本資料は、米バイオジェン社が 2021年12月20日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

バイオジェンが、早期アルツハイマー病当事者様の治療アクセス改善に向けADUHELM®の価格の改定を発表

~バイオジェンの経費削減計画についても発表~

2021年12月20日– バイオジェン・インク(Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)は、米国におけるアルツハイマー病(AD)治療薬ADUHELM® (一般名:アデュカヌマブ)注射 100 mg/mL 溶液の卸業者購入価格 (WAC) を2022年1月1日から約50%引き下げる決定をしたことを発表しました。平均体重(74kg)の当事者の方の場合、維持投与量(10mg/kg)による年間の薬剤費が 28,200ドルとなります。

バイオジェンのCEOであるミシェル・ヴォナッソスは、「発売以降数カ月の間、様々なステークホルダーの皆様からの意見を伺ってきました。非常に多くの当事者の皆様が経済的な理由によりADUHELMを投与するという選択肢を提案されない状況にあり、アルツハイマー病の根源的な病理に作用する最初の治療法の恩恵をうけるタイミングを逃し、病状が進行してしまうという状況に置かれています。米国の医療制度の持続可能性ということも踏まえて、この課題に対処しなければならないことを認識し、この重大な決定を行いました」と述べています。

これは、AD当事者の方の自己負担費用を軽減し、米国の医療制度への潜在的な経済的影響を軽減することを実現するための措置です。ADUHELMの新価格は、ファーストクラスの治療法、潜在的な対象患者数、新たな医療経済上の前提を考慮しています。バイオジェンは保険適用ならびに診断・専門治療施設へのアクセスの確保を考慮すると、2022年にADUHELMによる治療を約5万人が開始する可能性があると想定しています。

またヴォナッソスは次のようにも述べています。「現在、Centers for Medicare and Medicaid Services (CMS)が、ADUHELMを含む新しいクラスのAD治療薬すべてに対する保険適用範囲の可能性について検討しており、米国のADコミュニティにとっては非常に重要な時期を迎えています。今回の我々の決定が、革新的なADの新薬に対する患者さんのアクセス向上を促進してくれることを願っています」。

今回の対応は、バイオジェンが展開している治療選択肢に対して情報提供を強化していくという活動の一環です。バイオジェンは、先ごろ実施されたアルツハイマー病の臨床試験会議(CTAD) において、新たなp-tau181バイオマーカーのデータを発表し、またADUHELMの市販後の臨床第IV相検証試験についてはタイムラインを加速し、4年間で実施する計画を発表しました。米国食品医薬品局(FDA)によるADUHELMの迅速承認は、ADに対する大きな投資とさらなる研究やイノベーションのきっかけとなっています。

バイオジェンはまた、2022年の経費削減計画についても発表しました。これは、多発性硬化症領域における後発品の参入、ならびにADUHELMの採用状況の遅れによる影響を勘案し、予想売上に対応した経費削減計画です。経費削減計画により年間で約5億ドルを捻出できると予測しており、その大半は2022年中に実現できると考えています。削減された金額の一部はバイオジェンのパイプラインや戦略的な活動により相殺される見込みです。本削減計画の詳細については、今後数週間のうちに最終化され、2022年の第1四半期にお知らせする予定です。

ヴォナッソスは次のように述べています。「これらの厳しい決断は、非常に深刻な神経疾患とともに生きる方々が待ち望む医薬品を開発するという、私たちの使命を達成するために必要と考えました。私たちは将来のイノベーションと成長を継続し、優秀な社員を継続して雇用し、新たに採用するためも、そして株主の皆様にも納得していただける配当を提供するためにも、しっかりとしたコスト意識を導入しなければならないと判断しました」。

ADUHELM® (一般名:アデュカヌマブ)注射100 mg/mL溶液について
ADUHELMの適応症は、アルツハイマー病の治療です。ADUHELMによる治療は、臨床試験において治療開始の対象としたアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度認知症の患者様において開始される必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータはありません。本適応症は、ADUHELMの治療により観察されたアミロイドβプラークの減少に基づき、迅速承認の下で承認されています。本迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。

ADUHELMは、アミロイドβに対するモノクローナル抗体です。脳内のアミロイドβプラークの蓄積は、アルツハイマー病の明確な病態生理学的特徴です。ADUHELMの迅速承認は、臨床的有用性、この場合は臨床症状の悪化抑制をもたらす可能性が合理的に高い代理バイオマーカーであるアミロイドβプラークの減少に対するADUHELMの効果を示す臨床試験のデータに基づいて付与されました。

ADUHELMは、次のような重篤な副作用を引き起こす可能性があります。アミロイド関連画像異常(ARIA)は、多くは症状を引き起こさない一般的な副作用ですが、重篤になる場合があります。ほとんどの場合症状はありませんが、頭痛、錯乱、めまい、視力の変化、吐き気などの症状が現れる人もいます。医療提供者は、患者様に対してADUHELMによる治療前と治療中に磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを行い、ARIAをチェックします。ADUHELMは、次のような深刻なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。ADUHELMの最も一般的な副作用には、脳内または脳の表面の微小出血を伴うまたは伴わない脳内の浮腫(ARIA)、頭痛と転倒があります。患者様は、副作用に関する医学的アドバイスをもらうように医療提供者に相談する必要があります。

2017年10月より、バイオジェンとエーザイは全世界的にアデュカヌマブの開発ならびに製品化を共同で実施しています。

米国における費用、保険の適用範囲、および自己負担の支援
ADUHELMの卸業社購入価格(WAC)は、米国の軽度認知障害(MCI)または軽度認知症当事者の方の平均体重(74kg)の方に対して1回投与あたり2,171.40ドルです。170mgバイアル、300mgバイアルの価格は、それぞれ479.40ドル、846.00ドルとなります。維持投与量(10 mg/kg)での年間コストは28,200ドルになります。漸増投与期間により、治療初年度の費用は低減され、20,500ドル(前述の平均体重による計算)になります。WACは、リストプライスであり、正味価格や当事者の方が保険を用いて支払う価格ではありません。保険に加入している当事者の方の自己負担額は、保険の適用範囲によって異なります。

アルツハイマー病について
現在、アルツハイマー病(AD)は当事者の方、介護者にとっても大きな経済的な負担となっており、米国では1,100万人以上が2020年に153億時間1もの介護時間を費やしたとの試算があります。ADとそれ以外の認知症に関連する年間介護費用は6,000億ドル1を超え、ADの当事者の方にかかる生涯介護費用は一人当たり約50万ドル2と推定されており、これらは主としてご家族の自己負担により賄われています。米国においてナーシングホームにおける一人当たりの費用は年間約10万ドルと言われています

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。
2020年、バイオジェンは、気候、健康、公平さが深く相互に関連する課題に対して、20年間に2億5000万ドルを投資する大規模な取組みを開始しました。Healthy Climate, Healthy Lives ™は、ビジネス全体で化石燃料の使用をゼロにし、著名な研究機関とのコラボレーションを構築して科学研究を進展させ、人類の健康を改善し、発展途上のコミュニティをサポートすることを目的としています。
バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、www.biogen.com およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

参考文献
  1. Alzheimer’s Association. 2021 Alzheimer’s disease facts and figures.
  2. Jutkowitz E, Kane RL, Gaugler JE, MacLehose RF, Dowd B, Kuntz KM. Societal and family lifetime cost of dementia: implications for policy. J Am Geriatr Soc. 2017.
Biogen-148113