本資料は、米バイオジェン社が 2022年1月27日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

ADUHELM®の臨床第Ⅳ相検証試験(ENVISION試験)に関する最新情報について

2022年1月28日 – バイオジェン・インク(Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州 ケンブリッジ、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)とエーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、このたび、早期アルツハイマー病(AD)治療薬ADUHELM®(一般名:アデュカヌマブ)注射100mg/mL溶液 の臨床第Ⅳ相市販後検証試験(ENVISION試験)について、多様性を考慮した被験者登録目標および主要評価項目に関する新たな詳細情報を発表したことをお知らせします。

本試験において、米国の試験参加者の18%を黒人/アフリカ系およびラテン系の方々から登録することをめざします。本目標は、臨床試験における被験者の多様性を高めるバイオジェンの継続的なコミットメントを反映しています。

バイオジェンのHead of Global Safety & Regulatory Sciences and interim Head of Research & DevelopmentであるPriya Singhal M.D., M.P.H.は、「これまでのADを対象とした臨床試験では被験者背景の多様性に課題がありましたが、本試験ではこれを改善するように取り組みます。早期ADと診断される米国人の多様性に合致した被験者登録を行い、ADUHELM有効性の検証に向けた充実したデータの取得をめざします」と述べています。

ADの臨床試験における被験者の多様性確保に対する障壁1には、例えば、臨床試験施設へのアクセスができないこと、治療によるベネフィット/リスクのプロファイルが十分理解されないこと、試験参加に伴う経済的または移動等の負担などがあり、バイオジェンは、このような障壁を克服すべく様々な方策を実施します。

Cleveland Clinic Lou Ruvo Center for Brain Health, NevadaのDylan Wint, M.D.,は、「ENVISION試験において、被験者登録における多様性を優先する方針が組み込まれていることは大切なことであり、これにより診療実態に即した当事者様のデータを取得することができると考えます」と述べています。

また、プラセボ対照国際共同治験であるENVISION試験の主要評価項目は、ADUHELMの投与開始から18カ月後のCDR-SB(Clinical Dementia Rating–Sum of Boxes)であることも発表しました。CDR-SBは、早期AD当事者様の認知機能および日常生活機能の双方を評価するための適切な指標として臨床試験で広く用いられており、ADUHELMの臨床第Ⅲ相EMERGE試験、ENGAGE試験との一貫性の観点からも、堅牢な結果を生み出すことが可能です。さらに、本試験で得られるデータをさらに強固なものとするために、被験者であるアミロイドβの病理所見が確認された早期AD(ADによる軽度認知障害または軽度AD)の当事者様の登録数を以前発表した1,300人から1,500人に増加しました。

ADUHELMについては、ENVISION試験などの臨床試験がすでに計画中または進行中ですが、メディケア・メディケイド サービスセンター(CMS)は先日、ADUHELMやその他のアミロイド標的治療法に対するメディケアの適用を、新たな臨床試験に登録された当事者様に限定するというNational Coverage Determination(NCD)案を発表しました。バイオジェンは、CMSが要求する追加の安全性と有効性のデータを提供し、不必要な臨床試験の重複を避け、2003年以来初めて承認されたAD治療薬に当事者様が早急にアクセスできるよう、CMSと協力してまいります。

主要評価項目であるCDR-SBに加えて、副次評価項目として、ADAS-Cog 13(Alzheimer's Disease Assessment Scale-Cognitive Subscale)、ADCS-ADL-MCI(Alzheimer's Disease Cooperative Study - Activities of Daily Living Inventory - Mild Cognitive Impairment Version)、iADRS(integrated Alzheimer's Disease Rating Scale)、MMSE (Mini-Mental State Examination)、およびNPI-10(Neuropsychiatric Inventory)を用います。

ENVISION試験の被験者スクリーニングの開始は2022年5月を予定しています。ADUHELMのこれまでの臨床第Ⅲ相試験の被験者登録速度に基づくと、主要評価の完了時期は、試験開始から約4年後を見込んでいます。両社は、本試験に参加してくださる医療関係者、医療機関、当事者様、ご家族に感謝申し上げます。また、2021年7月に、約6,000名の被験者登録をめざす観察臨床第Ⅳ相ICARE AD試験に関して、多様性を考慮した目標を設定しています。

参考資料

ADUHELM®(一般名:アデュカヌマブ)注射100 mg/mL溶液について
ADUHELMの適応症は、アルツハイマー病(AD)の治療です。ADUHELMによる治療は、臨床試験において治療開始の対象としたADによる軽度認知障害または軽度認知症の患者様において開始される必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータはありません。本適応症は、ADUHELMの治療により観察されたアミロイドβ(Aβ)プラークの減少に基づき、迅速承認の下で承認されています。本迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。

ADUHELMは、Aβに対するモノクローナル抗体です。脳内のAβプラークの蓄積は、ADの明確な病態生理学的特徴です。ADUHELMの迅速承認は、臨床的有用性、この場合は臨床症状の悪化抑制をもたらす可能性が合理的に高い代理バイオマーカーであるAβプラークの減少に対するADUHELMの効果を示す臨床試験のデータに基づいて付与されました。

ADUHELMは、次のような重篤な副作用を引き起こす可能性があります。アミロイド関連画像異常(ARIA)は、多くは症状を引き起こさない一般的な副作用ですが、重篤になる場合があります。ほとんどの場合症状はありませんが、頭痛、錯乱、めまい、視力の変化、吐き気などの症状が現れる人もいます。医療提供者は、患者様に対してADUHELMによる治療前と治療中に磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを行い、ARIAをチェックします。ADUHELMは、次のような深刻なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。ADUHELMの最も一般的な副作用には、脳内または脳の表面の微小出血を伴うまたは伴わない脳内の浮腫(ARIA)、頭痛と転倒があります。患者様は、副作用に関する医学的アドバイスをもらうように医療提供者に相談する必要があります。2017年10月より、バイオジェンとエーザイは全世界的にアデュカヌマブの開発ならびに製品化を共同で実施しています。

ADUHELMの添付文書投薬ガイドはこちらから入手できます。

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、本社を日本に置くグローバル製薬企業です。当事者とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)・コンセプト」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、エーザイ認知症プラットフォームの確立を企図し、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、新たな便益をお届けする「認知症エコシステム」の構築をめざしています。エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。

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