2017年11月07日

本資料は、米バイオジェン社が 2017年11月2日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語訳として発表させていただくものです。よって必ずしも日本の状況を反映したものでないことをご了承ください。内容につきましては原本である英文が優先します。

バイオジェンが開発中のアルツハイマー病治療薬aducanumab第Ib相試験の長期継続投与(LTE)からの新データを発表

  • 第Ib相試験の2年間のデータより、aducanumabの投与量を徐々に増量する漸増投与群において、アミロイド斑の減少および臨床的疾患進行率に対する持続的な有用性が示唆された
  • 漸増投与群の2年間のデータは、同期間に3、6および10mg/kg固定用量群で認められた用量ならびに時間依存性の作用との一貫性を示した
  • aducanumab 3、6および10mg/kg固定用量群における最長3年のデータは、これまでに報告された第Ib相試験からの解析結果と一貫するものであり、進行中の早期アルツハイマー病を対象としたaducanumab第III相試験のデザインを支持するものであった

マサチューセッツ州ケンブリッジ – 2017年11月2日– バイオジェン(NASDAQ略号: BIIB)は、開発中のアルツハイマー病治療薬aducanumabについて、進行中である第Ib相試験の長期継続投与(LTE)からの新たなデータを、国際会議 CTAD(Clinical Trials on Alzheimer’s Disease アルツハイマー病臨床試験会議、ボストンにて11月1~4日に開催)で発表しました。

このデータには、第Ib相試験でaducanumabの漸増投与を最長24カ月受けた患者、および3、6および10mg/kgの固定用量投与を最長36カ月受けた患者より得られた結果が含まれています。これらの結果は、これまでに報告された第Ib相試験からの解析結果と一貫するものであり、進行中の早期アルツハイマー病を対象としたaducanumab第III相試験のデザインを支持するものです。

バイオジェンのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼チーフ・メディカル・オフィサーであるアルフレッド・サンドロック M.D., Ph.D.は次のように述べています。「私たちはいま、第Ib相試験から最長3年間のデータを得、この期間中に、バイオマーカーであるアミロイド斑が一貫して減少することを認めました。またこれらのデータは、この第Ib相試験に参加した患者、特に最大用量のaducanumabの投与を受けた患者における臨床的な疾患進行に対する有用性も示唆しています。aducanumabが早期アルツハイマー病の患者に対する治療薬となり得るかどうかを見極めるための第III相試験は、現在継続実施中です」。

 

第Ib相試験について

第Ib相試験は、無作為化・二重盲検・プラセボ対照・反復投与試験であり、前駆状態および軽度のアルツハイマー病の患者におけるaducanumabの安全性、忍容性、薬物動態(PK)、薬力学(PD)および臨床的有効性を評価する試験です。この試験には、1、3、6および10mg/kgによる固定用量群ならびに、最大用量である10mg/kgまで投与量を徐々に増量する漸増投与群が含まれています。

CTADで発表された新たな解析には、以下に属する143名の患者が含まれています。

  • 18名は、54週のプラセボ対照期間において最初に漸増投与群に無作為割付けされ、aducanumab 1、3、6から10mg/kgへの漸増投与を最長24カ月受けました。
  • 69名は、54週間のプラセボ対照期間において、aducanumab 3、6または10mg/kg投与群に無作為割付けされ、最長36カ月の投与を受けました。
  • 48名は、54週間のプラセボ対照期間においてプラセボまたはaducanumab 1mg/kg投与群に無作為割付けされ、LTEにおいてはaducanumab 3mg/kgまたは3から6mg/kgへの漸増投与に切り替えられ、最長24カ月の投与を受けました。
  • 8名は、54週間のプラセボ対照期間においてプラセボ群に無作為割付けされ、LTEにおいては1、3、6から10mg/kgへの漸増投与に切り替えられ、最長12カ月の投与を受けました。
 
この第Ib相LTEにおいて最も多く報告された有害事象は、頭痛、転倒、アミロイド関連画像異常(ARIA)でした。この第Ib相試験においてaducanumabの投与を受けた185名の患者のうち、46名にARIA-E(浮腫)が発現しました。同じ用量のaducanumabの継続投与を受けた患者において、新たなARIA-Eの発現はありませんでした。
 
LTEにおいてプラセボからaducanumabに切り替えられた患者におけるARIA-Eの発現率は、この第Ib相試験のプラセボ対照期間より報告された発現率と同等でした。6名の患者に2回以上のARIA-Eの発現が認められました。これらの再発例は、すでに報告されているARIA例と同様に、多くは無症候性であり、大半の患者で試験継続が可能でした。

 

24カ月のデータ

第Ib相試験の54週のプラセボ対照期間を完了した患者は、LTEに参加を選択することができました。第Ib相試験のプラセボ対照期間中にプラセボまたはaducanumabの投与を受けた196名の患者のうち、143名がLTEに進みました。LTEに進んだ患者全員は、aducanumab投与への切り替え、もしくはaducanumabの継続投与を受けました。

アミロイド斑のレベルは、ポジトロン放出断層撮影法(PET)を用い、SUVR(Standardized Uptake Volume Ratio1)により測定しましたが、24カ月の投与を受けた患者で持続した減少が認められました。

アルツハイマー病によって障害を受ける認知機能および身体機能を評価するために、臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)およびミニメンタルステートメント検査(MMSE)を、この第Ib相試験の探索的評価項目としました。これらの評価の結果より、aducanumab投与2年目における臨床的な疾患進行率に対する持続的な有用性が示唆されました。

漸増投与群の患者における24カ月目までの予測平均投与量は、7.6mg/kgでした。

この第Ib相試験開始時のアミロイド斑のレベルは24カ月で次のように変化しました。

  • 12カ月目にプラセボからaducanumab投与へ切り替えた群:-0.170
  • 12カ月目に1mg/kgから3mg/kgへ切り替えた群:-0.149
  • 3mg/kg投与群:-0.197
  • 6mg/kg投与群:-0.280
  • 10mg/kg投与群:-0.322
  • 漸増投与群:-0.271

24カ月時点におけるCDR-SBの、第Ib相試験開始時からの平均低下は次の通りです。

  • 12カ月目にプラセボからaducanumab治療へ切り替えた群: 3.25点
  • 12カ月目に1mg/kgから3mg/kgへ切り替えた群:3.52点
  • 3mg投与群:2.32点
  • 6mg投与群:2.98点
  • 10mg投与群:1.69点
  • 漸増投与群:2.65点

24カ月時点におけるMMSEの、第Ib相試験開始時からの平均低下は次の通りです。

  • 12カ月目にプラセボからaducanumabへの切り替え群:4.28点
  • 12カ月目に1mgから3mgへの切り替え群:3.65点
  • 3mg/kg投与群:2.81点
  • 6mg/kg投与群:5.20点
  • 10mg/kg投与群:1.97点
  • 漸増投与群:1.95点
 

36カ月のデータ

最長36カ月の治療を受けた患者では、PET を用いSUVRにより測定したアミロイド斑は、用量依存的および時間依存的に一貫した減少を続けました。10mg/kg固定用量投与群におけるアミロイド斑のレベルは、PET画像で陽性と陰性を隔てる定量的カットポイント以下と考えられるレベルに達し、維持されました2

36カ月時点におけるアミロイド斑レベルの第Ib相試験開始時よりの平均変化は次の通りです。

  • 12カ月目にプラセボからaducanumab 3mg/kgもしくは3-6mg/kg投与への切替え群:-0.226
  • 12カ月目に1mg/kgから3mg/kgへの切替え群:-0.208
  • 3mg/kg投与群:-0.243
  • 6mg/kg投与群:-0.286
  • 10mg/kg投与群:-0.306

36カ月時点におけるCDR-SBの、第Ib相試験開始時からの平均低下は次の通りです。

  • 12カ月目にプラセボからaducanumab3mg/kgもしくは3-6mg/kg投与への切替え群:5.28点
  • 12カ月目に1mg/kgから3mg/kgへの切替え群:6.11点
  • 3mg/kg投与群:3.86点
  • 6mg/kg投与群:4.49点
  • 10mg/kg投与群:2.84点

36カ月時点におけるMMSEの、第Ib相試験開始時からの平均低下は次の通りです。

  • 12カ月目にプラセボから3mg/kgか3-6mg/kgへの切替え群:7.98点
  • 12カ月目に1mg/kgから3mg/kgへの切替え群:6.35点
  • 3mg/kg投与群:4.83点
  • 6mg/kg投与群:8.97点
  • 10mg/kg投与群:4.10点

 

第III相臨床試験

Aducanumabは、現在、2つの国際共同第III相試験であるENGAGE試験とEMERGE試験で検討されています。これらの試験は、早期アルツハイマー病の患者へのaducanumab投与による安全性ならびに認知障害および機能障害の進行抑制などの有効性を評価することを目的にデザインされています。

これらの第III相試験の詳細は、実施施設の情報などを含め、次のサイトでご覧になれます。www.ClinicalTrials.gov (NCT02477800 および NCT02484547).

 

Aducanumabについて

Aducanumab(一般名:BIIB037)はアルツハイマー病の治療薬候補として臨床試験中の化合物です。Aducanumabはヒト遺伝子組み換えモノクローナル抗体(mAb)であり、認知障害の兆候のない健康な高齢者集団または認知機能に障害がみられた高齢者で認知機能低下が非常に緩慢な人からリバース・トランスレーショナル・メディシン(Reverse Translational Medicine: RTM)と呼ばれるNeurimmune社の技術基盤を活用して収集されたB細胞の匿名化されたライブラリーに由来します。バイオジェンはNeurimmune社との共同開発・ライセンス契約のもと、同社からaducanumabを導入いたしました。

aducanumabは、アルツハイマー病の患者の脳内でアミロイド斑を形成し得る可溶性オリゴマーと不溶性線維を含む凝集型ベータ・アミロイドを標的とすると考えられています。これまでに非臨床試験および第Ib相試験で得られたデータより、aducanumab投与は、アミロイド斑のレベルを下げることが示されています。

2016年8月、aducanumabは欧州医薬品庁(EMA)のPRIMEプログラムとして認定されました。同年9月には、米食品医薬品局(FDA)がaducanumabを迅速審査プログラムとして認定しました。2017年4月には日本の厚生労働省がaducanumabを「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定しました。

2017年10月にバイオジェンとエーザイは国際的なaducanumabの共同開発・共同販売提携を開始しました。

 

アルツハイマー病について

アルツハイマー病(AD)は進行性神経変性疾患です。その特徴は、認知機能の低下と行動障害であり、次第に日常的な活動が不可能になります。2010年には、世界のAD患者数は2500万人に上ると推定されています3。これまでに得られた研究結果によりますと、病態生理学的な変化は一般に臨床的診断が下される症状が認められるより何年も前に始まります。疾患の進行に伴い、ADが関与して起きる認知障害、行動の変化および機能障害が出現し始めます。

 

バイオジェンについて

神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者に提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートと フィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の唯一の治療薬を製品化しました。また、アルツハイマー病、神経免疫疾患、運動性疾患、神経筋障害、疼痛、眼科、神経精神医学といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。生物製剤の高い技術力を活かし、バイオジェンは高品質のバイオシミラーの製造と製品化にも注力しています。

当社に関する情報については、http://www.biogen.com およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。

 

1. 全小脳を対照とし、脳の6つの関心領域(前頭皮質、頭頂皮質、外側側頭皮質、感覚運動皮質、前および後帯状皮質)の複合SUVRを、ベースライン、第26、54、110および166週に算出した。
2.  Landau, S. M., Mintun, M. A., Joshi, A. D., Koeppe, R. A., Petersen, R. C., Aisen, P. S., Weiner, M. W., Jagust, W. J. and for the Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative (2012), Amyloid deposition, hypometabolism, and longitudinal cognitive decline. Ann Neurol., 72: 578–586. doi:10.1002/ana.23650
3.  World Health Organization Dementia a Public Health Priority. http://www.who.int/mental_health/publications/dementia_report_2012/en/. Accessed 23 May 2016.

CA-JPN-0108

その他のプレスリリース

  • 2017年12月22日バイオジェンとIONISが脊髄性筋萎縮症に対する さらなる革新的治療法の共同開発を開始
  • 2017年12月21日BAN2401の早期アルツハイマー病を対象としたアダプティブ臨床第Ⅱ相試験を18カ月のエンドポイントに向け継続
  • 2017年11月07日The New England Journal of Medicine誌が脊髄性筋萎縮症治療薬スピンラザの第III相試験結果を掲載
  • 2017年10月31日バイオジェン/IONISのスピンラザが権威あるガリアン賞でベストバイオテクノロジー製品賞を受賞
  • 2017年10月23日バイオジェンとエーザイが臨床第Ⅲ相試験進行中のaducanumabを含むアルツハイマー病治療剤の開発・販売に向けた提携契約を拡大