- 米国で先日承認されたSKYCLARYS® は、フリードライヒ運動失調症の唯一の治療薬
- 今回の買収提案は、アンメットメディカルニーズの高い領域に補完性の高い製品を加えることで、持続可能な成長を追求するバイオジェンの戦略の意義ある前進
- 2025年度以降、バイオジェンの非GAAP希薄化後EPSの大幅な増加を期待
米マサチューセッツ州ケンブリッジ、および同テキサス州プラノ、2023年7月28日 – バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)と Reata Pharmaceuticals, Inc. (NASDAQ略称RETA、以下Reata社)は、Reata社の企業価値として約73億ドルを織り込んだ1株当たり172.50ドルをバイオジェンがキャッシュで支払い、同社を買収する正式契約を締結したことを発表しました。
Reata社は重篤な神経疾患における細胞代謝と炎症を制御する治療薬の開発で大きな進展を果たしてきました。FDAが承認したReata社の SKYCLARYS®(omaveloxolone、オマベロキソロン)は、フリードライヒ運動失調症(FA)の治療薬として米国で承認された最初で唯一の医薬品として発売を開始したところで、欧州では承認審査中です。さらに、Reata社は様々な神経疾患に対する革新的医薬品のポートフォリオを開発中です。
バイオジェンの社長兼最高経営責任者であるクリストファー・ヴィーバッハー(Christopher Viehbacher)は次のように述べています。「スピンラザや最近発売したQALSODYが示したように、希少疾患の医薬品開発と世界規模の製品化に豊富な専門知識を有するバイオジェンは、SKYCLARYSを世界中の患者さんにより迅速にお届けするための基盤を有すると私たちは確信しています。今回の買収はバイオジェンにとって当面の成長軌道を補強する貴重な機会であり、SKYCLARYSは当社の神経筋疾患および希少疾患のグローバルな製品ポートフォリオを見事に補完してくれるものです」。
Reata社の会長兼最高経営責任者であるウォーレン・ハフ(Warren Huff)は次のように述べています。「バイオジェンの高い専門性と市場での実績により、SKYCLARYSの可能性を最大限に発揮させるのに最適な選択肢だと考えました。希少疾患の患者さんの道のりを明確に理解し、製品化のインフラストラクチャーを備えているバイオジェンは、SKYCLARYSをこの極めて重篤な遺伝子疾患の標準治療として確立してくれるものと私たちは確信しています」。
財務上の詳細と取引条件について
今回の取引は両社の取締役会によって承認済みで、現在のところ2023年第4四半期に完了する見込みです。バイオジェンは今回の買収が企業合併と認識されるものと考えています。Reata社の買収は、取引に関連するコストを含めて、2023年度のバイオジェンの非GAAP希薄化後1株当たり利益(EPS)に若干の希薄化効果をもたらし、2024年度は概ね中立的、2025年度以降は大幅な増収をもたらすと期待されます。バイオジェンは2023年度第3四半期の業績発表と合わせて、2023年度通年の業績ガイダンスをアップデートする予定です。
バイオジェンは今回の買収資金の調達を手持ち資金に加えて期限付債務の発行で行う予定です。本取引は、Reata社の株主の承認と必要な規制当局による承認の受領を含め、慣習的な成立条件を満たす必要があります。バイオジェンは書面投票の手続きを開始しており、本取引に対してReata社の株主の一部から同社の普通株議決権の約36%に相当する賛同を得ています。
顧問会社について
本取引においては、ラザード社がバイオジェンの財務顧問を務め、クラバス・スウェイン・アンド・ムーア社が同社の法律顧問を務めました。Reata社に対しては、ゴールドマン・サックス社が財務顧問を、ヴィンソン&エルキンス社が法律顧問を務めました。
SKYCLARYS® (オマベロキソロン)について
SKYCLARYS® (オマベロキソロン)は、成人および16歳以上の青少年におけるフリードライヒ運動失調症の治療薬として米国で承認された経口の1日1回投与の医薬品です。さらに、Reata社によるオマベロキソロンの販売承認申請が欧州医薬品庁(EMA)により審査中です。欧州委員会はオマベロキソロンについて、フリードライヒ運動失調症の治療薬として希少疾病用医薬品に指定しました。
フリードライヒ運動失調症について
フリードライヒ運動失調症は、遺伝性の超希少疾患であり、寿命の短縮を引き起こす消耗性かつ変性性の神経筋疾患です。典型的にはフラタキシン遺伝子の第1イントロン上のトリヌクレオチドリピート伸長が原因となり発症しますが、この遺伝子はミトコンドリアタンパク質であるフラタキシンをコードしています。病原性のリピート伸長は、転写を阻害しフラタキシンの発現を低下させることで、ミトコンドリアの鉄過剰や細胞内鉄動態の制御不良を引き起こし、酸化ストレスに対する感受性の増加やミトコンドリアにおけるATP産生の障害の原因になると考えられています。フリードライヒ運動失調症の患者さんは通常小児期から症状を経験し、進行性の運動失調や筋力低下、倦怠感などから運動機能の喪失へと至り、20代には車椅子の使用を強いられます。米国内でフリードライヒ運動失調症と診断された患者さんの数は約5,000人と推計されています1。
Reata社について
Reata社は、治療薬がほとんどまたは全く存在しない、重篤なあるいは命を脅かす疾患の新規治療薬を開発・製品化することに専念するグローバルなバイオ医薬品企業です。Reata社は細胞代謝と炎症の制御に関わる分子経路にフォーカスしています。Reata社の最初の製品であるSKYCLARYS® (オマベロキソロン)は、フリードライヒ運動失調症の治療薬としてFDAに承認されており、欧州ではEMAにより承認審査中です。加えて、Reata社は糖尿病性神経因性疼痛の治療薬としてセムドメスピブ(cemdomespib)を開発中です。セムドメスピブは開発中の医薬品候補で、その安全性と有効性はどの規制当局によっても確立されていません。詳しい情報は https://reatapharma.com およびSNS媒体 LinkedIn、Twitterをご覧ください。
バイオジェン社について
1978年に設立されたバイオジェンは、多発性硬化症の広範なポートフォリオを有し、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する二つの治療薬を共同開発するなど、数多くの革新的なイノベーションを生み出したグローバル・バイオテクノロジー企業です。バイオジェンは神経、神経精神、特定の免疫、希少疾患といった領域において画期的な治療となりうるパイプラインを進展させ、サイエンスを通じて人々に貢献するという理念を厳格に追求し、人々がより健康的に、持続可能で平等に生きていける世界となるよう取り組んでいます。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
- Lynch DR, et al., Safety and Efficacy of Omaveloxolone in Friedreich Ataxia (MOXIe Study). Ann Neurol. 2021 Feb;89(2):212-225. doi: 10.1002/ana.25934