2018年10月25日

本資料は、米バイオジェン社が 2018年10月25日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語訳として発表させていただくものです。よって必ずしも日本の状況を反映したものでないことをご了承ください。内容につきましては原本である英文が優先します。

BAN2401の早期アルツハイマー病を対象とした臨床第Ⅱ相試験の追加データを第11回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD2018)にて発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク (Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)は、このたび、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体BAN2401の早期アルツハイマー病(AD)856人を対象とした臨床第Ⅱ相試験(201試験)の新たなデータについて、スペイン・バルセロナで開催されている第11回アルツハイマー病臨床試験会議(Clinical Trials on Alzheimer's Disease: CTAD2018)における10月25日開催のシンポジウムセッション「早期アルツハイマー病を対象としたBAN2401の臨床第Ⅱ相試験:臨床症状およびバイオマーカー結果のアップデート」において、エーザイが発表したことをお知らせします。

 201試験は、アミロイドの脳内蓄積が確認されたアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI due to AD)および軽度アルツハイマー病(総称して早期AD)患者様856人を対象とした、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化臨床第Ⅱ相試験です。被験者はプラセボ投与群および実薬投与群として2.5 mg/kgバイウィークリー(2週間に1回)、5 mg/kgマンスリー(月1回)、5 mg/kgバイウィークリー、10 mg/kgマンスリー、10 mg/kgバイウィークリーの5用量5群に割り付けられました。本試験では、中間解析の結果によって、より治療効果が高いと判定された投与群への割付比率を自動的に高めるベイジアンアダプディブランダム化デザインが用いられました。その結果、BAN2401 10 mg/kgマンスリーおよび10 mg/kgバイウィークリーの高用量投与2群の治療効果が高いと判定され、結果として両群への割付比率が高くなりました。
 また、本試験では、臨床エンドポイントについて、ADCOMS(Alzheimer’s Disease Composite Score)、ADAS-cog(Alzheimer's Disease Assessment Scale-cognitive subscale)、CDR-SB(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)の評価指標によるベースラインから18カ月までの変化をあらかじめプロトコルで定められた伝統的統計手法により評価しました。

 今回のCTAD2018では、2018年7月のアルツハイマー病協会国際会議(AAIC2018)において発表した201試験のトップライン結果のハイライトに加え、事前に規定していた部分集団解析や脳脊髄液中の バイオマーカーの追加データなどを報告しました。本シンポジウムの発表スライドはエーザイコーポレートサイトに掲載しています。

 伝統的解析手法を用いたトップライン結果として、投与後18カ月時点において、BAN2401最高用量投与群(10 mg/kg バイウィークリー)は、アミロイドPET測定による統計学的に有意な脳内アミロイド蓄積の減少を示しました(p<0.0001)。また、BAN2401最高用量投与群は、投与後18カ月時点の臨床エンドポイント解析(ADCOMS)において、プラセボ投与群に比較して統計学的に有意な症状の進行抑制を示しました(30%抑制、p=0.034)。
 今回、新たな解析結果として、BAN2401投与による脳内アミロイド減少と臨床症状進行抑制(ADCOMSによる評価)の間の相関性が確認されました(Pearson相関係数:rp=0.838)。また、ベースラインからの臨床症状(ADCOMSによる評価)の進行の変化の傾きについて、線形回帰モデルを用いた解析において、BAN2401最高用量投与群は、プラセボ投与群と比較し18カ月を通じ統計学的に有意な傾きの変化を示し(p<0.001)、本剤による疾患修飾効果の可能性が示唆されています。

 本試験においては、2014年7月の規制当局からの要請によりAPOE4陽性患者様についてBAN2401最高用量投与群への割付が制限された結果、同群のAPOE4陽性患者様の割付についてプラセボ投与群との不均衡が生じました。BAN2401最高用量投与群で観察された臨床効果に対するAPOE4ステータスの影響を評価するため、プラセボ投与群のAPOE4陽性、陰性それぞれの部分集団間における臨床症状悪化の進行スピードを解析した結果、ADCOMS、ADAS-Cog、CDR-SBのいずれにおいても悪化の進行スピードに統計学的な有意差は確認されませんでした。さらに、事前に規定したAPOE4ステータス(陽性または陰性)の部分集団における解析では、BAN2401最高用量投与群における18カ月時点のプラセボ投与群に対する臨床症状の進行抑制(ADCOMSによる評価)は、APOE4陽性群で63%抑制、APOE4陰性群で7%抑制でした。 
 これらの結果から、BAN2401最高用量投与群における臨床症状の進行抑制効果がAPOE4割付の不均衡に起因するものではなく、BAN2401そのものの治療効果と関連することが示唆されました。
 加えて、10 mg/kgバイウィークリー投与群と10 mg/kgマンスリー投与群を統合すると、APOE4陽性群と陰性群の比率についてプラセボ投与群との不均衡が解消されますが、本統合群においてもプラセボ投与群に対する臨床症状の進行抑制(ADCOMSによる評価)が示されています(全体:21%抑制、APOE4陽性群:25%抑制、APOE4陰性群: 6%)。結果の詳細については、CTAD2018において発表されました。

 次に、BAN2401最高用量投与群における18カ月時点のプラセボ投与群に対する臨床症状の進行抑制(ADCOMSによる評価)について、事前に規定した部分集団解析を行いました。その結果、臨床ステージ(MCI due to AD群:33%抑制、軽度AD群:35%抑制)および他のAD治療剤併用の有無(併用あり群:23%抑制、併用なし群:41%抑制)のいずれの部分集団においても臨床症状の進行抑制を示しました。なお、本試験では部分集団における統計学的有意差を検出することを目的にしていません。

 さらに、ADの患者様において値が上昇する神経変性に関する脳脊髄液中(CSF)のバイオマーカーの探索的検討結果も発表されました。CSFサンプル数を増加して解析するためBAN2401 10 mg/kgバイウィークリー投与とマンスリー投与の両部分集団を統合して解析を行った結果、BAN2401は、脳神経のダメージにより増加することが知られているバイオマーカーであるニューログラニン(シナプス損傷)、リン酸化タウ(神経変性)、ニューロフィラメント軽鎖(神経軸索の変性)において、AD病態生理に有益な影響を与える傾向を示しました。

 BAN2401は、18カ月投与期間中、いずれの投与量群においても許容可能な忍容性を示しました。最も頻度高く報告された有害事象は、注射に伴う反応とアミロイド関連画像異常(ARIA)であり、用量依存的でした。ARIA-E(浮腫)の発現率はAPOE4陽性群においてより高く、また、ARIA-E発生の患者様48人中5人(約10%)に頭痛、視覚障害、錯乱などの症状が見られました。60%のARIA-Eは投与開始から3カ月以内に発生しました。浮腫の程度は、約89%において軽度から中程度でした。

 現在、エーザイとバイオジェンは、BAN2401開発における次のステップを決定すべく、各国の規制当局と相談中です。また、201試験に登録されていた患者様を対象とした非盲検継続投与試験を計画中であり、本長期継続試験は、年内に開始される予定です。

以上

 

参考資料

1. BAN2401について
 BAN2401は、バイオアークティックとエーザイの共同研究から得られた、アルツハイマー病に対するヒト化モノクローナル抗体です。アルツハイマー病を惹起させる因子の一つと考えられている、神経毒性を有する可溶性の Aβ凝集体に選択的に結合して無毒化し、脳内からこれを除去するモノクローナル抗体です。本抗体による治療アプローチは、疾患病理への作用と症状の進行抑制が期待されています。エーザイは、本抗体について、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を獲得しています。また、2014年3月に、エーザイとバイオジェンは、本剤に関する共同開発・共同販促契約を締結し、2017年10月に内容の一部変更契約を締結しています。

2. 201試験について
 本試験は、BAN2401の有効性及び最適投与レジメンをより効率的に見出すため、中間解析の結果によってより可能性の高い投与群への割付比率をアダプティブに変えるなどの試験途中のデザイン変更を自動的に可能とするベイジアン アダプティブ ランダム化デザインを用い、バイオマーカーによるアミロイド陽性を確認したプロドローマルおよび軽度アルツハイマー病(総称して早期アルツハイマー病)に対するBAN2401の安全性、忍容性、有効性を評価するプラセボ対照、二重盲検、並行群間比較臨床第Ⅱ相試験です。本試験では、プラセボと実薬5投与量群を用い、16回の早期成功を判断する中間解析、12カ月時点でのADCOMSに基づく解析(プライマリーエンドポイント)、18カ月時点での包括的な最終解析(セカンダリーエンドポイント)によって、BAN2401の有効性に関する評価と用量反応性の検討を行いました。実薬群では、2.5 mg/kgバイウィークリー(2週間に1回)(52人)、5 mg/kgマンスリー(月1回)(51人)、5 mg/kgバイウィークリー(92人)、10 mg/kgマンスリー(253人)、10mg/kgバイウィークリー(161人)の5用量5群に割り付けられました。バイオマーカー評価として、アミロイドPETによる脳内Aβ蓄積、脳脊髄液中のAβ総量などを測定し、有効性評価(臨床)として、ADCOMS、CDR-SB、ADAS-cogを測定しました。

3. ADCOMSについて 
 ADCOMS (Alzheimer’s Disease Composite Score)は、早期アルツハイマー病の臨床症状の変化を感度よく検出することを目的とし、アルツハイマー病の臨床評価に汎用される3つの評価スケールであるADAS-cog (Alzheimer's Disease Assessment Scale-cognitive subscale)、CDR-SB(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)、MMSE(Mini-Mental State Examination)の評価要素を組み合わせエーザイが開発した評価指標です。本201試験では、FDA等の規制当局との協議の上で臨床症状の評価項目としてADCOMSを使用しています。

4. アミロイドPETイメージングについて
 アミロイドPET(Positron Emission Tomography)イメージングは、陽電子で標識されたアミロイドプラークに特異的に結合するアミロイドPETトレーサーをごく微量生体内に投与し、脳内のアミロイドプラークを可視化し、アミロイドプラークの脳内分布ならびにその蓄積度を定量評価することができる診断法です。軽度認知障害を含むアルツハイマー病における病理変化・診断に活用されています。

5. 相関係数について
 相関係数は2 つの量的データ分布から 2つの データ間の関連性の強さを示すものです。その数値の範囲は,-1 から 1 で、絶対値が 1 に近いほど直線的に配列します。一般的には相関係数が0.6以上あれば、両者に相関性が認められたと判断できるとされています。本試験の解析ではピアソン(Pearson)の相関係数rpを算出しています。

6. エーザイとバイオジェンによるアルツハイマー病領域の提携内容について
 エーザイとバイオジェンは、アルツハイマー病治療剤の共同開発・共同販売に関して、幅広い提携を行っています。抗Aβプロトフィブリル抗体BAN2401とBACE阻害剤elenbecestatについてはエーザイ主導のもとで、抗Aβ抗体aducanumabについてはバイオジェン主導のもとで、グローバルでの承認取得に向けた開発を進め、承認取得後は米国、欧州(EU)、日本といった主要市場で共同販促を行います。
 BAN2401とelenbecestatについて、両社は研究開発費等の費用を折半し、共同販促に基づく売上高はエーザイに計上され、利益は両社で等しく分配します。

7. エーザイ株式会社について
 エーザイ株式会社は、本社を日本に置く研究開発型グローバル製薬企業です。患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
 エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト® 」の開発・販売から得た経験を活かし、医療従事者や介護関係者、行政などの協力を得て認知症と共生する「まちづくり」に取り組み、世界で推計1万回以上の疾患啓発イベントを開催してきました。認知症領域のパイオニアとして、次世代治療剤の開発にとどまらず、診断方法の開発やソリューションの提供にも取り組んでいます。エーザイ株式会社の詳細情報は、 www.eisai.co.jp をご覧ください。

8. バイオジェン・インク(Biogen Inc.)について
 神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の唯一の治療薬を製品化しました。また、アルツハイマー病、多発性硬化症、神経免疫疾患、運動性疾患、神経筋障害、痛み、眼科、神経精神医学といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。生物製剤の高い技術力を活かし、バイオジェンは高品質のバイオシミラーの製造と製品化にも注力しています。バイオジェン・インクに関する情報については、www.biogen.com  およびSNS媒体TwitterLinkedInFacebookYouTube をご覧ください。

9. バイオアークティック(BioArctic AB.)について
 バイオアークティックは、スウェーデンに拠点を置き、アルツハイマー病、パーキンソン病のような神経変性疾患の疾患修飾治療や信頼性の高いバイオマーカー・診断薬の開発にフォーカスしたバイオファーマです。また、同社は、完全脊髄損傷に対する治療法の開発も行っています。このようにバイオアークティックは、高いアンメット・メディカル・ニーズがある領域での革新的な治療の創出にフォーカスしています。バイオアークティックは、スウェーデンのウプサラ大学による革新的な研究に基づき、2003年に設立されました。大学との共同研究を重視するとともに、アルツハイマー病領域ではエーザイ、パーキンソン病領域ではAbbVieとの戦略的グローバルパートナーシップを形成しています。プロジェクトのポートフォリオは、グローバル企業とのパートナーシップにより資金提供されたプロジェクトとライセンスを企図した社内プロジェクトの組み合わせです。バイオアークティックは、Nasdaq Stockholm Mid Cap(STO:BIOA B)に上場しています。バイオアークティックに関する詳細については、www.bioarctic.com をご覧ください。

CA-JPN-0146

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