多発性硬化症治療剤「タイサブリ®点滴静注300mg」の再審査結果のお知らせ
適正使用の推進、情報提供に引き続き注力

バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長・傳幸諭)は、多発性硬化症(MS)治療薬であるナタリズマブ(製品名:タイサブリ🄬点滴静注300mg、以下:タイサブリ🄬)につきまして、厚生労働省から再審査結果通知を受け、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しないことが確認されましたことをお知らせいたします。

本剤は、2014年6月に「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を効能・効果として承認されました。その際の承認条件として(1)「製造販売後、一定数の症例にかかるデータが集積されるまでの間は、全症例を対象とした使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」(2)「本剤の投与が、多発性硬化症の診断、治療に精通し、進行性多巣性白質脳症を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとでのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること」が付記されていました。

この度の再審査結果通知は、承認条件(1)の使用成績調査(以下、全例調査)が適切に実施され、承認条件は満たされたものと判断されたこと、承認条件(2)として講じた措置が製造販売後に適切に実施されたものと判断されたことによるものです。
これに伴い、全例調査に対する承認条件が解除されました。なお、承認条件(2)につきましては、本剤の適正使用のため再審査終了後も継続いたします。
本再審査の結果により、タイサブリ🄬の「効能又は効果」、「用法及び用量」に変更はありません。

バイオジェン・ジャパンは引き続き本剤の適正使用の推進、情報提供に努め、患者様のQOL向上に貢献してまいります。

全例調査について
全例調査は、承認条件(1)に基づき、タイサブリ🄬について、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること目的に、2014年6月~2022年8月の間に実施され、国内154施設からの症例(安全性解析対象症例681例、有効性解析対象症例639例)が収集されました。

リスク管理について
承認条件(2)に基づき、タイサブリ🄬の適正使用に関する理解を促すことを目的とした医師又は患者向けの資材作成・配布及び情報提供、流通管理、並びに弊社サイトにおける情報提供を通じ、多発性硬化症の診断、治療に精通し、進行性多巣性白質脳症を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとでのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じています。

再審査期間中の副作用及び感染症について
再審査期間中に収集した副作用のうち、再審査申請時の添付文書の「使用上の注意」から予測できる重篤な副作用は32例40件、使用上の注意から予測できない重篤な副作用は128例154件、予測できない非重篤な副作用は423例425件でした。なお、感染症報告はありませんでした。「使用上の注意」から予測できない副作用については、原疾患であるMSの自然経過の可能性が考えられる、あるいは、本剤との関連性を示唆する症例の集積が少ないこと等から、現時点で「使用上の注意」への追記等の新たな安全対策は不要と判断されました。

タイサブリ🄬について
タイサブリ🄬は疾患修飾薬(DMT)の一つで、米国、EU、カナダ、オーストラリア、スイスなど80カ国以上で承認されています。タイサブリ🄬α4-インテグリンと選択的に結合するモノクローナル抗体の一種であり、α4β1-インテグリンとvascular cell adhesion molecule-1の間の相互作用を遮断することでMS患者の炎症性細胞の活性を阻害すると考えられています。こうした分子の相互作用が遮断されると内皮間白血球の炎症を起こした実質組織への移転が妨げられます。タイサブリはこのようにMSに作用すると考えられていますが、その具体的なメカニズムが完全に解明されているわけではありません。

多発性硬化症について
多発性硬化症は、深刻な慢性進行性神経疾患であり、認知機能、心理社会的機能、及び身体機能の全てに影響を及ぼし、中枢神経系における炎症、ミエリン破壊、オリゴデンドロサイトの細胞死、軸索損傷、及びその後の神経細胞の喪失を特徴とする自己免疫疾患です。多発性硬化症の有病率は人種間及び地域間で差があり、日本における推定有病率は欧米諸国の10%程度と報告されています1)2)。また、多発性硬化症の日本での罹患率は、2017年全国臨床疫学調査によれば10万人当たり14.2人(95%信頼区間,12.6–15.8)と報告されています3)

  • 1)堀内泉, 吉良潤一.多発性硬化症.田村晃, 松谷雅生, 清水輝夫編.EBMに基づく脳神経疾患の基本治療指針.メジカルビュー社; 2002:276-79
  • 2)The Multiple Sclerosis International Federation, Atlas of MS, 3rd Edition, Sep 2020 (www.atlasofms.org.)
  • 3)Watanabe M, Isobe N, Kira J et al, Prevalence of, and Disability Due to, Multiple Sclerosis and Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder in Japan by the Fifth Nationwide Survey., Neurology. 2024 Nov 26;103(10): e209992.

バイオジェンについて
1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。

投資家の皆さんにとって重要な情報についてはバイオジェンのウェブサイトwww.biogen.comに定期的に掲載しています。当社のSNS媒体FacebookLinkedInXYouTubeもご覧ください。

バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で有数の歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しています。日本の患者さんにも革新的な医薬品やより良い治療環境を提供すべく活動を展開しています。
バイオジェン・ジャパンに関する情報については、https://www.biogen.co.jp/ 、およびSNS媒体FacebookXInstagramYouTubeLinkedInLINEをご覧ください。

Biogen-267837