‐ピボタル第III相国際共同試験で、52週間の治療期間を通じてzorevunersenの有効性と安全性をシャム(偽薬)群と比較評価する
‐ドラベ症候群は、難治性てんかん発作と神経発達障害を特徴とする希少な遺伝性疾患であり、現在この疾患の根本原因に対する承認された治療薬は存在しない
マサチューセッツ州ケンブリッジおよび同州ベドフォード、2025年8月11日 - バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)および、RNA医薬によって人体の可能性を引き出し、タンパク質の発現を回復させることに取り組むバイオテクノロジー企業であるストーク・セラピューティクス・インク(Stoke Therapeutics, Inc., NASDAQ略称STOK、以下ストーク社)は、ドラベ症候群の治療を目的としたzorevunersenのグローバル第III相EMPEROR試験において、最初の患者への投与が行われたことを発表しました。Zorevunersenは現在開発中のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であり、ドラベ症候群に対する初の疾患修飾薬となる可能性があります。
ストーク社のチーフメディカルオフィサーであるバリー・ティコ(Barry Ticho, M.D., Ph.D.)は次のように述べています。「第I/Ⅱ相試験およびオープンラベル延長試験により、zorevunersenに関する豊富なデータが得られ、投与量、治療期間、評価項目の選択および統計的検出力など、EMPEROR試験デザインの指針となりました。この疾患の重篤性と現在の治療法の限界を踏まえると、痙攣発作の大幅かつ持続的な減少および、認知および行動障害の継続的な改善はzorevunersenがドラベ症候群の患者さんの予後を改善する可能性があるという私たちの信念を裏付けるものです」。
バイオジェンのセラピューティックス領域開発部門の責任者であるキャサリン・ドーソン(Katherine Dawson, M.D.)は次のように述べています。「EMPEROR試験の開始は、zorevunersenの開発における重要なマイルストーンとなります。現在使用可能な抗てんかん薬による治療を受けても、この希少な遺伝性疾患の認知および行動障害の根本原因に対応できる治療薬は存在しません。Zorevunersenが承認されれば初のドラべ症候群に対する疾患修飾薬として新たな選択肢をもたらすこととなることを期待して、ストーク社と共にzorevunersenを前進させることを期待しています」。
EMPEROR 第III相ピボタル試験概要
- 対象患者の想定条件:SCN1A遺伝子に機能獲得型変異を伴わないバリアント(変異)を有することが確認された、2歳以上18歳未満のドラベ症候群の患者
- 試験期間:8週間のベースライン期間の終了後、参加者を1:1の割合でzorevunersen群またはシャム群に無作為に割り付け、52週間にわたり投与する。
- 治療群の構成:実薬投与群の患者には、70mgの負荷投与を初日および8週の2回投与し、その後維持用量として45mgを24週および40週に投与する。すべての患者は、試験期間中に標準治療を継続する。
- 主要評価項目: 28週における大運動性発作 の頻度の変化量
- 主な副次評価項目:52週における大運動性発作の頻度の変化量を主要評価項目とし、行動および認知機能の変化については、Vineland-3の下位領域(表出性コミュニケーション、受容的コミュニケーション、対人関係、対処スキル、日常生活スキル)を用いて52週時点で評価
- 適格基準を満たした被験者には、zorevunersenによるオープンラベル延長試験として継続投与できる機会を提供
EMPEROR試験の治験責任医師であり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の神経学および小児科学教授、ならびに小児てんかんセンター・オブ・エクセレンスのディレクターであるジョセフ・サリバン(Joseph Sullivan M.D., FAES)は次のように述べています。「ドラベ症候群は最も研究が進んでいる遺伝性てんかんの一つであり、患者さんやその介護者の生活に重大な影響を及ぼす可能性があることがわかっています。発作を軽減させることは重要な臨床的成果であることはもちろんですが、根本的な遺伝的原因に働きかけ、また神経発達症状にも対応する可能性が示されることは、疾患の治療方法に根本的な変化をもたらすことを意味します。EMPEROR試験への高い関心は、治療の緊急性を示していることに他なりません」。EMPEROR臨床試験は、米国、英国、日本で開始されており、今後ヨーロッパでも実施が予定されています。EMPEROR試験の詳細については、https://www.emperorstudy.com/ 、https://clinicaltrials.gov/study/NCT06872125のウェブサイトをご覧ください。
バイオジェンについて
1978年に設立されたバイオジェンは、数多くの革新的なイノベーションを生み出し、株主や私たちを取り巻くコミュニティに価値を創出するグローバル・バイオテクノロジー企業です。私たちはファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を前進させ、優れた成果を提供するために、人のバイオロジーに対する深い理解を応用していきます。バイオジェンに関する情報については、バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体X, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
ストーク・セラピューティクスについて
ストーク・セラピューティクス(Stoke Therapeutics、NASDAQ略称STOK)は、RNA医薬品で人体が持つ潜在力を活用することで、タンパク質の発現を修復する技術に専念するバイオテクノロジー企業です。特許で保護されているストーク社のTANGO(Targeted Augmentation of Nuclear Gene Output=核遺伝子アウトプットの標的増強)アプローチにより、ストーク社はタンパク質を自然発生の濃度に選択的に回復させるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASOs)を開発しています。ストーク社の開発中の最初の医薬品である、zorevunersenはドラベ症候群の患者において疾患修飾の可能性を示しており、現在第III相試験を通じて評価されています。ストーク社の当初の重点領域は正常なタンパク質濃度が50%程度まで喪失(ハプロ不全)することで発症する中枢神経系および眼病に関連する疾患です。他の臓器、組織、系統でも概念実証が確認されており、同社独自のアプローチの幅広い可能性が支持されています。ストーク社はマサチューセッツ州ベドフォードに本社を置き、同州ケンブリッジにもオフィスを構えています。同社についてのより詳しい情報はhttps://www.stoketherapeutics.com/ をご覧ください。
ドラベ症候群について
ドラベ症候群は、重度の反復性発作と重大な認知および行動障害を特徴とする重度の発育性てんかん性脳症です。ドラベ症候群のほとんどの症例はSCN1A遺伝子の1コピーの変異が原因であり、脳の神経細胞におけるNaV1.1タンパク質のレベルが不十分になることで発症します。90%以上の患者さんは、利用可能な最善の抗けいれん薬による治療にもかかわらず発作が継続します。ドラベ症候群の合併症はしばしば患者さんや介護者のQOLの悪化を招きます。発達障害や認知障害は、多くの場合知的障害、発達障害、運動や平衡障害、言語および会話障害、発育障害、睡眠異常、自律神経系の失調、気分障害を含みます。一般的なてんかん患者の集団と比較して、ドラベ症候群の患者はより高いてんかんによる予期せぬ突然死(SUDEP)のリスクがあります。ドラベ症候群は世界中で発症しており、特定の地域や民族集団に偏在しているわけではありません。現在、米国、(約16,000人)、英国、欧州連合主要4カ国、および日本では、最大3,8000人がドラベ症候群に罹患していると推計されています。1
Zorevunersenについて
Zorevunersenは、SCN1A遺伝子の非変異(野生型)コピーから脳内のNaV1.1タンパク質の産生を増加させることでドラベ症候群の根本原因を治療するようにデザインされた、開発中のアンチセンスオリゴヌクレオチドです。この高度に差別化された作用機序により、抗けいれん薬で達成される以上に発作の頻度を減少させ、神経発達、認知、行動を改善させることを目指しています。Zorevunersenは疾患修飾の可能性を示唆し、FDAとEMAから希少疾病用医薬品の指定を受けています。またFDAはzorevunersenを小児用希少疾病用医薬品に指定するとともに、機能獲得型と関連しないSCN1A遺伝子の変異が確認されたドラベ症候群の治療薬としてブレークスルーセラピー(Breakthrough Therapy)に指定しました。ストーク社は、ドラベ症候群に対するzorevunersenの開発および商業化に関して、バイオジェン社と戦略的提携を結んでいます。本提携のもと、ストーク社は米国、カナダ、メキシコにおけるzorevunersenの独占的権利を保持し、バイオジェン社はそれ以外の地域における商業化の独占的権利を有します。
EMPEROR試験について
EMPEROR第3相試験(NCT06872125)は、ドラベ症候群の小児(2歳以上18歳未満)を対象に、zorevunersenの有効性、安全性および忍容性を評価する国際共同二重盲検・シャム対照試験です。対象となる患者は、機能獲得と関連しないSCN1A遺伝子変異が確認されている必要があります。
この試験は、米国、日本、英国、EUにおいて参加者の登録が予定されており、8週間のベースライン期間の後、参加者は1:1の割合で無作為に割り付けられ、zorevunersenの髄腔内投与またはシャム投与を52週間受けることになります。
試験終了後、適格な参加者にはzorevunersenによる継続投与がオープンラベル延長試験(OLE)として提供されます。
本試験の主要評価項目は、Week 28におけるzorevunersen群とシャム群の比較による、大運動性発作頻度のベースラインからの変化率です。
主要な副次評価項目には、大運動性発作の頻度に対する効果の持続性、およびVineland-3のサブドメイン(表出性コミュニケーション、受容性コミュニケーション、対人関係、対処スキル、個人スキルを含む)によって測定される行動および認知の改善です。
その他の評価項目には、安全性、医師による全般改善度(CGI-C)、介護者による全般改善度(CaGI-C)、およびベイリー乳幼児発達検査(BSID-IV)が含まれます。
詳細は公式サイト https://www.emperorstudy.com/をご覧ください。
- Based on Stoke Therapeutics’ preliminary estimates, which scaled annual incidence to prevalence using country-specific live birth rates over the past 85 years and adjusted for Dravet-specific mortality. The estimate is based on incidence rates published by Wu et al., Pediatrics, 2015.