後の学会にて発表する予定です。ENGAGE試験、EMERGE試験は、アデュカヌマブの有効性、安全性を評価する多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、グローバル臨床第Ⅲ相試験です。試験の主要評価項目は、プラセボと比較したアデュカヌマブのCDR-SB(Clinical Dementia Rating-Sum of Boxes)による認知機能・臨床症状の低下抑制の効果を評価します。副次評価項目は、プラセボと比較したアデュカヌマブのMMSE(Mini-Mental State Examination)、ADAS-Cog 13(AD Assessment Scale-Cognitive Subscale)、ADCS-ADL-MCI(AD Cooperative Study-Activities of Daily Living Inventory)による臨床症状に対する効果を評価します。

今回の決定に伴い、EVOLVE試験(臨床第Ⅱ相安全性試験)、および PRIME試験(臨床第Ⅰb相試験)の長期継続投与試験についても中止します。また、Secondary Preventionに関する臨床第Ⅲ相試験の開始については、ENGAGE試験、EMERGE試験の結果をさらに評価した上で決定します。

アデュカヌマブについて
アデュカヌマブ(開発コード:BIIB037)は早期アルツハイマー病の治療薬候補として臨床試験中の化合物です。アデュカヌマブは、共同開発ライセンス契約に基づきNeurimmune社から導入された、ヒト遺伝子組み換えモノクローナル抗体(mAb)であり、認知障害の兆候のない健康な高齢者集団または認知機能に障害がみられた高齢者で認知機能低下が非常に緩慢な人からリバース・トランスレーショナル・メディシン(Reverse Translational Medicine: RTM)と呼ばれるNeurimmune社の技術基盤を活用して収集されたB細胞の匿名化されたライブラリーに由来します。2017年10月より、バイオジェンとエーザイは全世界的にアデュカヌマブの開発ならびに製品化を共同で実施しています。

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートと フィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、SMAの唯一の治療薬を製品化しました。また、アルツハイマー病、神経免疫疾患、運動性疾患、神経筋障害、痛み、眼科、神経精神医学といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。生物製剤の高い技術力を活かし、バイオジェンは高品質のバイオシミラーの製造と製品化にも注力しています。

当社に関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、本社を日本に置く研究開発型グローバル製薬企業です。患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、医療従事者や介護関係者、行政などの協力を得て認知症と共生する「まちづくり」に取り組み、世界で推計1万回以上の疾患啓発イベントを開催してきました。認知症領域のパイオニアとして、次世代治療剤の開発にとどまらず、診断方法の開発やソリューションの提供にも取り組んでいます。エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。

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