アデュカヌマブ、アルツハイマー病治療薬として、欧州医薬品庁への販売承認申請が受理

承認されれば、アデュカヌマブはアルツハイマー病の臨床症状の悪化を抑制し、本源的な変化をもたらす可能性を持つ、初めての治療薬となる

2020年10月30日–バイオジェン(Nasdaq: BIIB、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)とエーザイ株式会社(代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、本日、アルツハイマー病(AD)治療薬候補であるアデュカヌマブについて、欧州医薬品庁(European Medicines Agency)への販売承認申請(MAA)が受理されたことをお知らせします。今後、標準スケジュールに従って審査が行われます。アデュカヌマブは、ADによる軽度認知障害および軽度ADを対象とした臨床試験において、脳内アミロイドベータ(Aβ)の除去と臨床症状の改善を示しました。承認された場合、アデュカヌマブはAD当事者の臨床症状の悪化を抑制する初めての治療法となります。

バイオジェンのCEOであるミシェル・ヴォナッソスは「世界中で高齢化が進む中、ADによる社会的負担の増大は重大な課題であり、我々はアデュカヌマブがこの進行性の疾患の経過を変えることができる最初のブレイクスルーとなると信じています。我々は、世界各国の規制当局への協力に努めるとともに、欧州医薬品庁によるレビューに期待しています」と述べています。

エーザイのCEOである内藤晴夫は「現在、ADの根本病理に作用し、その進行に影響を与える治療法は有りません。アデュカヌマブはアルツハイマー病の臨床症状の悪化を効果的に抑制する可能性があり、この進行性の病気と闘う当事者とそのご家族に新たな希望をもたらすことを期待しています。欧州医薬品庁による販売承認申請の受理は、本剤を世界中のAD当事者の皆様にお届けするための重要なマイルストンとなります」と述べています。

アデュカヌマブは、現在、米国食品医薬品局(FDA)により、優先審査の指定を受け審査中であり、PDUFA(Prescription Drugs User Fee Act)アクション・デート(審査終了目標日)は2021年3月7日です。

アデュカヌマブについて
アデュカヌマブ(開発コード:BIIB037)はADの治療薬候補として開発されたモノクローナル抗体です。臨床試験データに基づき、ADによる軽度認知障害および軽度ADにおいて、アデュカヌマブは、疾患の原因となる病態生理に作用し、認知機能の低下(悪化)を抑制し、金銭管理、家事(掃除、買い物、洗濯など)や単独での外出などの日常生活動作におけるベネフィットが得られると期待されます。承認された場合、アデュカヌマブは、AD当事者の疾患の経過に本源的な変化をもたらす初めての治療薬となります。
アデュカヌマブは、共同開発ライセンス契約に基づきNeurimmune社から導入されました。2017年10月より、バイオジェンとエーザイは全世界的にアデュカヌマブの開発ならびに製品化を共同で実施しています。
EMERGE試験、ENGAGE試験は、アデュカヌマブの有効性と安全性を評価する多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、臨床第Ⅲ相試験です。試験の主要評価項目は、CDR-SBのスコアの変化によって測定される認知機能および機能障害の低下抑制における、プラセボと比較したアデュカヌマブ月1回投与の有効性を評価することです。副次評価項目は、MMSE、ADAS-Cog 13およびADCS-ADL-MCIによって測定される臨床症状悪化の抑制における、プラセボと比較したアデュカヌマブ月1回投与の有効性を評価することでした。

アルツハイマー病について
アルツハイマー病は、思考、記憶および自立の機能が損なわれ、早期の死亡につながる進行性の神経疾患です。現在、この病気は進行の抑制、遅延、予防ができず、グローバルヘルス問題として拡大しており、当事者とそのご家族に影響を与えています。世界保健機関(WHO)の報告から、世界中で数千万人のAD当事者がいると推定されています。今後も、AD当事者数は増加するとともに、必要なヘルスケア関連のコストはより速いペースで増加し、その負担に巨費を要することが想定されます。Alzheimer's Disease International 2019 Alzheimer's Yearbookによると、欧州には約1000万人の認知症当事者(軽度の認知障害を除く)がいらっしゃると推定されます。ADは、認知症の症例の約60〜70%を占めると推測されています。
ADは、毒性種であるAβプラークの異常な蓄積を含む脳の変化を特徴とし、その蓄積は症状が現れる約20年前から始まります。ADによる軽度認知障害(MCI)は発見および診断が可能となる症状が現れる最も早期の段階です。現在の研究においては、ADの進行抑制、遅延をもたらすために、可能な限り早期に患者様を見出し治療することに焦点が当てられています。

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTube をご覧ください。

エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、本社を日本に置くグローバル製薬企業です。当事者とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)・コンセプト」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、エーザイ認知症プラットフォームの確立を企図し、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、新たな便益をお届けする「認知症エコシステム」の構築をめざしています。エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jp をご覧ください。

Biogen-81128