本資料は、米バイオジェン社が 2025年11月13日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

早期アルツハイマー病治療剤「レケンビ®」(レカネマブ)の静注維持投与、英国において承認を取得

      エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役 CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq:BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:クリストファー A. ヴィーバッハー、以下 バイオジェン)は、このたび、ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体モノクローナル抗体「レケンビ®」(一般名:レカネマブ)について、英国において医薬品医療製品規制庁(MHRA)より、4週に1回投与の静注(IV)維持投与が承認されたことをお知らせします。

      英国において、「レケンビ」は、2024年8月にApoEε4*ステータスがヘテロ接合体または非保有である成人におけるアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症(総称して早期AD)の治療を適応として承認され、今回の承認により、18カ月間の10mg/kgの隔週投与による初期治療後、10mg/kgの4週に1回の維持投与レジメンに移行することができます。

      ADは、アミロイド β 凝集体からなるアミロイドプラーク(老人斑)およびタウ蛋白の脳内 の沈着物から形成される神経原線維変化を病理上の特徴とし、プラーク沈着前に始まり、プラーク除去後も継続する進行性の神経変性プロセスを有する疾患です1,2。神経変性にはアミロイド β プロトフィブリル**とタウの関与があるとされ2,3、「レケンビ」は、プロトフィブリルとプラークの双方をターゲットとする唯一のAD治療剤であり、その後のタウ蓄積にも影響を与えることが期待されます。

      ADの治療は中止すると、バイオマーカーの再上昇が生じ、臨床上の疾患進行の速度がプラセボ群と同等になると報告されています3-5。そのため18カ月の初期治療後も維持治療を継続することは、ADの進行を遅らせ治療効果を延長させるために重要であり、当事者様が自分らしい生活をより長く続けることに貢献することが期待されています。

      英国における認知症の当事者数は98.2万人と推定されており、そのうち約6~7割は、ADであると見積もられています。AD当事者様数は、今後高齢化の進展と共に増加していくと考えられています6, 7

      レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

* ApoE(アポリポプロテインE)は、人間の脂質代謝に関与するタンパク質で、ADに関与していると考えられています。ApoEε4遺伝子を1つだけ持つ人(ヘテロ接合体)やApoEε4 遺伝子を持たない人(非保有者)は、ApoEε4 遺伝子を2つ持つ人(ホモ接合体)よりもARIAを発症する可能性が低くなります
**プロトフィブリルは、ADによる脳損傷に寄与し、この進行性の深刻な疾患の認知機能低下に主な役割を果たす、最も毒性が高いAβ種であると考えられています。プロトフィブリルは脳内の神経細胞の損傷を引き起こし、その結果、複数のメカニズムを介して認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります3。そのメカニズムとして、不溶性Aβプラークの発生を増加させるだけでなく、神経細胞やその他の細胞間のシグナル伝達に直接的な損傷を起こすことも報告されています。プロトフィブリルを減らすことで、神経細胞への損傷や認知機能障害を軽減させ、ADの進行を遅らせる可能性があると考えられています4

参考資料

1.  レケンビについて
      「レケンビ」(一般名:レカネマブ、米国ブランド名:「LEQEMBI」)は、バイオアークティックとエーザイの共同研究から得られた、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体です。
      「レケンビ」は、日本、米国、中国、欧州(EU)、韓国、台湾、サウジアラビア等、51の国と地域で承認を取得しており、9カ国で申請中です。18カ月間の隔週投与による初期治療後の4週に1回のIV維持投与について、英国のほか、米国、中国などにおいて承認を取得し、4つの国と地域で申請中です。「レケンビ」のこれらの国における承認は、エーザイが実施したグローバル臨床第Ⅲ相試験であるClarity AD試験のデータ等に基づくものであり、本試験でレカネマブは主要評価項目とすべての主要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成しました1。米国において、2025年8月に皮下注射製剤「LEQEMBI IQLIK」による維持投与の承認を取得し、2025年9月に「LEQEMBI IQLIK」による初期治療からの投与を可能とする段階的申請も開始しました。

      2020年7月から、臨床症状は正常で、ADのより早期ステージにあたる脳内Aβ蓄積が境界域レベルおよび陽性レベルのプレクリニカルADを対象とした臨床第Ⅲ相試験(AHEAD 3-45試験)を米国のADおよび関連する認知症の学術的臨床試験のための基盤を提供するAlzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)とのパブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)で行っています。ACTCは、National Institutes of Health傘下の National Institute on Aging による資金提供を受けています。また、2022年1月から、セントルイス・ワシントン大学医学部(米国ミズーリ州セントルイス)が主導する優性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(Dominantly Inherited Alzheimer Network Trials Unit、以下DIAN-TU)が実施する優性遺伝アルツハイマー病(DIAD)に対する臨床試験(Tau NexGen 試験)が進行中です。本試験において、レカネマブは抗Aβ療法による基礎療法として選定されました。

2.  エーザイとバイオジェンによるAD領域の提携について
      エーザイとバイオジェンは、AD治療剤の共同開発・共同販売に関する提携を2014年から行っています。レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

3.  エーザイとバイオアークティックによるAD領域の提携について
      2005年以来、エーザイとバイオアークティックはAD治療剤の開発と商業化に関して長期的な協力関係を築いてきました。エーザイは、レカネマブについて、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるADを対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を取得しています。2015年5月にレカネマブのバックアップ抗体の開発・商業化契約を締結しました。

4.  エーザイ株式会社について
      エーザイ株式会社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
      また、当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧に向けた活動に世界のパートナーと連携して積極的に取り組んでいます。
       エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。SNSアカウントXLinkedInFacebookでも情報公開しています。

5.  バイオジェン・インクについて
      1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。
      バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体XLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

参考文献
  1. Iwatsubo T, Irizarry M, van Dyck C, Sabbagh M, Bateman RJ, Cohen S. Clarity AD: a phase 3 placebo-controlled, double-blind, parallel-group, 18-month study evaluating lecanemab in early Alzheimer's disease. Presented at: CTAD Conference; November 29-December 2, 2022; San Francisco, CA.
  2. Hampel H, Hardy J, Blennow K, et al. The amyloid-β pathway in Alzheimer's disease. Mol Psychiatry. 2021;26(10):5481-5503.
  3. Amin L, Harris DA. Aβ receptors specifically recognize molecular features displayed by fibril ends and neurotoxic oligomers. Nat Commun. 2021;12:3451. doi:10.1038/s41467-021-23507-z
  4. Ono K, Tsuji M. Protofibrils of Amyloid-β are Important Targets of a Disease-Modifying Approach for Alzheimer's Disease. Int J Mol Sci. 2020;21(3):952. doi: 10.3390/ijms21030952. PMID: 32023927; PMCID: PMC7037706
  5. Eisai presents long-term administration data of lecanemab at the Alzheimer's Association International Conference (AAIC) 2024. Available at:
    https://www.eisai.co.jp/ir/library/presentations/pdf/4523_240731_1.pdf
  6. Alzheimer’s Society. 2024. The economic impact of dementia. Available at:
    https://www.alzheimers.org.uk/about-us/policy-and-influencing/dementia-scale-impact-numbers. Last accessed: August 2024.
  7. World Health Organization. 2023. Dementia. Available at: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/dementia. Last accessed: August 2024
  8. van Dyck, C.H., et al. Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease. New England Journal of Medicine. 2023;388:9-21. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212948
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