脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬「スピンラザ®髄注」高用量投与レジメン日本にて承認取得

 

~より高い運動機能改善を目指す新たな治療選択肢~

バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長・傳幸諭は、脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬であるヌシネルセン(製品名:スピンラザ🄬)について高用量投与レジメンが本日、新用量医薬品/剤型追加(28㎎製剤、50㎎製剤)に係る医薬品の承認を取得しましたことをお知らせします。米国、欧州に続いて、日本でも本件における承認申請を本年2月に行いましたが、承認取得は日本が世界で初となりました。ヌシネルセンの高用量投与レジメンは、承認済みのヌシネルセン投与レジメンと比較して、より迅速な初期投与レジメン(50mgを14日間隔で2回投与)と、より高用量の維持投与レジメン(4ヵ月ごとに28mg投与)で構成されています。製剤は、既承認の12mg製剤に加え、28mgおよび50mgの高用量製剤を新たに加えたもので、より高い運動機能改善を期待する1SMA患者さんに対する治療選択肢の拡充を目的としています。

バイオジェン・ジャパンの社長である傳幸諭は次のように述べています。「本日、私たちは世界で初のスピンラザ高用量投与レジメンの承認を取得することができました。私たちは2017年、かつては治療法が存在しない難病とされていたSMAに対し、国内初の治療薬としてスピンラザ🄬を発売しました。SMAの治療はその後進化を続け、治療の選択肢が大きく広がりました。しかしながらSMA患者さんからはもっと改善したいというニーズが存在することを伺っておりました。そのような患者さんに新たな治療選択肢をお届けできることを大変うれしく思います」。

スピンラザ🄬の高用量投与レジメンは232SM203試験(DEVOTE試験)の結果に基づき承認されました。DEVOTE試験は臨床第II/III相無作為化用量漸増対照試験で、SMAの治療薬として現在承認されているレジメン(12 mg)より高用量(50 mg/28 mg)のヌシネルセン投与の安全性、忍容性、薬物動態、および有効性を評価するものです。DEVOTE試験では50mg/28mgの有効性及び安全性を検討するため、3部構成(パートA/B/C)の試験が実施されました。2特にパートBでは、乳児型SMA患者におけるスピンラザ高用量群(50/28mg)と従来用量群(12/12mg)、および過去の臨床試験のシャム処置群との比較が行われました。主要評価項目である乳児の運動機能を定量的に評価するCHOP INTEND (Children’s Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders)の合計スコアのベースラインから183日目までの変化量において、高用量群はシャム処置群に対して統計学的に有意な改善を示し、その優越性が検証されました(LS平均値の差:26.1、p<0.0001)。 2

また、副次評価項目として、血漿中ニューロフィラメント軽鎖(NF-L)濃度の低下や、無イベント生存期間の延長なども確認されました。安全性については、高用量群での副作用発現率は6.0%であり、主な副作用は貧血(2.0%)、好酸球増加症(2.0%)、発熱(2.0%)、不快気分(2.0%)、湿性咳嗽(2.0%)、紅斑性皮疹(2.0%)などであり、重篤な副作用や投与中止に至った例は認められませんでした。 2

スピンラザ®について
スピンラザは脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児、小児および成人の治療薬として世界71カ国以上で承認されています。SMAの基盤となる治療として、全世界で14,000人以上がスピンラザの治療を受けています。3
スピンラザは体内で生成される完全長Survival Motor Neuron (SMN)タンパクの量を継続的に増やすことで、運動ニューロン喪失の根本原因を標的にするアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)です。4 SMAの発症部位に到達できるよう、スピンラザは運動ニューロンが存在する中枢神経系に直接投与されます。4

スピンラザは、最長10年間治療を受けた参加者データ5 6と他に類のないリアルワールドの経験に基づき、十分に確立された安全性プロファイルを有し、様々な年齢や異なるタイプのSMAに持続した有効性を示してきました。ヌシネルセンの臨床開発プログラムには、2つの無作為化対照試験(ENDEAR試験およびCHERISH試験)を含む、幅広い患者集団にわたる460人以上の参加者を組み入れた10本以上の臨床試験があります。オープンラベルのNURTURE延長試験はスピンラザの長期的な影響を評価しています。臨床試験で最も多く観察された有害事象は、呼吸器感染症、発熱、便秘、頭痛、嘔吐、腰痛でした。いくつかのASO薬投与後には腎毒性や急性で重篤な血小板数減少を含む血液凝固異常が観察されていますが、それらは臨床検査によりモニターすることができます。

バイオジェンは、スピンラザを開発・製造・製品化するためのグローバルな権利を、アイオニス・ファーマシューティカルズ社(NASDAQ略称IONS)から供与されています。

製品に関する概要

製品名(変更内容下線部) スピンラザ®髄注 12㎎/28mg/50mg
一般名(JAN) ヌシネルセンナトリウム
効能・効果 脊髄性筋萎縮症
用法・用量(変更内容下線部) < スピンラザ髄注 50mg/28mg >
通常、ヌシネルセンとして、初回及び初回投与2 週間後に 50mg を投与し、以降 4 ヵ月の間隔で 28mg の投与を行うこととし、 いずれの場合も 1~3 分かけて髄腔内投与すること。

< スピンラザ髄注 12mg >
< 乳児型脊髄性筋萎縮症、臨床所見は発現していないが遺伝子 検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症 >
通常、ヌシネルセンとして、1回につき下表の用量を投与する。 初回投与後、2 週、4 週及び 9 週に投与し、以降 4 ヵ月の間隔 で投与を行うこととし、いずれの場合も 1~3 分かけて髄腔内 投与すること。
< スピンラザ髄注 12mg >
< 乳児型以外の脊髄性筋萎縮症 >
通常、ヌシネルセンとして、1回につき下表の用量を投与する。 初回投与後、4 週及び 12 週に投与し、以降 6 ヵ月の間隔で投 与を行うこととし、いずれの場合も 1~3 分かけて髄腔内投与 すること。
副作用 重大な副作用:水頭症(頻度不明)。その他の副作用:誤嚥性肺炎、頭痛、頻脈、嘔吐、背部痛、発熱、尿中結晶陽性、腰椎穿刺後症候群(頭痛、吐き気、嘔吐)(頻度1%以上)。詳細は添付文書をご確認ください。
製造販売承認日 < スピンラザ髄注 12mg > 2017年7月3日
< スピンラザ髄注 50mg/28mg > 2025年9月19日
製品提供開始日 < スピンラザ髄注 12mg > 2017年8月30日
< スピンラザ髄注 50mg/28mg > 薬価収載後速やかに発売予定
製造販売元 バイオジェン・ジャパン株式会社

 

SMAについて
SMA(脊髄性筋萎縮症:Spinal Muscular Atrophy)は、主に乳児期から小児期に発症する進行性の神経筋疾患で、運動神経細胞の変性・消失により筋力低下や筋萎縮を引き起こします。SMAは遺伝性疾患であり、SMN1遺伝子の欠失や変異が主な原因とされています。日本を含む世界各国で患者が報告されており、重症度や発症年齢によりⅠ型~Ⅳ型に分類されます。

近年、治療法の進歩によりSMA患者さんの予後は大きく改善していますが、依然として「筋力の改善」や「呼吸・嚥下機能の改善」など、満たされていない医療ニーズ(アンメットニーズ)が存在します。2021~2023年の海外大規模調査(CUSデータ)によると、SMA全病型で最も多く報告されたアンメットニーズは「筋力の改善」であり、特にⅠ型・Ⅱ型の患者さんでは呼吸・嚥下機能の改善も重要視されています。1

バイオジェンについて
1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。

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バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で有数の歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しており、2025年に創立から25周年を迎えました。日本の患者さんにも海外と同時に革新的な医薬品やより良い治療環境を提供すべく活動を展開しています。
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参考文献
  1. Peterson IS, et al. Neurol Ther. 2025; 14: 1083-1092.
  2. 社内資料(承認時評価資料):脊髄性筋萎縮症患者対象国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験(232SM203)
  3. Based on commercial patients, early access patients, and clinical trial participants through December 31, 2022. 
  4. SPINRAZA U.S. Prescribing Information is avalable at: https://www.spinraza.com/content/dam/commercial/specialty/spinraza/caregiver/en_us/pdf/spinraza-prescribing-information.pdf. Accessed: June 2025.
  5. Core Data sheet, Version 13, October 2021. SPINRAZA. Biogen Inc, Cambridge, MA.
  6. Finkle et al. Cure SMA 2024. “Final Safety and Efficacy Data From the SHINE Study in Participants With Infantile-Onset and Later-Onset SMA.”
Biogen-271738