脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬「スピンラザ®髄注」高用量投与レジメン日本にて薬価収載と同時に発売予定

 

~世界に先駆け、日本のSMA患者さんに新たな選択肢を提供開始~

バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長・傳幸諭は、脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬であるヌシネルセン(製品名:スピンラザ🄬)の高用量投与レジメンでの剤型追加(28㎎製剤、50㎎製剤)について、2025年11月12日薬価収載と同時に同製剤を日本にて販売を開始いたしますのでお知らせします。高用量投与レジメンについては、2025年9月19日に新用量医薬品/剤型追加(28㎎製剤、50㎎製剤)に係る医薬品として承認を取得しました。本件につきましては、承認、販売ともに日本が世界で最初となります。

 

 

ヌシネルセンの高用量投与レジメンは、承認済みのヌシネルセン投与レジメンと比較して、より迅速な初期投与レジメン(50㎎を14日間隔で2回投与)と、より高用量の維持投与レジメン(4ヵ月ごとに28㎎投与)で構成されています。製剤は、既発売の12㎎製剤に加え、28㎎および50mgの高用量製剤を新たに加えたもので、より高い運動機能改善を期待する1SMA患者さんに対する治療選択肢の拡充を目的としています。

ヌシネルセンの高用量投与レジメンの有効性と安全性は、DEVOTE試験(232SM203)により確認されており、シャム対照群に対しCHOP INTENDスコアにおいて統計学的に有意な改善(LS平均値の差:26.1、p<0.0001)が認められました。2また副作用発現率は6.0%であり、主な副作用には貧血、好酸球増加症、発熱、不快感、湿性咳嗽、紅斑性皮疹などが含まれますが、重篤な副作用や投与中止に至った例は認められませんでした。

バイオジェン・ジャパンの社長である傳幸諭は次のように述べています。「SMAに対する初めての治療薬を2017年に発売してから8年間、SMA患者さんには治療選択肢ができ、疾患を取り巻く治療環境は大きく変化しました。一方で、患者さんは自分のことを自分でできるようになるためにはさらなる運動機能をはじめ、呼吸機能や嚥下機能の改善を望んでおられることがわかっています。そのような患者さんに、スピンラザ🄬高用量レジメンを世界に先駆けて提供させていただけることを嬉しく思います。SMA患者さんがやりたいことに挑戦され、進学や就労など、より積極的に社会に参加していかれることを願っています」

スピンラザ®について
スピンラザは脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児、小児および成人の治療薬として世界71カ国以上で承認されています。SMAの基盤となる治療として、全世界で14,000人以上がスピンラザの治療を受けています。3
スピンラザは体内で生成される完全長Survival Motor Neuron (SMN)タンパクの量を継続的に増やすことで、運動ニューロン喪失の根本原因を標的にするアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)です。4 SMAの発症部位に到達できるよう、スピンラザは運動ニューロンが存在する中枢神経系に直接投与されます。4

スピンラザは、最長10年間治療を受けた参加者データ5,6と他に類のないリアルワールドの経験に基づき、十分に確立された安全性プロファイルを有し、様々な年齢や異なるタイプのSMAに持続した有効性を示してきました。ヌシネルセンの臨床開発プログラムには、2つの無作為化対照試験(ENDEAR試験およびCHERISH試験)を含む、幅広い患者集団にわたる460人以上の参加者を組み入れた10本以上の臨床試験があります。オープンラベルのNURTURE延長試験はスピンラザの長期的な影響を評価しています。臨床試験で最も多く観察された有害事象は、呼吸器感染症、発熱、便秘、頭痛、嘔吐、腰痛でした。いくつかのASO薬投与後には腎毒性や急性で重篤な血小板数減少を含む血液凝固異常が観察されていますが、それらは臨床検査によりモニターすることができます。

バイオジェンは、スピンラザを開発・製造・製品化するためのグローバルな権利を、アイオニス・ファーマシューティカルズ社(NASDAQ略称IONS)から供与されています。

製品に関する概要

製品名
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スピンラザ®髄注 12㎎/28mg/50mg
一般名(JAN) ヌシネルセンナトリウム
効能・効果 脊髄性筋萎縮症
用法・用量
(変更内容下線部)

< スピンラザ髄注 50mg/28mg >
通常、ヌシネルセンとして、初回及び初回投与2 週間後に 50mg を投与し、以降 4 ヵ月の間隔で 28mg の投与を行うこととし、 いずれの場合も 1~3 分かけて髄腔内投与すること。

< スピンラザ髄注 12mg >
< 乳児型脊髄性筋萎縮症、臨床所見は発現していないが遺伝子 検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症 >
通常、ヌシネルセンとして、1回につき下表の用量を投与する。 初回投与後、2 週、4 週及び 9 週に投与し、以降 4 ヵ月の間隔 で投与を行うこととし、いずれの場合も 1~3 分かけて髄腔内 投与すること。
< スピンラザ髄注 12mg >
< 乳児型以外の脊髄性筋萎縮症 >
通常、ヌシネルセンとして、1回につき下表の用量を投与する。 初回投与後、4 週及び 12 週に投与し、以降 6 ヵ月の間隔で投 与を行うこととし、いずれの場合も 1~3 分かけて髄腔内投与 すること。

 

各投与時の日齢 用量 投与液量
0~90日齢 9.6mg 4mL
91~180日齢 10.3mg 4.3mL
181~365日齢 10.8mg 4.5mL
366~730日齢 11.3mg 4.7mL
731日齢~ 12mg 5mL

 

副作用 重大な副作用:水頭症(頻度不明)。その他の副作用:誤嚥性肺炎、頭痛、頻脈、嘔吐、背部痛、発熱、尿中結晶陽性、腰椎穿刺後症候群(頭痛、吐き気、嘔吐)(頻度1%以上)。詳細は添付文書をご確認ください。
製造販売承認日 < スピンラザ髄注 12mg > 2017年7月3日
< スピンラザ髄注 50mg/28mg > 2025年9月19日
販売開始日 < スピンラザ髄注 12mg > 2017年8月30日
< スピンラザ髄注 50mg/28mg > 2025年11月12日
薬価 < スピンラザ髄注 12mg 1瓶 > 9,493,024円
< スピンラザ髄注 28mg 1瓶> 9,661,483円
< スピンラザ髄注 50mg 1瓶> 9,778,481円
製造販売元 バイオジェン・ジャパン株式会社

 

SMAについて
SMA(脊髄性筋萎縮症:Spinal Muscular Atrophy)は、主に乳児期から小児期に発症する進行性の神経筋疾患で、運動神経細胞の変性・消失により筋力低下や筋萎縮を引き起こします。SMAは遺伝性疾患であり、SMN1遺伝子の欠失や変異が主な原因とされています。日本を含む世界各国で患者が報告されており、重症度や発症年齢によりⅠ型~Ⅳ型に分類されます。

近年、治療法の進歩によりSMA患者さんの予後は大きく改善していますが、依然として「筋力の改善」や「呼吸・嚥下機能の改善」など、満たされていない医療ニーズ(アンメットニーズ)が存在します。2021~2023年の海外大規模調査(CUSデータ)によると、SMA全病型で最も多く報告されたアンメットニーズは「筋力の改善」であり、特にⅠ型・Ⅱ型の患者さんでは呼吸・嚥下機能の改善も重要視されています。1

バイオジェンについて
1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。

投資家の皆さんにとって重要な情報についてはバイオジェンのウェブサイトwww.biogen.comに定期的に掲載しています。当社のSNS媒体Facebook, LinkedIn, X, YouTubeもご覧ください。

バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で有数の歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しており、2025年に創立から25周年を迎えました。日本の患者さんにも海外と同時に革新的な医薬品やより良い治療環境を提供すべく活動を展開しています。
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参考文献
  1. Peterson IS, et al. Neurol Ther. 2025; 14: 1083-1092.
  2. 社内資料(承認時評価資料):脊髄性筋萎縮症患者対象国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験(232SM203)
  3. Based on commercial patients, early access patients, and clinical trial participants through December 31, 2022. 
  4. SPINRAZA U.S. Prescribing Information is avalable at: https://www.spinraza.com/content/dam/commercial/specialty/spinraza/caregiver/en_us/pdf/spinraza-prescribing-information.pdf. Accessed: June 2025.
  5. Core Data sheet, Version 13, October 2021. SPINRAZA. Biogen Inc, Cambridge, MA.
  6. Finkle et al. Cure SMA 2024. “Final Safety and Efficacy Data From the SHINE Study in Participants With Infantile-Onset and Later-Onset SMA.”
Biogen-276527