本資料は、米バイオジェン社が 2025年9 月24 日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

「レケンビ®」(レカネマブ)、オーストラリアにおいて、早期アルツハイマー病治療剤として承認を取得

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq:BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:Christopher A. Viehbacher、以下 バイオジェン)は、このたび、ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体モノクローナル抗体「レケンビ®」(一般名:レカネマブ)について、オーストラリア医療製品管理局(TGA:Therapeutic Goods Administration)が、ApoEε4*が非保有またはヘテロ接合体を持つ成人におけるアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症(総称して早期AD)の治療剤として承認したことをお知らせします。

 エーザイは、早期AD当事者様の治療薬としてレカネマブを承認しないとした2025年2月のTGAの決定を受けて、2025年3月に行政審査裁判所(Administrative Review Tribunal)に審査を求めました。本議論の結果、TGAとエーザイは、今回の「レケンビ」の承認に向けた合意に至りました。

 オーストラリアにおける認知症当事者数は2024年で約42.5万人と推定され、2065年には、約110万人に増加すると報告されています1。ADは認知症の最も一般的な原因とされ、通常、認知症全体の60~70%を占めるとされています2。ADは、Aβとタウを病理上の特徴とし、Aβプラーク沈着前に始まり、プラーク除去後も継続する進行性の神経変性プロセスを有する疾患です3, 4, 5。「レケンビ」は、毒性を有するプロトフィブリル**とアミロイドプラーク2の双方をターゲットとする唯一のAD治療剤で、その後のタウ蓄積にも影響を与えることが期待されます。

 レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

* ApoE(アポリポプロテインE)は、人間の脂質代謝に関与するタンパク質で、ADに関与していると考えられています。ApoEε4遺伝子を1つだけ持つ人(ヘテロ接合体)やApoEε4遺伝子を持たない人(非保有者)は、ApoEε4遺伝子を2つ持つ人(ホモ接合体)よりもARIAを発症する可能性が低くなります。ARIAは、脳の腫れや出血を引き起こす可能性のある、レカネマブの重要な副作用とされています6,7
**プロトフィブリルは、ADによる脳損傷に寄与し、この進行性の深刻な疾患の認知機能低下に主な役割を果たす、最も毒性が高いAβ種であると考えられています。プロトフィブリルは脳内の神経細胞の損傷を引き起こし、その結果、複数のメカニズムを介して認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります3。そのメカニズムとして、不溶性Aβプラークの発生を増加させるだけでなく、神経細胞やその他の細胞間のシグナル伝達に直接的な損傷を起こすことも報告されています。プロトフィブリルを減らすことで、神経細胞への損傷や認知機能障害を軽減させ、ADの進行を防ぐ可能性があると考えられています4

参考資料

1. レカネマブについて
 「レケンビ」(一般名:レカネマブ、米国ブランド名:「LEQEMBI®」)は、バイオアークティックとエーザイの共同研究から得られた、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体です。プロトフィブリルは、ADによる脳損傷に寄与し、この進行性の深刻な疾患の認知機能低下に主な役割を果たす、最も毒性が高いAβ種であると考えられています。プロトフィブリルは脳内の神経細胞の損傷を引き起こし、その結果、複数のメカニズムを介して認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります。そのメカニズムとして、不溶性Aβプラークの発生を増加させるだけでなく、神経細胞やその他の細胞間のシグナル伝達に直接的な損傷を起こすことも報告されています。プロトフィブリルを減らすことで、神経細胞への損傷や認知機能障害を軽減させ、ADの進行を防ぐ可能性があると考えられています3,4,5

 「レケンビ」は、日本、米国、中国、欧州(EU)、韓国、台湾、サウジアラビア等、50の国と地域で承認を取得しており、8カ国で申請中です。18カ月間の隔週投与による初期治療後の4週に1回のIV維持投与について、米国において承認を取得し、9つの国と地域で申請中です。「レケンビ」のこれらの国における承認は、エーザイが実施したグローバル臨床第Ⅲ相試験であるClarity AD試験のデータ等に基づくものであり、本試験でレカネマブは主要評価項目とすべての主要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成しました7, 8
 2025年8月、米国において皮下注射製剤「LEQEMBI IQLIK」による維持投与の承認を取得し、2025年9月、米国において、「LEQEMBI IQLIK」による初期治療からの投与を可能とする段階的申請も開始しました。

 今回のTGAによる承認は、エーザイが実施したグローバル臨床第Ⅲ相試験であるClarity AD試験のデータ等に基づくものであり、本試験でレカネマブは主要評価項目とすべての主要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成しました7, 8。Clarity AD試験は、脳内アミロイド病理が確認された早期AD(ADによるMCIまたは軽度認知症)の被験者1,795 名を対象とした、18カ月間のプラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化、グローバル臨床第Ⅲ相試験であり、そのうち1,521名がオーストラリアの適応として承認された対象集団(ApoEε4が非保有またはヘテロ接合体)でした6。被験者は、レカネマブ投与群またはプラセボ投与群に1:1で割り付けられ、レカネマブ投与群にはレカネマブ10mg/kgが2週間ごとに投与されました6
 Clarity AD試験では、オーストラリアにおける適応の対象集団において、18カ月間のレカネマブ(n=757)による治療により、プラセボ(n=764)と比較して主要評価項目であるCDR-SBで臨床症状の悪化を33%抑制しました6。CDR-SBは、記憶、見当識、判断力と問題解決、地域社会の活動、家庭状況と趣味、身の回りの世話の6項目について評価する全般臨床症状の評価指標です。
 安全性に関して、早期ADを対象としたClarity AD試験のコア試験において、最も頻度の高い有害反応は、Infusion reaction(26%)、ARIA-H(14%)、ARIA-E(13%)、および頭痛(11%)でした。最も重要な重篤な有害反応は、重篤なARIA-E(0.8%)、重篤なARIA-H(0.2%)およびInfusion reactionを含む重篤な過敏症(1.3%)でした6
 オーストラリアの適応として承認された対象集団であるApoEε4が非保有またはヘテロ接合体の被験者(n=757)において、レカネマブ投与群ではARIA(ARAI-EまたはARIA-H)は17%で発現し、プラセボ群では7%で発現しました。レケンビ投与群の2%で症候性ARIAが発現し、0.5%で重篤なARIAが報告されました。ARIA-Eは、レケンビ投与群の9%で発現し、プラセボ群の1%で発現しました。ARIA-Hは治療に関係なく、AD当事者で自然に発生することがあります。レケンビ投与群の13%でARIA-Hが発現し、プラセボ群の7%で観察されました6

 2020年7月から、臨床症状は正常で、ADのより早期ステージにあたる脳内Aβ蓄積が境界域レベルおよび陽性レベルのプレクリニカルADを対象とした臨床第Ⅲ相試験(AHEAD 3-45試験)を米国のADおよび関連する認知症の学術的臨床試験のための基盤を提供するAlzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)とのパブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)で行っています。ACTCは、National Institutes of Health傘下の National Institute on Aging による資金提供を受けています。また、2022年1月から、セントルイス・ワシントン大学医学部(米国ミズーリ州セントルイス)が主導する優性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(Dominantly Inherited Alzheimer Network Trials Unit、以下DIAN-TU)が実施する優性遺伝アルツハイマー病(DIAD)に対する臨床試験(Tau NexGen 試験)が進行中です。本試験において、レカネマブは抗Aβ療法による基礎療法として選定されました。

2. エーザイとバイオジェンによるAD領域の提携について
 エーザイとバイオジェンは、AD治療剤の共同開発・共同販売に関する提携を2014年から行っています。レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

3. エーザイとバイオアークティックによるAD領域の提携について
 2005年以来、エーザイとバイオアークティックはAD治療剤の開発と商業化に関して長期的な協力関係を築いてきました。エーザイは、レカネマブについて、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるADを対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を取得しています。2015年5月にレカネマブのバックアップ抗体の開発・商業化契約を締結しました。

4. エーザイ株式会社について
 エーザイ株式会社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
 また、当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧に向けた活動に世界のパートナーと連携して積極的に取り組んでいます。
 エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。SNSアカウントXLinkedInFacebookでも情報公開しています。

5. バイオジェン・インクについて
 1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。
 バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体XLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

参考文献
  1. Dementia in Australia https://www.aihw.gov.au/reports/dementia/dementia-in-aus/contents/population-health-impacts-of-dementia/prevalence-of-dementia
  2. World Health Organization. Dementia Fact Sheet. March 2023. Available at: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/dementia.
  3. Amin L, Harris DA. Aβ receptors specifically recognize molecular features displayed by fibril ends and neurotoxic oligomers. Nat Commun. 2021;12:3451. doi:10.1038/s41467-021-23507-z
  4. Ono K, Tsuji M. Protofibrils of Amyloid-β are Important Targets of a Disease-Modifying Approach for Alzheimer's Disease. Int J Mol Sci. 2020;21(3):952. doi: 10.3390/ijms21030952. PMID: 32023927; PMCID: PMC7037706.
  5. Hampel H, Hardy J, Blennow K, et al. The amyloid pathway in Alzheimer's disease. Mol Psychiatry. 2021;26(10):5481-5503.
  6. LEQEMBI Product Information in Australia
  7. van Dyck. C, et al. Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease. The New England Journal of Medicine. DOI: 10.1056/NEJMoa2212948. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212948
  8. Eisai presents full results of lecanemab Phase 3 confirmatory Clarity AD study for early Alzheimer's disease at Clinical Trials on Alzheimer's Disease (CTAD) conference. Available at: https://www.eisai.co.jp/news/2022/news202285.html
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