本資料は、米バイオジェン社が 2022年3月14日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

バイオジェンとエーザイはアルツハイマー病治療薬の提携契約を変更

  • アデュカヌマブの提携は、2023年1月1日より、現契約であるエーザイが費用分担し損益分配を受けるスキームからグローバルなロイヤルティ契約に変更
  • レカネマブに関しては、現行のグローバルな提携を継続
  • レカネマブの商業生産について、バイオジェンによる供給契約を5年から10年に延長
  • バイオジェンとエーザイは、引き続き協力して、当事者様に更なるオプションを提供すべく、両製品の価値最大化をはかる

2022年3月15日:バイオジェン・インク(Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州 ケンブリッジ、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)とエーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、このたび、既存のアデュカヌマブ(米国の製品名ADUHELM)のコラボレーション契約を変更したことをお知らせします。2023年1月1日以降、エーザイは、グローバルな損益分配モデルに代わり、ADUHELMの売上に応じて、2%~8%(10億米ドル超の売上時)の段階的なロイヤルティを受領します。バイオジェンの従来のADUHELMに関する最終意思決定権は、今回の合意に伴って、全世界における単独での意思決定権および商業化権に変更されます。なお、暦年2022年の経済条件に大きな変更はありませんが、2022年1月1日~2022年12月31日の期間におけるADUHELMに関する開発、商業化、製造関連費用を含むエーザイの負担額には合意した上限が設定されます。ロイヤルティモデルへの移行にともない、2023年1月1日以降、エーザイは、ADUHELMに関して、ロイヤルティの受領以外に、いかなる経済的権利・義務も有しません。

開発中の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体レカネマブ(開発品コード:BAN2401)については、両社は、共同で開発および商業化を継続します。エーザイは引き続きレカネマブの開発、薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで両社が共同商業化・共同販促を行います。両社は、レカネマブに関する経済的権利及び義務を等しく有し、エーザイは全売上を計上し、損益は両社で折半します。また、レカネマブの供給契約は5年から10年に延長され、バイオジェンは、スイスのソロトゥルンの工場でレカネマブの原薬を製造し、全世界に安定供給します。

エーザイのCEOである内藤晴夫は、「エーザイとバイオジェンのコラボレーションにより、ADの病理に作用する初めての治療薬として、ADUHELMの米国における承認を取得し、AD治療の歴史に新たな1ページを開くことができました。新しい提携スキームのもと、より効果的に両社のリソースを集中させ、ADUHELMとレカネマブの価値最大化をめざします。本スキームのもと、エーザイはレカネマブに注力し、新しい治療選択肢を必要とする世界の当事者様に一日も早くお届けできるよう全力を尽くしてまいります」と述べています。

バイオジェンのCEOであるミシェル・ヴォナッソスは、「今回の提携契約の変更により、米国におけるADUHELMの保険適用に関するCMSの最終決定などの市場環境の変化に対してバイオジェンがより効率的かつ機動的に対応することが可能となります。また、レカネマブの供給契約を長期に延長したことを嬉しく思います」と述べています。

参考資料

ADUHELM®(一般名:アデュカヌマブ)注射100 mg/mL溶液について

ADUHELMの適応症は、アルツハイマー病(AD)の治療です。ADUHELMによる治療は、臨床試験において治療開始の対象としたADによる軽度認知障害または軽度認知症の患者様において開始される必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータはありません。本適応症は、ADUHELMの治療により観察されたアミロイドβ(Aβ)プラークの減少に基づき、迅速承認の下で承認されています。本迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。

ADUHELMは、Aβに対するモノクローナル抗体です。脳内のAβプラークの蓄積は、ADの明確な病態生理学的特徴です。ADUHELMの迅速承認は、臨床的有用性、この場合は臨床症状の悪化抑制をもたらす可能性が合理的に高い代理バイオマーカーであるAβプラークの減少に対するADUHELMの効果を示す臨床試験のデータに基づいて付与されました。

ADUHELMは、次のような重篤な副作用を引き起こす可能性があります。アミロイド関連画像異常(ARIA)は、多くは症状を引き起こさない一般的な副作用ですが、重篤になる場合があります。ほとんどの場合症状はありませんが、頭痛、錯乱、めまい、視力の変化、吐き気などの症状が現れる人もいます。医療提供者は、患者様に対してADUHELMによる治療前と治療中に磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを行い、ARIAをチェックします。ADUHELMは、次のような深刻なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。ADUHELMの最も一般的な副作用には、脳内または脳の表面の微小出血を伴うまたは伴わない脳内の浮腫(ARIA)、頭痛と転倒があります。患者様は、副作用に関する医学的アドバイスをもらうように医療提供者に相談する必要があります。2017年10月より、バイオジェンとエーザイは全世界的にアデュカヌマブの開発ならびに製品化を共同で実施しています。

ADUHELMの添付文書投薬ガイドはこちらから入手できます。

バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、本社を日本に置くグローバル製薬企業です。当事者とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)・コンセプト」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、エーザイ認知症プラットフォームの確立を企図し、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、新たな便益をお届けする「認知症エコシステム」の構築をめざしています。エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。

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