本資料は、米バイオジェン社が 2025年2月18日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

バイオジェンとストーク・セラピューティクス、ドラベ症候群(難治性発作と神経発達障害に関連する希少な遺伝性てんかん)の治療薬候補zorevunersenの開発と商業化で提携契約を締結

ストーク社は米国、カナダ、メキシコにおけるzorevunersen の独占権を保持
バイオジェンはその他の国・地域における商業化の独占権を取得

本提携によりバイオジェンは希少疾患のパイプラインを拡大し、
希少な遺伝性疾患に対する高価値の疾患修飾薬を全世界で商業化した知見を活用

Zorevunersen の第III相臨床試験「EMPEROR」、予定どおり2025年Q2に開始予定、リードアウトは2027年下半期の見込み

ストーク社は1億6500万ドルの前払金を受領し開発コストの費用分担を得るとともに、マイルストーン支払いとロイヤリティとして最高3億8500万ドルを受領する権利を取得

マサチューセッツ州ケンブリッジおよび同州ベドフォード、2025年2月18日 - バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)とストーク・セラピューティクス・インク(Stoke Therapeutics, Inc., NASDAQ略称STOK、以下ストーク社)は、ドラベ症候群の治療薬として開発中で、ファーストインクラスの疾患修飾薬となる可能性のあるzorevunersenについて、米国、カナダ、メキシコ以外の全ての国と地域での開発と商業化に関する提携契約を締結したことを発表しました。Zorevunersenは、ほとんどのドラベ症候群の根本原因であるSCN1A遺伝子を標的とする開発中のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)です。ストーク社は先日、米国、欧州、日本の各規制当局との協議で合意が得られたことを受けて、zorevunersenの申請に向けた国際共同第III相臨床試験(EMPEROR)を開始する計画を発表しました。本試験は予定どおり2025年第2四半期に開始する予定で、2027年下半期にピボタルデータのリードアウトを見込んでおり、これを受けて全世界での承認申請が可能になるものと期待しています。

重症で繰り返す発作と重大な認知および行動障害を特徴とする重篤な遺伝性の発達性てんかん性脳症であるドラベ症候群の患者さんには、多大な治療上のアンメットニーズがあります。ドラベ症候群には承認済みの疾患修飾治療薬は存在せず、難治性で長期的予後は不良です。現在、米国、英国、欧州連合主要4カ国、および日本で最多で38,000人がドラベ症候群を有していると推計されています。1

ストーク・セラピューティクス社の最高経営責任者で医師であるエドワード・M. ケイ(Edward M. Kaye)は次のように述べています。「バイオジェンの神経疾患領域における深い経験と、希少な遺伝性疾患に対する高価値の疾患修飾薬を全世界で成功裏に商業化してきた実績により、私たちはzorevunersenの恩恵を受け得る全ての患者様にこの薬剤をお届けすることで、ドラベ症候群の治療を新たな時代へと導くことを目指します。さらにこの提携が当社の財務状況に合わさることで、2028年半ばまで当社を支えるキャッシュフローをもたらしてくれます」。

バイオジェンの開発部門の責任者であるプリヤ・シンハル(Priya Singhal)は次のように述べています。「この提携により第III相臨床試験直前の疾患修飾薬候補が加わることでバイオジェンの後期段階のパイプラインを拡大し、希少疾患治療薬の商業化で世界的な実績のある当社の知見を活かすことを可能にします。既に標準治療薬を投与されている患者さんの発作の減少と認知機能および行動機能を測る複数の指標の改善は、ドラベ症候群の根本原因を標的とする初の疾患修飾薬としてのzorevunersenの可能性を示唆するものです」。

提携条件について
ストーク社は今後も引き続きzorevunersenの全世界での開発をリードし、米国、カナダ、メキシコにおける独占的な開発および商業化の権利を保持します。バイオジェンは全世界のその他の国・地域でのzorevunersenの商業化について独占権を取得します。本取引の完了後、ストーク社は1億6500万ドルの前払金を受領します。両社はzorevunersenの対外的な臨床開発費用を折半します(バイオジェンが30%、ストーク社が70%)。さらに、ストーク社は開発および商業化のマイルストーン支払いとして最高で3億8500万ドルを受領する可能性があります。またストーク社はバイオジェンが担当する地域での将来の正味売上高に対して10%台前半から後半の段階的ロイヤリティを受領する資格を有します。

さらにストーク社はバイオジェンに対して、本提携とは別のマイルストーン、コスト折半およびロイヤリティの枠組みを対価として、SCN1Aを標的とする将来の特定の後続ASOに対する米国、カナダ、メキシコ以外での権利をライセンスするオプション権を付与しました。

Zorevunersenはファーストインクラスの可能性のあるドラベ症候群の疾患修飾治療薬
Zorevunersenは、臨床的意義のあるエンドポイントで既存治療に対して大きな改善を示唆する予備的な臨床エビデンスに基づいて、FDAからブレークスルー治療に指定されました。Zorevunersenの臨床第I/IIa相試験およびオープンラベル延長(OLE)試験のデータによると、zorevunersenの治療を受けた被験者はけいれん発作の頻度が大幅にかつ長期にわたって減少し、認知および行動に関する複数の指標で改善を示し疾患修飾の可能性を有することから、承認申請に向けた国際共同臨床第III相試験に進むことが支持されました。これまでの試験を通じてzorevunersenは総じて良好な忍容性を示しています。

ドラベ症候群について
ドラベ症候群は、重症で繰り返す発作と重篤な認知および行動障害を特徴とする重症の発育性てんかん性脳症です。ドラベ症候群のほとんどの症例はSCN1A遺伝子の1つの複製で変異が起き、脳内の神経細胞におけるNaV1.1タンパク質の濃度が不十分になることで発症します。90%以上の患者さんは、既存で最善の抗発作薬による治療にもかかわらず継続的に発作を経験します。ドラベ症候群の合併症はしばしば患者さんや介護者のQOLの悪化を招きます。発達障害や認知障害は、多くの場合知的障害、発達遅延、運動や平衡の問題、言語および発話の混乱、発育異常、睡眠異常、自律神経系の失調、気分障害を含みます。一般的なてんかん患者の集団と比較して、ドラベ症候群のある人々はより高いてんかんの突然死(SUDEP)のリスクがあります。ドラベ症候群は世界中で発症しており、特定の地域や民族集団に偏在しているわけではありません。現在、米国、英国、欧州連合主要4カ国、および日本で最多で38000人がドラベ症候群を有していると推計されています。1

Zorevunersenについて
Zorevunersenは、SCN1A遺伝子の変異していない(野生型の)複製から脳内のNaV1.1タンパク質の生成を増加させることでドラベ症候群の根本原因を治療すべく設計された、開発中のアンチセンスオリゴヌクレオチドです。この高度に差別化された作用機序により、抗発作薬で達成される以上に発作の頻度を減少させ、神経発達、認知、行動を改善させることを目指しています。Zorevunersenは疾患修飾の可能性を示唆し、FDAとEMAから希少疾病用医薬品の指定を受けています。またFDAはzorevunersenを小児用希少疾病用医薬品に指定するとともに、機能獲得型に関連しない、SCN1A遺伝子の変異が確認されたドラベ症候群の治療薬としてブレークスルー治療に指定しました。

ストーク・セラピューティクスについて
ストーク・セラピューティクス(Stoke Therapeutics、NASDAQ略称STOK)は、RNA医薬品で人体が持つ潜在力を活用することで、タンパク質の発現を修復する技術に専念するバイオテクノロジー企業です。特許で保護されているストーク社のTANGO(Targeted Augmentation of Nuclear Gene Output=核遺伝子アウトプットの標的増強)アプローチにより、ストーク社はタンパク質を自然発生の濃度に選択的に回復させるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASOs)を開発しています。ストーク社の開発中の最初の医薬品である、zorevunersenはドラベ症候群の患者様に疾患修飾の可能性を示唆し、2025年に第III相臨床試験を開始する予定です。ストーク社の当初の重点領域は、正常なタンパク質濃度が約50%喪失(ハプロ不全)することで発症する中枢神経系疾患と眼病です。他の臓器、組織、系統でも概念実証が確認されており、同社独自のアプローチの幅広い可能性が支持されています。ストーク社はマサチューセッツ州ベドフォードに本社を置き、同州ケンブリッジにもオフィスを構えています。同社についてのより詳しい情報は https://www.stoketherapeutics.com/ をご覧ください。

バイオジェンについて
1978年に設立されたバイオジェンは、多発性硬化症の広範なポートフォリオを有し、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する二つの治療薬を共同開発するなど、数多くの革新的なイノベーションを生み出したグローバル・バイオテクノロジー企業です。バイオジェンは神経、神経精神、特定の免疫、希少疾患といった領域において画期的な治療となりうるパイプラインを進展させ、サイエンスを通じて人々に貢献するという理念を厳格に追求し、人々がより健康的に、持続可能で平等に生きていける世界となるよう取り組んでいます。バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体XLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

参考文献
  1. Based on Stoke Therapeutics’ preliminary estimates, which scaled annual incidence to prevalence using country-specific live birth rates over the past 85 years and adjusted for Dravet-specific mortality. The estimate is based on incidence rates published by Wu et al., Pediatrics, 2015.
Biogen-260239