本資料は、米バイオジェン社が 2025年12月2日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

「レケンビ®」によるCSF中の神経毒性を有するAβプロトフィブリルに対する薬理学的効果に関する最新データをCTAD2025において発表

 

      エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq:BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:クリストファー A. ヴィーバッハー、以下 バイオジェン)は、このたび、第18回アルツハイマー病臨床試験会議(Clinical Trials on Alzheimer’s Disease Conference:CTAD)において、抗Aβプロトフィブリル*抗体であるレカネマブ(一般名、製品名「レケンビ®」)による脳脊髄液(CSF)中のAβプロトフィブリル(PF)に対する薬理学的効果に関する最新知見を発表しましたのでお知らせします。今回の知見は、大規模試験の結果に基づき、レカネマブのPFへの結合がCSFによって測定可能であることを初めて示したものであり、レカネマブがアルツハイマー病(AD)の進行を抑制する作用機序に対する理解をさらに深めるものです。

      ADは、Aβおよびタウを病理上の特徴とし、プロトフィブリルが惹起し、Aβプラーク沈着前に始まり、プラーク除去後も継続する神経変性プロセスによって引き起こされる進行性の疾患です1,2,3。「レケンビ」は、プロトフィブリルとアミロイドプラークの双方をターゲットとする唯一のAD治療剤で、その後のタウ蓄積にも影響を与えることが期待されます。

      レカネマブの臨床第Ⅲ相Clarity AD試験におけるCSFサブコホート(n=410)を対象に、PFに対する超高感度アッセイを用いて、CSF中の総PF濃度を定量しました。プラセボ群(自然経過)とレカネマブ群のベースライン(投与開始前)からの変化を比較し、PFの変化と神経変性バイオマーカーとの関連性を解析しました。
      CSF中の総PF濃度は、プラセボ群では12カ月時点で19%、18カ月で29%増加したのに対し、レカネマブ投与群では12カ月時点で59%、18カ月時点で45%増加しました。12カ月の時点のレカネマブ投与群における総PF濃度の増加には、プラセボ群と比較して、統計学的な有意差が見られました(p=0.0126)。

      レカネマブ投与によりCSF中の総PFの増加が観察されるのは、レカネマブがPFに結合し(ターゲットエンゲージメント)、脳実質内のAβプラークの周辺からCSFへのPFの移動を促進していること(薬力学的効果)を示唆しています。これは、レカネマブがPFを脳実質外へ移動させることで、その毒性作用を軽減するという期待された効果を発揮していることを示唆しています。

      また、プラセボ群では、CSF中のPFのベースラインからの変化と、神経変性バイオマーカー(総タウ、ニューログラニン)並びにタウ病理バイオマーカー(p-tau181、MTBR-tau243**)のベースラインからの変化には、統計学的に有意な正の相関が見られました。一方、レカネマブ投与群では、CSF中のPFとこれらのバイオマーカーとの間に有意な相関は見られませんでした。このことから、レカネマブがPFに結合することで神経毒性を減少させていることが示唆されました。

      今回発表されたこれらの知見は、レカネマブが、神経毒性を有するPFとAβプラークの双方をターゲットとする唯一のAD治療剤として、タウPET画像におけるタウの蓄積をより緩やかにすることを裏付けるものです。

      レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

* プロトフィブリルは、ADによる神経障害に寄与し、この進行性の深刻な疾患の認知機能低下に主な役割を果たす、最も毒性が高いAβ種であると考えられています。プロトフィブリルは脳内の神経細胞の変性を引き起こし、その結果、複数のメカニズムを介して認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります。そのメカニズムとして、不溶性Aβプラークの発生を増加させるだけでなく、神経細胞やその他の細胞間のシグナル伝達に直接的な損傷を起こすことも報告されています。プロトフィブリルを減らすことで、神経細胞の変性や認知機能障害を軽減させ、ADの進行を防ぐ可能性があると考えられています

** MTBR-tau243は、タウタンパク質の243番残基と微小管結合領域を含むタウ断片で構成される新規バイオマーカーであり、ADの重要な病理像である神経原線維変化の形成過程で生じると考えられています。また、タウPETとも高い相関があることが示されています

以上

参考資料

1.  「レケンビ」について
      「レケンビ」(一般名:レカネマブ)は、バイオアークティックとエーザイの共同研究から得られた、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体です。「レケンビ」は、日本、米国、中国、欧州(EU)、韓国、台湾、サウジアラビア等、51の国と地域で承認を取得しており、9カ国で申請中です。2023年9月に日本において「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能・効果で承認を取得しています。18カ月間の隔週投与による初期治療後の 4 週に 1 回の IV 維持投与について、米国、中国、英国等において承認を取得し、4つの国と地域で申請中です。2025年8月に米国において皮下注製剤「LEQEMBI IQLIK」による維持投与の承認も取得し、9月に初期治療の生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の段階的申請を、Fast Track指定のもとで開始し、11月に完了しました。2025年11月に、日本において皮下注製剤の申請を行いました。

      2020年7月から、臨床症状は正常で、ADのより早期ステージにあたる脳内Aβ蓄積が境界域レベルおよび陽性レベルのプレクリニカルADを対象とした臨床第Ⅲ相試験(AHEAD 3-45試験)を米国のADおよび関連する認知症の学術的臨床試験のための基盤を提供するAlzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)とのパブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)で行っています。ACTCは、National Institutes of Health傘下のNational Institute on Agingによる資金提供を受けています。また、2022年1月から、セントルイス・ワシントン大学医学部(米国ミズーリ州セントルイス)が主導するDominantly Inherited Alzheimer Network Trials Unitが実施する顕性遺伝アルツハイマー病(DIAD)に対する臨床試験(Tau NexGen試験)が進行中です。本試験において、レカネマブは抗Aβ療法による基礎療法として選定されました。

2.  エーザイとバイオジェンによるAD領域の提携について
      エーザイとバイオジェンは、AD治療剤の共同開発・共同販売に関する提携を2014年から行っています。レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

3.  エーザイとバイオアークティックによるAD領域の提携について
      2005年以来、エーザイとバイオアークティックはAD治療剤の開発と商業化に関して長期的な協力関係を築いてきました。エーザイは、レカネマブについて、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるADを対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を取得しています。2015年5月にレカネマブのバックアップ抗体の開発・商業化契約を締結しました。

4.  エーザイ株式会社について
      エーザイ株式会社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
      また、当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧に向けた活動に世界のパートナーと連携して積極的に取り組んでいます。
       エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。SNSアカウントXLinkedInFacebookでも情報公開しています。

5.  バイオジェン・インクについて
      1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。
      バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体XLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

参考文献
  1. Iwatsubo T, Irizarry M, van Dyck C, Sabbagh M, Bateman RJ, Cohen S. Clarity AD: a phase 3 placebo-controlled, double-blind, parallel-group, 18-month study evaluating lecanemab in early Alzheimer's disease. Presented at: CTAD Conference; November 29-December 2, 2022; San Francisco, CA.
  2. Hampel H, Hardy J, Blennow K, et al. The amyloid-β pathway in Alzheimer's disease. Mol Psychiatry. 2021;26(10):5481-5503.
  3. Amin L, Harris DA. Aβ receptors specifically recognize molecular features displayed by fibril ends and neurotoxic oligomers. Nat Commun. 2021;12:3451. doi: 10.1038/s41467-021-23507-z.
  4. Ono K, Tsuji M. Protofibrils of Amyloid-β are Important Targets of a Disease-Modifying Approach for Alzheimer’s Disease. Int J Mol Sci. 2020;21(3):952. doi: 10.3390/ijms21030952. PMID: 32023927; PMCID: PMC7037706.
  5. Horie et al., CSF MTBR-tau243 is a specific biomarker of tau tangle pathology in Alzheimer’s disease. Nat Med 29, 1954–1963 (2023). https://doi.org/10.1038/s41591-023-02443-z
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