2017年07月03日

乳児型脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬「スピンラザ®髄注12mg」製造販売承認取得

世界初のSMA疾患修飾薬、欧米に続き日本でも承認

バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:鳥居慎一)は、「スピンラザ®髄注12mg」(一般名:ヌシネルセンナトリウム)について、乳児型脊髄性筋萎縮症の適応症で、本日製造販売承認を取得しましたことをお知らせします。

スピンラザはSMA治療薬として開発され、日本で初めて承認されたアンチセンス核酸医薬品です。SMAは乳幼児の死亡の主要な遺伝的原因のひとつであり、進行性で筋力の低下を特徴としています。乳児型SMAの適応症はオーファンドラッグ指定のもと、申請から約7カ月で承認されました。また遅発型SMAの適応症についても、現在、PMDAによる迅速審査が進められています。

スピンラザが今回承認に至ったのは、日本も参加した多施設共同比較対照試験の結果に基づくものです。具体的には、ENDEAR試験(乳児型SMA)の中間解析データであり、スピンラザの臨床的に有意義な有効性、および忍容可能な安全性プロファイルが示されています。ENDEAR試験の中間解析においては、シャム対照群(0%)と比べ、スピンラザ群(41%)で統計学的に有意に高い運動マイルストーンを達成しました。(p<0.0001)。スピンラザ群の中には、頭を上げる、寝返る、座る、立つなどの運動マイルストーンを達成した乳児もありました。

スピンラザの投与は髄腔内注射によって実施する必要があります。これは、治療薬を脊髄周囲の脳脊髄液(CSF)中に直接送達するものです3。SMA患者の脊髄では、サバイバルモーターニューロン(SMN)タンパク質の発現レベルが不十分なため、運動ニューロンが変性しています4

スピンラザは2016年12月23日、米国の食品医薬品局(FDA)によって初めて承認され、2017年5月にはEUでも承認されました。バイオジェンは承認申請をカナダ、オーストラリア、スイス、ブラジル、イスラエル、韓国、アルゼンチンでも提出しており、さらにそれ以外の国でも申請を始める予定です。

バイオジェン・ジャパン株式会社の代表取締役社長の鳥居慎一は次のように話しています。「本日、私たちは乳児型SMAに苦しむ日本の患者さん及びご家族に治療薬をお届けできることをうれしく思っています。臨床試験で示された有効性と安全性のプロファイルに基づき、スピンラザが、この重篤な疾患を抱える患者さんに有意義な影響を与えることになると信じています。SMAに苦しむ人々の生活と人生を変えるという当社のミッションの一環として、私たちは、ヌシネルセンの恩恵を享受すべき人々が確実に、かつ速やかに、この治療薬にアクセスできるよう、遅発型SMAについても一日でも早く承認されるよう努力を継続していきます」。

 

SMA 5-9について

SMAは、脊髄および下位脳幹における進行性の運動ニューロンの脱落を特徴とする疾患であり、重症で進行性の筋萎縮や筋無力を引き起こします。最も重篤なタイプのSMAの患者さんは最終的に麻痺状態となり、呼吸や嚥下など生命維持のための基本的な身体機能に支障をきたす恐れがあります。
SMN1(Survival of Motor Neuron 1)遺伝子の欠失又は変異により、SMAの患者さんは運動ニューロン維持に必要なSMNタンパク質を十分に産生することができません。SMAの重症度はSMNタンパク質の量と相関関係があります。1型SMAの患者さんは最もきめ細やかな支持療法を必要としますが、SMNタンパク質がほとんど生成されないため、支えなしに座ることができず、呼吸器による補助なしに2年以上生存することができません。2型と3型の患者さんでは、より多くのSMNタンパク質が生成され重症度も下がりますが、日々の生活と人生に困難を強いられます。

 

スピンラザについて

スピンラザはSMAの治療薬としてグローバルレベルで開発が進められています。
スピンラザはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であり、5番染色体長腕(5q)内のSMN1遺伝子の欠失又は変異による SMNタンパク質欠乏により引き起こされるSMAの治療薬として設計されました。本剤は変異したSMN1の重複遺伝子であるSMN2のスプライシングを変えるようデザインされています。その目的は完全に機能するSMNタンパク質の産生を増やすことにあります10。ASOは標的RNAと結合して遺伝子発現を調節するようデザインされた短鎖の合成ヌクレオチドです。このテクノロジーを使うことで、ヌシネルセンは機能的SMNタンパク質の量を増やす可能性を備えています。

 

製品に関する概要
 

製品名 スピンラザ®髄注12mg
一般名(JAN) ヌシネルセンナトリウム
効能・効果 乳児型脊髄性筋萎縮症
用法・用量 通常、ヌシネルセンとして、1回につき下表の用量を投与する。初回投与後、2週、4週及び9週に投与し、以降4カ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。
各投与時の日齢 用量 投与液量
0~90日齢 9.6 mg 4 mL
91~180日齢 10.3mg 4.3 mL
181~365日齢 10.8mg 4.5 mL
366~730日齢 11.3mg 4.7 mL
731日齢~ 12mg 5 mL
副作用 脊髄性筋萎縮症(SMA)と診断された乳児を対象とした第III相シャム(疑似的)処置対照二重盲検試験(Study CS3B、日本を含む国際共同試験)において、本剤群80例のうち9例(11.3%)に副作用が認められた。主な副作用は発熱(2.5%)、頻脈、貧血母斑、蜂巣円、処置後腫脹、眼振、血管炎、体温低下、体温上昇(各1.3%)であった。
製造販売承認日 2017年7月3日
製造販売元 バイオジェン・ジャパン株式会社



バイオジェンについて

最先端の科学と医学を通じて、バイオジェンは重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者さんに提供しています。1978年に設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業のパイオニアであり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の唯一の治療薬を製品化しました(国内未承認)。また、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。生物製剤の高い技術力を活かし、バイオジェンは高品質のバイオシミラーの製造と製品化にも注力しています。当社に関する情報については、http://www.biogen.com およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。

 

バイオジェン・ジャパンについて

バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で最も歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しています。バイオジェン・ジャパンに関する情報については、http://www.biogen.co.jpをご覧ください。

 

1. Japan SPINRAZA Package Insert. 
2. Farrar MA, Kiernan MC. The Genetics of Spinal Muscular Atrophy: Progress and Challenges. Neurotherapeutics; 2015; 12:290–302. 
3. Evers MM, Toonen LJ, van Roon-Mom WM. Antisense oligonucleotides in therapy for neurodegenerative disorders. Adv Drug Deliv Rev. 2015;87:90-103.
4. Lunn MR, Wang CH. Spinal muscular atrophy. Lancet. 2008;371(9630):2120-2133. 
5. Darras B, Markowitz J, Monani U, De Vivo D. Chapter 8 - Spinal Muscular Atrophies. In: Vivo BTD, ed. Neuromuscular Disorders of Infancy, Childhood, and Adolescence (Second Edition). San Diego: Academic Press; 2015:117-145. 
6. Lefebvre S, Burglen L, Reboullet S, et al. Identification and characterization of a spinal muscular atrophy-determining gene. Cell.1995;80(1):155-165. 
7. Mailman MD, Heinz JW, Papp AC, et al. Molecular analysis of spinal muscular atrophy and modification of the phenotype by SMN2. Genet Med. 2002;4(1):20-26. 
8. Monani UR, Lorson CL, Parsons DW, et al. A single nucleotide difference that alters splicing patterns distinguishes the SMA gene SMN1 from the copy gene SMN2. Hum Mol Genet. 1999;8(7):1177-1183. 
9. Peeters K, Chamova T, Jordanova A. Clinical and genetic diversity of SMN1-negative proximal spinal muscular atrophies. Brain.2014;137(Pt 11):2879-2896. 
10. Hua Y, Sahashi K, Hung G, Rigo F, Passini MA, Bennett CF, Krainer AR. Antisense correction of SMN2 splicing in the CNS rescues necrosis in a type III SMA mouse model. Genes Dev. 2010 Aug 1; 24(15):16344-44. 

 

CA-JPN-0073

その他のプレスリリース

  • 2018年05月18日バイオジェン・ジャパンが多発性硬化症(MS)の認知向上活動を展開 5月30日のWorld MS Dayに専門医と患者さんのビデオメッセージを公開
  • 2018年04月27日バイオジェンの第1四半期売上、31億ドルを達成
  • 2018年04月26日AANの年次会議でスピンラザ®(ヌシネルセン)の新データが幅広い年齢層で運動機能の持続的改善を示すとともに、乳幼児の生存ベネフィットを明らかに
  • 2018年04月26日バイオジェンとIONIS社がより広範な神経科学領域の医薬品開発に向けて戦略的提携を拡大
  • 2018年03月30日多発性硬化症治療剤「アボネックス®」の承認条件(全例調査)解除について