本資料は、米バイオジェン社が 2017年10月23日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語訳として発表させていただくものです。
内容につきましては原本である英文が優先します。

 

バイオジェンとエーザイが臨床第Ⅲ相試験進行中のADUCANUMABを含む
アルツハイマー病治療剤の開発・販売に向けた提携契約を拡大

  • エーザイはADUCANUMABの共同開発・共同販促のオプション権を行使し、バイオジェンは引き続き開発をリードする
  • 拡大された提携契約に基づき、ADUCANUMABの販売に向けて、各地域において各社が有する強みをレバレッジし、売上に応じて各社が得る地域別利益配分を調整する
  • バイオジェンとエーザイは、日本において、多発性硬化症治療剤「アボネックス®」、「タイサブリ®」、「テクフィデラ®」について、現在バイオジェンが訪問していない施設に対する共同販促を行う

    エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク (NASDAQ: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)は、このたび、アルツハイマー病(AD)治療剤の共同開発・共同販売に関して提携契約を拡大したことをお知らせします。

本契約に基づき、エーザイは、アルツハイマー病(AD)の患者さんに向けた、バイオジェンの抗アミロイドβ(Aβ)抗体aducanumabに対する共同開発・共同販促オプション権を行使しました。

拡大された提携契約に基づき、aducanumabの販売に向けて各地域において各社が有する強みや販売基盤をレバレッジするとともに、売上に応じて各社が得る地域別利益配分を調整します。バイオジェンは、米国において利益の55%、欧州において68.5%をそれぞれ受領します。エーザイは、日本とアジア(中国、韓国除く)において利益の80%を受領します。その他の地域では利益を折半します。日本とアジア(中国、韓国除く)ではエーザイが売上を計上し、米国、欧州を含むその他の地域ではバイオジェンが売上を計上します。

バイオジェンは、現在進行中のaducanumabの臨床第Ⅲ相試験を引き続き主導し、2018年3月末まで全ての研究開発費を負担します。エーザイは、2018年4月から12月末まで15%、2019年1月以降45%の研究開発費用を負担します。

オプション権行使に伴う一時金の支払いはありません。また、原契約にて規定されていたaducanumabおよび抗Aβプロトフィブリル抗体BAN2401に関する両社のマイルストンの支払いは解消します。その他、両社が開発を進めているβサイト切断酵素(BACE)阻害剤elenbecestat(開発コード:E2609)と BAN2401に関する経済条件については、前述のBAN2401に関するマイルストン支払いの解消を除いて、変更はありません。

 さらに、エーザイとバイオジェンは、日本において、バイオジェンの多発性硬化症治療剤「Avonex®(アボネックス®)」、「Tysabri®(タイサブリ®)」、「Tecfidera®(テクフィデラ®)」について、現在バイオジェンが訪問していない施設に対する共同販促を行うことに合意しました。また、エーザイは、インドとその他のアジア太平洋地域(中国除く)において、上記3製品と「Plegridy®」について販売を行い、その売上を計上します。

バイオジェンのCEOであるミシェル・ヴォナッソスは、「この新しい連携が、aducanumabの価値最大化、および業界をリードするバイオジェンの多発性硬化症治療薬のポートフォリオ拡大につながると考えています。エーザイとバイオジェンの連携を通じ、互いの専門性や強みを活かすことにより、アルツハイマー病の患者さんとそのご家族に新たな治療をお届けすることをめざします。」と述べています。

また、エーザイのCEOである内藤晴夫は、「エーザイは、Icelandic Genetic Researchなどの遺伝疫学的研究や、aducanumabの臨床第Ⅰb相試験をはじめとする様々な臨床試験における知見から、Aβ仮説に基づく創薬への確信を深めています。最先端のバイオ技術を駆使し重篤な神経学的疾患・神経変性疾患に対する革新的治療の開発を行うバイオジェンと、多元的アプローチにより豊富なパイプラインを有するエーザイが連携強化することにより、認知症に対する新たな治療パラダイムを確立します。新パラダイムのもと、両社のパイプラインの共同開発をさらに進めAβ仮説に基づく世界初の次世代AD治療剤の創出をめざします。さらに、各リージョンにおける両社の強みを活かして、患者さんとそのご家族のベネフィットの最大化をはかります。」と述べています。

※現時点で最終確定したものではありません。

参考資料

1. Aducanumab(BIIB037)について
アルツハイマー病の治療薬として、日本、米国や欧州などで臨床第Ⅲ相試験が進行中の治験薬です。Aducanumabは、リバース・トランスレーショナル・メディシン(RTM)と呼ばれるNeurimmune社のテクノロジー・プラットフォームを用いて作成されたヒト遺伝子組換えモノクローナル抗体(mAb)であり、認知障害の兆候のない健康な高齢者、または進行が異常に遅い認知機能障害のある高齢者から採取した、非特定化B細胞ライブラリーに由来します。バイオジェンは、Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとにaducanumabを導入しました。

Aducanumabは、可溶性オリゴマーと不溶性線維などが凝集してアミロイドプラークを形成しうる形態のAβを標的とすると考えられています。これらのAβは、アルツハイマー病患者の脳内でアミロイドプラークを形成します。非臨床データおよびこれまでに得られた臨床第Ⅰb相試験データに基づき、aducanumab投与はアミロイドプラークのレベルを下げることが示されています。

2017年4月にaducanumabは厚生労働省の先駆け審査指定制度の対象となっています。2016年9月に 米国食品医薬品局(FDA)のファストトラック指定、2016年8月には欧州医薬品庁(EMA)のPRIME(プライオリティー・メディシンズ)制度の対象になっています。

2.日本とアジアにおける多発性硬化症治療剤(MS)での連携
バイオジェンのMS治療剤による患者さん貢献のさらなる拡大のため、両社は日本とアジア(中国除く)において販売提携します。エーザイは、日本において、バイオジェンの多発性硬化症治療剤「Avonex(アボネックス)」、「Tysabri(タイサブリ)」、「Tecfidera(テクフィデラ)」について、現在バイオジェンが訪問していない施設に対してエーザイが共同販促を行います。また、エーザイは、インドとその他のアジア太平洋地域(中国除く)において、上記3製品と「Plegridy」について、独占的販売権を取得します。

3. バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートと フィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の唯一の治療薬を製品化しました。また、アルツハイマー病、神経免疫疾患、運動性疾患、神経筋障害、痛み、眼科、神経精神医学といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。生物製剤の高い技術力を活かし、バイオジェンは高品質のバイオシミラーの製造と製品化にも注力しています。

当社に関する情報については、https://www.biogen.com およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

4. エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、本社を日本に置く研究開発型グローバル製薬企業です。患者さんとそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「がん」「神経領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、医療従事者や介護関係者、行政などの協力を得て認知症と共生する「まちづくり」に取り組み、世界で推計1万回以上の疾患啓発イベントを開催してきました。認知症領域のパイオニアとして、次世代治療剤の開発にとどまらず、診断方法の開発やソリューションの提供にも取り組んでいます。

エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。

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