本資料は、米バイオジェン社が 2025年6月27日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

バイオジェン、ヌシネルセンの新データ発表:SMAのアウトカム改善に向けた臨床研究推進へのコミットメントを示す

  • DEVOTE試験パートCの新たな解析結果により、スピンラザ®(ヌシネルセン)標準用量(12mg)から高用量の治験薬レジメンへ移行したSMA患者における運動機能の改善がさらに明らかになった
  • 画期的なNURTURE試験の最終結果で、臨床症状未発症のSMA患者に対するスピンラザ ® 12mgによる早期治療の効果がより明らかになり、小児被験者の92%が自立歩行ができることが示された

米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、2025年6月27日‐バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)は、脊髄性筋萎縮症(SMA)と診断された幅広い患者層において、ヌシネルセンの臨床的有用性を裏付ける新たなデータを発表しました。今回の最新データは、ヌシネルセンの高用量レジメンを評価したDEVOTE試験パートCおよび、承認済みの12mgレジメン(スピンラザ®)を臨床症状未発症のSMA患者に対して評価したNURTURE試験から得られたものであり、カリフォルニア州アナハイムで開催されたCure SMA主催のSMA Research & Clinical Care Meetingにて発表されました。
現在、ヌシネルセンの高用量レジメンの承認申請中であり、米国、欧州、日本を含む世界各国において審査が進められています。臨床試験は、より迅速な負荷レジメン(50 mgを14日間間隔で2回投与)と、より高用量の維持レジメン(28 mgを4月ごとに投与)で構成されています。

バイオジェンの神経筋疾患開発部門責任者であるStephanie Fradette, Pharm.D.は次のように述べています。「SMA治療の選択肢が進化を続ける中、バイオジェンはSMAに関連するアンメットニーズに対応するという当社の揺るぎない取り組みを継続していきます。DEVOTE試験パートCの結果は、高用量レジメンのヌシネルセンがもたらす潜在的な効果を裏付けるエビデンスをさらに強化するものです」。

ヌシネルセン高用量レジメンにより、既治療患者集団において改善が確認された
DEVOTE試験パートCの詳細な結果から、既承認用量のヌシネルセン12 mg を約4年間(中央値:3.9年)投与された幅広い年齢層の被験者38名に対して、試験中の高用量ヌシネルセンの臨床的な有用性が示唆されました。参加者の年齢は4歳から65歳で、そのうち半数(19名)は歩行可能な状態でした。パートCでは、試験期間中に非盲検下で高用量ヌシネルセンの負荷投与(50 mg)を1回、維持投与(各28 mg)を2回投与しました。

多くの被験者において、高用量レジメンへの移行後にハマースミス運動機能評価スケール(Hammersmith Functional Motor Scale, HFMSE)、上肢モジュール改訂版(Revised Upper Limb Module, RULM)および/または臨床的全般印象変化尺度(CGI-C、治験責任医師又は介護者による評価)の改善が認められました。これらの改善は、表現型、機能状態、年齢を問わず幅広い層において確認されました。例えば、歩行不能な被験者ではHFMSEで平均+2.5ポイント(95%信頼区間:0.49~4.56)改善し、歩行可能な被験者では+1.1ポイント(95%信頼区間:-0.68~2.89)改善しました。
セント・ジュード小児研究病院の試験的神経治療センター(Center for Experimental Neurotherapeutics, CENT)のディレクターであるRichard Finkel医学博士は次のように述べています。「これらの新たに得られたデータは、罹患歴の長い患者さんにおいても、さらなる機能改善の可能性があることを示唆しています。スピンラザ®の投与量の最適化に向けたこの取り組みは、神経筋疾患領域にとって非常に意義深く、今後の治療方針を根本的に変える可能性を秘めています」。

高用量ヌシネセンの安全性プロファイルは、承認済みの12mg用量のスピンラザ®と概ね一貫していることが確認されました。DEVOTE試験全体を通じて報告された有害事象(AE)には、肺炎、呼吸不全、発熱、COVID-19、上気道感染、処置に伴う疼痛および頭痛などでした。パートCでは、40例中37例にAEが報告され、その大半は軽度から中等度のものでした。重篤なAEは6例(15%)報告されましたが、いずれも治験担当医師により治験薬またはその投与との関連性はないと判断されました。

NURTURE試験の最終データにより、早期治療に対する期待を一新
8年間にわたる非盲検試験であるNURTURE試験の最終データは、臨床症状未発現のSMA乳児に対するスピンラザ®12mgによる早期介入がもたらす影響を明らかにしました。

NURTURE試験に参加したすべての小児(n=25)は試験終了時に生存しており、試験期間を通じて臨床的有用性が確認されました。いずれの被験者も永続的な人工呼吸管理を必要とせず、大多数(25例中20例)が試験期間を通じて一切の呼吸補助を必要としませんでした。さらに被験者の92%が自立歩行を達成し、その多くは正常な発達時期内での達成でした。また、ベースライン時にニューロフィラメント軽鎖(NfL)濃度が上昇していた被験者では、ヌシネルセンの投与開始後にNfLが急速かつ持続的に低下したことから、NfLがSMAの疾患活動性及び治療効果の客観的バイオマーカーとして有用である可能性が裏付けられました。

ヌシネルセンの忍容性は概ね良好であり、8年間の追跡調査で新たな安全上の懸念は確認されませんでした。すべての被験者に少なくとも1件以上のAEが発現し、その大部分は軽度~中等度であり、いずれの症例においても投与中止又は治験中止に至ったAEは認められませんでした。

スピンラザ®について
スピンラザ®(ヌシネルセン)髄注12 mgは脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児、小児および成人の治療薬として世界71カ国以上で承認されています。SMAの基盤となる治療として、全世界で14,000人以上がスピンラザの治療を受けています。1  

スピンラザは体内で生成される完全長Survival Motor Neuron (SMN)タンパクの量を継続的に増やすことで、運動ニューロン喪失の根本原因を標的にするアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)です。2 SMAの発症部位に到達できるよう、スピンラザは運動ニューロンが存在する中枢神経系に直接投与されます。2

スピンラザは、最長10年間治療を受けた参加者データ3,4と他に類のないリアルワールドでの経験に基づき、十分に確立された安全性プロファイルを有し、様々な年齢や異なるタイプのSMAに持続した有効性を示してきました。ヌシネルセンの臨床開発プログラムには、2つの無作為化対照試験(ENDEAR試験およびCHERISH試験)を含む、幅広い患者集団にわたる460人以上の参加者を組み入れた10本以上の臨床試験があります。オープンラベルのNURTURE延長試験はスピンラザの長期的な影響を評価しています。臨床試験で最も多く観察された有害事象は、呼吸器感染症、発熱、便秘、頭痛、嘔吐、腰痛でした。いくつかのASO薬投与後には腎毒性や急性で重篤な血小板数減少を含む血液凝固異常が観察されていますが、それらは臨床検査によりモニターすることができます。

バイオジェンは、スピンラザを開発・製造・製品化するためのグローバルな権利を、アイオニス・ファーマシューティカルズ社(NASDAQ略称IONS)から供与されています。

バイオジェンについて
1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。

バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体XLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

参考文献
  1. Based on commercial patients, early access patients, and clinical trial participants through December 31, 2022. 
  2. SPINRAZA U.S. Prescribing Information is avalable at: https://www.spinraza.com/content/dam/commercial/specialty/spinraza/caregiver/en_us/pdf/spinraza-prescribing-information.pdf. Accessed: June 2025. 
  3. Core Data sheet, Version 13, October 2021. SPINRAZA. Biogen Inc, Cambridge, MA.
  4. Finkle et al. Cure SMA 2024. “Final Safety and Efficacy Data From the SHINE Study in Participants With Infantile-Onset and Later-Onset SMA.”
Biogen-268535