本資料は、米バイオジェン社が 2024年3月6日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。本プレスリリース日本語訳は報道関係の方への情報提供を目的としており、プロモーションや広告、医療アドバイスを意図したものではありません。

 

スピンラザ®(ヌシネルセン)のベネフィットを示唆するさらなるエビデンス
遺伝子治療後に臨床上のアンメットニーズを有する乳幼児への新たなバイオマーカーのデータ

  • RESPOND試験の新たなデータにより、スピンラザの治療を受けた試験参加者のほぼ全員で神経変性の指標であるニューロフィラメント値の減少を示す
  • 遺伝子治療後にスピンラザの治療を受けた参加者の大部分で運動機能の改善が示され、バイオマーカーの減少は、以前に報告されたRESPOND試験の有効性結果を補完

米国マサチューセッツ州ケンブリッジ: 2024年3月6日: バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)は、オープンラベルRESPOND試験に登録した最初の29人の参加者における6ヵ月後のバイオマーカーの中間解析データを発表しました。* 本試験は、ゾルゲンスマ®(オナセムノゲンアベパルボベク)による治療後に臨床上のアンメットニーズを有する脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児に対する、2年間のスピンラザ治療後の臨床アウトカムと安全性を評価するための臨床第IV相オープンラベル試験です。新たなデータによると、スピンラザの治療を受けた参加者のほぼ全員で軸索損傷と神経変性の客観的なバイオマーカーである血漿ニューロフィラメント軽鎖(NfL)の値が減少しました。これらのデータは、筋ジストロフィー協会(MDA)2024年度臨床&学術会議(2024年3月3~6日)で発表されました。

キングス・ドーターズ小児病院の小児神経科医であるクリスタル・プラウド医師(Crystal Proud, M.D.)は次のように述べています。「遺伝子治療に対する理解が進み、より良いアウトカムの可能性が示されているようです。RESPOND試験でスピンラザ治療後にニューロフィラメント値の減少とともに運動機能の改善が認められたことは、患者さんのベネフィットをより最大化する可能性を示唆しています」。

2024年3月6日、スピンラザ治療を受けた参加者の6ヵ月後のNfLデータが発表されており、それによると:

SMN2遺伝子のコピー数が2の参加者:

  • 全ての参加者は同様の年齢の健康な小児と比較してベースラインのNfL値が上昇していた。
  • 最初のスピンラザ投与時の月齢が9カ月以下の乳児(n=11、ベースラインNfLの平均値: 148.3 pg/mL)において、NfL値がベースラインから平均70%減少。
  • 最初のスピンラザ投与時に9カ月を超えていた小児(n=11、ベースラインNfLの平均値: 121.8 pg/mL)において、NfL値がベースラインから平均78%減少。

 

SMN2遺伝子のコピー数が3の参加者:

  • ベースラインのNfL値が3人のうち2人の小児で上昇していた(平均: 60.6 pg/mL)。
  • ベースラインのNfL値が上昇していた参加者でNfL値の減少が認められ、ベースラインで上昇がなかった参加者のNfL値は安定していた。

 

バイオジェンの開発部門責任者で暫定チーフ・メディカル・オフィサーであるプリヤ・シンハル(Priya Singhal, M.D., M.P.H.)は次のように述べています。「バイオジェンは、SMAやALSのような極めて重篤な神経変性疾患の患者さんに対する治療薬の開発を促進するためのバイオマーカーの開発を目的とした先駆的な研究の最前線にいます。RESPOND試験開始時のスピンラザ投与前は、健康な小児と比較して参加者のニューロフィラメント値は上昇しており、神経損傷の進行を示唆していました。RESPOND試験による知見は、既に遺伝子治療を受けたSMA患者に残るアンメットニーズを評価する客観的なマーカーとしてのニューロフィラメントの価値を明確に示すものです」。

2023年6月のSMA研究&治療学会で同じ29人の参加者のデータとして発表されたように、大部分の参加者においてハマースミス幼児神経学的検査セクション2(HINE-2)でベースラインからの平均総スコアの改善が認められました。1 ゾルゲンスマの治療後にスピンラザを投与されたRESPOND試験の参加者で、新たに発現した安全性の懸念は特定されませんでした。試験期間の中央値230.5日の時点で、重篤な有害事象(AE)は38人の参加者のうち13人(34%)で認められました。38人の参加者のうち31人(81.6%)で何らかのAEが報告されました。スピンラザに関連すると考えられる、あるいは試験中止に至った重篤なAEはありませんでしたが、何件かは投与に関連するものでした。

これらのデータとRESPOND試験からの追加データは、SMAヨーロッパが主催する第4回脊髄性筋萎縮症国際会議を含め、今後年内に開催される学会で発表されます。

スピンラザ® (ヌシネルセン)について
スピンラザは脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児、小児および成人の治療薬として世界71カ国以上で承認されています。SMAの基盤となる治療として、全世界で14,000人以上がスピンラザの治療を受けています。2

スピンラザは体内で生成される完全長Survival Motor Neuron (SMN)タンパクの量を継続的に増やすことで、SMAの根本原因を標的にするアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)です。3 SMAの発症部位に到達できるよう、スピンラザは運動ニューロンが存在する中枢神経系に直接投与されます。3

スピンラザは、最長8年間治療を受けた参加者データ3と他に類のないリアルワールドの経験に基づき、十分に確立された安全性プロファイルを有し、様々な年齢や異なるタイプのSMAに持続した有効性を示してきました。ヌシネルセンの臨床開発プログラムには、2つの無作為化対照試験(ENDEAR試験およびCHERISH試験)を含む、幅広い患者集団にわたる460人以上の参加者を組み入れた10本以上の臨床試験があります。SHINE試験およびNURTURE試験のオープンラベル延長試験はスピンラザの長期的な影響を評価しています。臨床試験で最も多く観察された有害事象は、呼吸器感染症、発熱、便秘、頭痛、嘔吐、腰痛でした。いくつかのASO薬投与後に腎毒性や急性で重篤な血小板数減少を含む血液凝固異常が観察されていますが、それらは臨床検査によりモニターすることができます。

バイオジェンは、スピンラザを開発・製造・製品化するためのグローバルな権利を、アイオニス・ファーマシューティカルズ社(NASDAQ略称IONS)から供与されています。米国内のスピンラザに関する安全性情報や処方情報の詳細は、それぞれ Important Safety Information および full Prescribing Information をご参照いただくか、各国の製品ウェブサイトをご参照ください。

バイオジェン社について
1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。

私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。

投資家の皆さんにとって重要な情報についてはバイオジェンのウェブサイトwww.biogen.comに定期的に掲載しています。当社のSNS媒体Facebook, LinkedIn, X, YouTubeもご覧ください。

参考文献
  1. Proud C. Interim results from the RESPOND study evaluating nusinersen in children with spinal muscular atrophy previously treated with onasemnogene abeparvovec. June 2023. SMA Research & Clinical Care Meeting. Orlando, Fla.
  2. Based on commercial patients, early access patients, and clinical trial participants through December 31, 2022.
  3. SPINRAZA U.S. Prescribing Information. Available at:
    https://www.spinraza.com/content/dam/commercial/specialty/spinraza/caregiver/en_us/pdf/spinraza-prescribing-information.pdf. Accessed: February 2024.
  4. Core Data sheet, Version 13, October 2021. SPINRAZA. Biogen Inc, Cambridge, MA.

* 臨床アウトカムとニューロフィラメントは、中間解析時点で少なくとも6カ月以上の治療を受けることができた29名の参加者を対象として分析されました。ニューロフィラメントの平均値の変化はベースラインと183日目の評価を受けた方が含まれ、SMN2遺伝子が3コピーの群での平均値変化は参加者数が少ないため含まれていません。安全性データ報告には、少なくとも1回のスピンラザ投与を受けたすべての参加者(n=38)が含まれています。

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