2018年03月30日

多発性硬化症治療剤「アボネックス®」の承認条件(全例調査)解除について

バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:鳥居慎一、以下 バイオジェン・ジャパン)とエーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、このたび、バイオジェン・ジャパンの多発性硬化症治療剤「アボネックス®」(一般名:インターフェロンベータ-1a(遺伝子組換え))について、本剤の承認条件となっていた使用成績調査(以下、全例調査)に関し、厚生労働省から再審査結果通知を受け、承認条件が解除されましたのでお知らせします。

本剤は、2006年7月に「多発性硬化症の再発予防」を効能・効果として承認されました。その際の承認条件として、「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係わるデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」、「多発性硬化症の再発率等を指標とし、長期投与時の有効性及び安全性について検討するための臨床試験を実施し、その結果を報告すること」が付記されていました。

今回の再審査結果通知は、全例調査の解析結果として厚生労働省に提出していた安全性及び有効性データ(安全性解析対象症例1,486例、有効性解析対象症例1,458例)に基づき、全例調査が適切に実施され、本剤の適正使用のために必要な措置が講じられていると判断されたことによるものです。

「アボネックス®」について、日本ではバイオジェン・ジャパンが製造販売しています。2018年1月9日より、エーザイが共同販促を開始しています。

両社は引き続き本剤の適正使用の推進、情報提供に努め、患者様のQOL向上に貢献してまいります。

 

【参考資料】
1.使用成績調査について

使用成績調査は、承認条件1*1に基づき、「アボネックス®筋注用シリンジ30μg」、「アボネックス®筋注30μgペン」について、使用実態下における有効性、安全性を把握するとともに、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験の必要性の有無を検討することを目的に、2006年11月~2016年7月の間に全例中央登録方式にて実施され、国内397施設から1,510例の症例が収集されました。また、製造販売後臨床試験として、承認条件2*2に基づき、「アボネックス®筋注用シリンジ30μg」の長期使用時(2年間)の有効性及び安全性を検討するため、目標症例数を100例とし、国内35施設において非盲検、多施設共同試験が実施され、100例の症例が収集されました。

*1 承認条件1: 「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。」
*2 承認条件2: 「多発性硬化症の再発率等を指標とし、長期投与時の有効性及び安全性について検討するための臨床試験を実施し、その結果を報告すること。」

 

2.使用成績調査の結果について

使用成績調査及び副作用・感染症報告等において、使用上の注意から予測できない重篤な副作用は、多発性硬化症再発26件、精巣上体炎2件、サイトメガロウイルス感染、帯状疱疹、肺炎、感染性動脈瘤、胸腺腫、亜急性甲状腺炎、故意の自傷行為、運動失調、脱力発作、全身性強直性間代性発作、重症筋無力症、麻痺、対麻痺、網膜症、十二指腸潰瘍、口内炎、肝壊死、薬物性肝障害、乾癬、亀頭包皮炎、死亡、及び顆粒球数減少が各1件でした。

本使用成績調査において報告された、進行中の調査活動を含む利用可能な安全性情報の分析において、新しいリスク及び進行中の安全性シグナルは確認されませんでした。これらの情報において、本剤のベネフィット・リスクプロファイルは中核安全性情報に一致していると評価されました。本剤の安全性プロファイルに変更はなく、ベネフィット・リスクバランスは多発性硬化症患者に対する本剤による治療を支持しており、添付文書の改訂等による安全性に関する新たな注意喚起及び新たな特定使用成績調査や製造販売後臨床試験の実施は不要と判断されました。

 

3.多発性硬化症について

多発性硬化症は、深刻な慢性進行性神経疾患であり、認知機能、心理社会的機能、及び身体機能の全てに影響を及ぼし、中枢神経系における炎症、ミエリン破壊、オリゴデンドロサイトの細胞死、軸索損傷、及びその後の神経細胞の喪失を特徴とする自己免疫疾患です。多発性硬化症の有病率は人種間及び地域間で差があり、日本における推定有病率は欧米諸国の10%程度と報告されています1)。また、多発性硬化症の日本での罹患率は、10万人当たり10.8~14.4人と報告されています2)

1) 堀内泉, 吉良潤一.多発性硬化症.田村晃, 松谷雅生, 清水輝夫編.EBMに基づく脳神経疾患の基本治療指針.メジカルビュー社; 2002:276-79
2) Kinoshita M, Obata K, Tanaka M. Latitude has more significant impact on prevalence of multiple sclerosis than ultraviolet level or sunshine duration in Japanese population. Neurol Sci. 2015;36(7):1147-51.

 

4.アボネックス®について

「アボネックス®」は遺伝子組換え技術によりチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて産生されたインターフェロンベータ(IFNβ)-1a製剤です。本剤は1996年5月に米国で、1997年3月にEUでそれぞれ承認されました。日本においては1998年にジェンザイム・ジャパン社が開発に着手し、1999年に希少疾病用医薬品の指定を受けました。国内での臨床試験の結果、日本人においても本剤の有用性が確認できたため、国内及び海外臨床試験の成績を基に、2006年7月に「多発性硬化症の再発予防」を効能・効果として「アボネックス®筋注用シリンジ30μg」が承認されました。その後、バイオジェン・アイデック・ジャパン社(現バイオジェン・ジャパン社)が2006年9月にジェンザイム・ジャパン社より、本剤の製造販売承認を承継しました。「アボネックス®筋注用シリンジ30μg」の代替注射方法を患者さんに提供するための、ペン型製剤「アボネックス®筋注30μgペン」は、2013年12月に承認されました。

 

バイオジェンについて

神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者に提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の唯一の治療薬を製品化しました。また、アルツハイマー病、神経免疫疾患、運動性疾患、神経筋障害、疼痛、眼科、神経精神医学といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。生物製剤の高い技術力を活かし、バイオジェンは高品質のバイオシミラーの製造と製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、http://www.biogen.com およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。

バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で最も歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しています。バイオジェン・ジャパンに関する情報については、http://www.biogen.co.jpをご覧ください。

 

6.エーザイ株式会社について

エーザイ株式会社は、本社を日本に置く研究開発型グローバル製薬企業です。患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
エーザイ株式会社は、グローバル製薬企業として世界の患者様へ貢献することを使命としており、開発途上国・新興国における医薬品アクセスの改善に向け主要なステークホルダーズとの連携を通じ積極的な活動を展開しています。
エーザイ株式会社の詳細情報は、http://www.eisai.co.jpをご覧ください。

CA-JPN-0128

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