EUにおけるレカネマブの適応は、アミロイド病理が確認された
ApoEε4が非保有またはヘテロ接合体である成人における
アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度認知症の治療
EUにおいて早期ADを対象として承認された、疾患の根本原因を標的とする初めての治療剤
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq:BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:クリストファー A. ヴィーバッハー、以下 バイオジェン)は、このたび、抗アミロイドベータ(Aβ)モノクローナル抗体「レケンビ®」(一般名:レカネマブ)について、欧州委員会(European Commission)より、欧州連合(EU)における販売承認を取得したことをお知らせします。本剤は、EUにおいて販売承認を取得したアルツハイマー病の根本原因を標的とする初めての治療剤となります1,2。
「レケンビ」がEUにおいて取得した適応は、「アミロイド病理が確認されたApoEε4*が非保有またはヘテロ接合体である成人におけるアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症(総称して早期AD)の治療1」です。本販売承認は、EU加盟国全27か国に加え、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーに適用されます3。
「レケンビ」は、毒性の高いプロトフィブリル**(可溶性Aβ凝集体)に選択的に結合して除去するとともにAβプラーク(不溶性Aβ凝集体)を標的として減少させる、唯一の承認を取得した抗Aβモノクローナル抗体です1,2,4-7。プロトフィブリルは、脳内に蓄積し、神経損傷を引き起こす、Aβの凝集体の中でも毒性を有する主要な形態です4-10。
欧州におけるアルツハイマー病に伴う軽度認知障害およびアルツハイマ―型認知症の当事者数はそれぞれ、1520万人、690万人と推定されています11。ADは、時間の経過とともに段階的に進行して重症度が増し、その疾患の段階によってAD当事者様と介護者にそれぞれ異なる困難をもたらすため、早期ステージからADの進行を遅らせ、AD当事者様と社会の負担を軽減する新しい治療オプションに対して、大きなアンメット・ニーズが存在します。
エーザイのCEO内藤晴夫は「今回の承認取得により、「レケンビ」は、早期ADの進行を抑制するEUにおいて初めての治療選択肢となりました。認知症領域における当社の約40年に及ぶ取り組みがこの重要なマイルストンにつながったことを誇りに思うとともに、この病気に苦しむ世界中の当事者様のより良い未来のために貢献していく所存です。EU各国でレケンビを必要とする早期AD当事者様ができるだけ早く本剤にアクセスできるよう各国の保険償還当局や医療提供者と連携して取り組み、EUにおける当事者様に加え、介護されるご家族、さらには社会に対して貢献することをめざしてまいります」と述べています。
バイオジェンの社長兼CEO クリストファー A. ヴィーバッハーは「欧州委員会によるレカネマブの承認は、この重要な治療剤の承認として世界で13番目となります。レカネマブはすでに、米国、日本、および世界の他の地域で多くの当事者に貢献しています。レカネマブは、脳内のAβプラークの減少が、早期AD当事者の認知機能低下の抑制と関連していることを示した初めての治療剤です。これは、過去20年間にイノベーションが殆ど起こらなかった分野における画期的な進歩です」と述べています。
エーザイは、本剤の開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。北欧諸国を除くEUにおいては、エーザイおよびバイオジェンが共同販促を行い、エーザイが医薬品市販承認取得者として本剤を販売します。北欧諸国においては、エーザイおよびBioArctic AB(本社:スウェーデン)が共同販促を行い、エーザイが医薬品市販承認取得者として本剤を販売します。
* ApoE(アポリポプロテインE)は、人間の脂質代謝に関与するタンパク質で、ADに関与していると考えられています。ApoEε4遺伝子を1つだけ持つ人(ヘテロ接合体)やApoEε4 遺伝子を持たない人(非保有者)は、ApoEε4 遺伝子を2つ持つ人(ホモ接合体)よりもARIAを発症する可能性が低くなります2。ARIAは、脳の腫れや出血を引き起こす可能性のある、レカネマブの重要な副作用とされています1,2。
** プロトフィブリルは、ADによる脳損傷に寄与し、この進行性の深刻な疾患の認知機能低下に主な役割を果たす、最も毒性が高いAβ種であると考えられています7。プロトフィブリルは脳内の神経細胞の損傷を引き起こし、その結果、複数のメカニズムを介して認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります7。そのメカニズムとして、不溶性Aβプラークの発生を増加させるだけでなく、神経細胞やその他の細胞間のシグナル伝達に直接的な損傷を起こすことも報告されています8。プロトフィブリルを減らすことで、神経細胞への損傷や認知機能障害を軽減させ、ADの進行を防ぐ可能性があると考えられています8。
以上