本資料は、米バイオジェン社が 2023年2月27日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「レカネマブ」の中国における生物ライセンス申請(BLA)が優先審査に指定

    エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq:BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO: クリストファー A. ヴィ―バッハ―、以下 バイオジェン)は、このたび、抗アミロイドβ(Aβ)プロト フィブリル抗体レカネマブ(一般名、米国ブランド名:「LEQEMBI™」)の生物ライセンス申請(BLA)が、中国の国家薬品監督管理局(NMPA)より優先審査に指定されたことをお知らせします。NMPAによる優先審査は、顕著な臨床的価値を持つ新薬等に対する、研究、開発、上市の加速を目的とした制度であり、優先審査に指定されることにより、承認までの期間の短縮が期待されます。

    中国において、エーザイは、2022年12月にNMPAにBLAのデータ提出を開始し、Aβの脳内蓄積が確認されたアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)および軽度AD(総称して早期ADと定義)を対象とした臨床第Ⅱ相試験(201試験)のデータや大規模グローバル臨床第Ⅲ相Clarity AD試験のトップラインデータを含むパッケージを提出しています。今後、中国規制当局の指示に基づき、Clarity AD試験のフルデータ等を追加提出します。

    レカネマブは、ADを惹起させる因子の一つと考えられている、神経毒性を有するAβプロトフィブリルに選択的に結合し、脳内から除去することでADの病態進行を抑制する疾患修飾作用が示唆されています。Clarity AD試験では、主要評価項目ならびに全ての重要な副次評価項目を統計学的に高度に有意な結果をもって達成しました。Clarity AD試験の結果は、2022年11月に第15回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)にて発表し、同時に査読学術専門誌the New England Journal of Medicineにも掲載されました。

    レカネマブについては、米国において、2023年1月6日に米国食品医薬品局(FDA)よりAD治療薬として迅速承認を取得し、同日、フル承認に向けた生物製剤承認一部変更申請(supplemental Biologics License Application:sBLA)を提出しました。欧州においても、1月9日に欧州医薬品庁(EMA)に販売承認申請(MAA)を提出し、1月26日に受理されました。日本においては、1月16日に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に新薬承認申請を行い、1月26日に厚生労働省より優先審査品目に指定されました。

    レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

以上

参考資料

1.中国の優先審査制度について
       中国国家薬品監督管理局(NMPA)による優先審査は、顕著な臨床的価値を持つ新薬等に対する、研究、開発、上市の加速を目的として制定された制度で,優先審査に指定されることにより、承認までの期間の短縮が期待されます。優先審査指定には以下の6つのカテゴリーがあり、レカネマブはカテゴリー1に基づいて優先審査に指定されました。1)緊急的な臨床ニーズがあり、重大な感染症や希少疾患などの予防と治療を目的とした革新的新薬、新剤型の医薬品。2) 小児の生理的特徴に適合する適応追加,新剤型の医薬品。3) 疾病の予防、コントロールのために緊急的な必要性があるワクチンと革新的ワクチン。4) 画期的治療薬に指定された医薬品。5) 条件付き承認手順で審査される医薬品。6) その他、NMPAが優先審査に指定した医薬品。

2.レカネマブについて
       レカネマブ(一般名、米国ブランド名:「LEQEMBI™」)は、BioArctic AB(本社:スウェーデン、以下 バイオアークティック)とエーザイの共同研究から得られた、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体です。米国において、「LEQEMBI」は、2023年1月6日に米国食品医薬品局(FDA)より迅速承認を取得しました。米国における「LEQEMBI」の適応症はアルツハイマー病(AD)の治療です。「LEQEMBI」による治療は、臨床試験と同様、ADによる軽度認知障害または軽度認知症の当事者様において開始する必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性のデータはありません。本適応症は、LEQEMBIで治療された当事者様で観察されたAβプラークの減少に基づき、迅速承認で承認されています。本迅速承認の要件として、検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。

      米国における処方情報はこちらから入手できます。

       レカネマブの皮下注射によるバイオアベイラビリティ試験は終了し、Clarity AD試験OLEにおいて皮下投与の評価が進行中です。
       2020年7月から、臨床症状は正常で、ADのより早期ステージにあたる脳内Aβ蓄積が境界域レベルおよび陽性レベルのプレクリニカルADを対象とした臨床第Ⅲ相試験(AHEAD 3-45試験)を米国のADおよび関連する認知症の学術的臨床試験のための基盤を提供するAlzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)とのパブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)で行っています。ACTCは、National Institutes of Health、National Institute on Agingによる資金提供を受けています。
       また、2022年1月から、セントルイス・ワシントン大学医学部(米国ミズーリ州セントルイス)が主導する優性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(Dominantly Inherited Alzheimer Network Trials Unit、以下 DIAN-TU)が実施する優性遺伝アルツハイマー病(DIAD)に対する臨床試験(Tau NexGen試験)が進行中です。本試験において、レカネマブは抗Aβ療法による基礎療法として選定されました。

3.エーザイとバイオジェンによるAD領域の提携について
       エーザイとバイオジェンは、AD治療剤の共同開発・共同販売に関する提携を2014年から行っています。レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

4.エーザイとバイオアークティックによるAD領域の提携について
       2005年以来、エーザイとバイオアークティックはAD治療薬の開発と商業化に関して長期的な協力関係を築いてきました。エーザイは、レカネマブについて、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるADを対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を取得しています。2015年5月にレカネマブのバックアップ抗体の開発・商業化契約を締結しました。

5.エーザイ株式会社について
       エーザイ株式会社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
       また、当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧に向けた活動に世界のパートナーと連携して積極的に取り組んでいます。
       エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。Twitterアカウント@Eisai_SDGsでも情報公開しています。

6.バイオジェン・インクについて
        1978年に設立されたバイオジェンは、多発性硬化症の広範なポートフォリオを有し、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する二つの治療薬を共同開発するなど、数多くの革新的なイノベーションを生み出したグローバル・バイオテクノロジー企業です。バイオジェンは神経、神経精神、特定の免疫、希少疾患といった領域において画期的な治療となりうるパイプラインを進展させ、サイエンスを通じて人々に貢献するという理念を厳格に追求し、人々がより健康的に、持続可能で平等に生きていける世界となるよう取り組んでいます。
       バイオジェン・ジャパンに関する情報については、https://www.biogen.co.jp/ 、 およびSNS媒体Facebook,Twitter,Instagram,YouTube,LinkedIn,LINEをご覧ください。

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