本資料は、米バイオジェン社が 2026年3月4日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

The New England Journal of Medicine ドラベ症候群で初めて疾患修飾の可能性を示すデータを掲載

 

–Zorevunersenでドラベ症候群の根本的原因を標的とすることで、この希少かつ重篤な遺伝性神経発達疾患の患者さんアウトカムを改善する可能性–
–本データは進行中の国際共同第Ⅲ相EMPEROR試験を支持–

マサチューセッツ州ケンブリッジおよび同州ベドフォード、2026年3月4日 – バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)および、RNA医薬によって人体の可能性を引き出し、タンパク質の発現を回復させることに取り組むバイオテクノロジー企業であるストーク・セラピューティクス・インク(Stoke Therapeutics, Inc. NASDAQ略称STOK、以下ストーク社)は、開発中のzorevunersenの臨床試験データがThe New England Journal of Medicine (NEJM) に掲載されたことを発表しました。掲載されたのは完了した第I/IIa相試験と進行中のオープンラベル継続(OLE)試験の2つの試験結果で、ドラベ症候群において初めての疾患修飾薬となる可能性を示しました。これらのデータはけいれん発作の大幅かつ持続的な減少と、認知および行動に関する複数の指標に及ぶ改善を示しましたが、それらは第I/IIa相試験の治療期間に始まり、OLEsでの3年間の追加治療期間を通じて継続しました。これらの効果は標準治療の抗けいれん薬(ASMs)に加えてzorevunersenの治療を受けた患者さんで示されました。

ドラベ症候群は重度の発達性てんかん性脳症(DEE)で、患者さんは重度の反復性発作を経験し、2歳前後で神経発達が停滞します。ドラベ症候群の小児は、成長するに伴い発達マイルストーン達成において同年齢の神経学的に標準的な小児との差がますます大きくなります。現在、ドラベ症候群に対する承認された疾患修飾治療薬はありません。

NEJM誌に掲載された論文の責任著者で、チャイルドヘルスユニバーシティカレッジ・オブ・ロンドン・グレートオーモンドストリート・インスティチュートの小児てんかん学プリンス・オブ・ウェールズ教授兼所長、グレートオーモンドストリート病院小児神経科学名誉コンサルタントであるヘレン・クロス博士(Helen Cross, MB ChB, Ph.D.)は次のように述べています。「これらのデータはドラベ症候群治療のターニングポイントになる可能性を有しています。てんかん発作の減少が極めて重要なことに変わりはありませんが、これらの試験で見られた認知、行動、およびQOLの改善はこの疾患の予後、すなわち患者さんとご家族の人生を変える可能性を示唆するものです」。

ドラベ症候群基金のチーフ・エグゼクティブ・オフィサーを務めるメアリー・アン・メスキス氏(Mary Anne Meskis)は次のように述べています。「25年以上前に私の息子がてんかん発作を起こし始めた頃の私たち家族と同様に、ドラベ症候群は何の前触れもなく家族を襲います。長い年月をかけて認知度や診断、治療は大きく進歩しましたが、ドラベ症候群を取り巻く現実は厳しいままであり、患者や家族の人生を一変させるものです。私の息子のような人々が一人で服を着られるようになるとか、両親とより良いコミュニケーションをとることを助けてくれる治療薬は、日々の生活のリズムや質を大きく変えてくれます」。

有効性の結果
第I/IIa相試験はzorevunersenの最大投与量70 mgまでの単回投与および複数回投与を評価したもので、安全性を主要評価項目としました。大運動性発作頻度の変化は副次的評価項目として評価されました。てんかん発作の大幅な減少が第I/IIa相試験のzorevunersen治療群で観察され、OLEsの3年間にわたって継続しました。発作頻度が最も大きく減少したのは第I/IIa相試験で投与開始用量が70mgの被験者でした。

被験者全員の神経発達、機能性、臨床状態およびQOLの変化は、追加的評価項目としてOLEsで標準的な臨床評価項目を用いて評価されました。コミュニケーション、運動スキル、社会性、日常生活、およびQOLの改善が3年間の追加治療期間を通じて継続しました。

安全性データのサマリー
Zorevunersenは第I/IIa相試験およびOLE試験を通じて総じて高い忍容性を示しました。81名の被験者が少なくとも1回のzorevunersenの投与を受け安全性が評価され、これらの試験を通じてこれまでに800回以上の投与が行われました。最も多い治療薬関連の有害事象は脳脊髄液(CSF)タンパク質の上昇で、OLE試験においてより高い頻度で観察されました(44%, n=33/75)。関連する臨床症状は認められませんでしたが、1名の被験者がCSFタンパク質レベルの上昇により治療を中止しました。全ての重症の有害事象はzorevunersenとの関連が無いと評価されましたが、1名の被験者が予期せぬ重症の有害事象疑い(SUSARs)を経験しました。

ストーク社のチーフ・メディカル・オフィサーであるバリー・ティチョ氏(Barry Ticho, M.D., Ph.D.)は次のように述べています。「25年前にドラベ症候群の遺伝子的原因が発見されたことで、研究者のこの疾患に対する考え方や治療法が変わりました。根本的な遺伝子的原因を標的とすることで、zorevunersenはドラベ症候群に対する初の疾患修飾治療薬となる可能性を有しています。私たちは2027年中頃に予定されている第III相EMPEROR試験の結果を楽しみにしています」。

バイオジェンの治療薬開発ユニットのトップを務めるキャサリン・ドーソン氏(Katherine Dawson, M.D.)は次のように述べています。「今回のNEJM誌への論文掲載はドラベ症候群の深刻さに対する深い認識と、この疾患の治療法を変革する新たなアプローチの可能性を示すものです。バイオジェンは10年以上にわたり最も希少性が高く過酷で顧みられない疾患に対する最先端の研究を推進しており、他に類を見ないこの初の治療薬候補でストーク社と協働できることを誇りに思います」。

“Zorevunersen in Children and Adolescents with Dravet Syndrome”と題された論文の全文は3月5日発行のThe New England Journal of Medicineに掲載されています。

ドラベ症候群について
ドラベ症候群は、反復性発作と重大な認知および行動障害を特徴とする重度の発達性てんかん性脳症(DEE)です。ドラベ症候群のほとんどの症例はSCN1A遺伝子の1コピーの変異が原因であり、脳の神経細胞におけるNaV1.1タンパク質のレベルが不十分になります。90%以上の患者さんは既存の最良の抗けいれん薬による治療にもかかわらず発作が継続します。ドラベ症候群の合併症はしばしば患者さんや介護者のQOLの低下を招きます。発達障害や認知障害は、多くの場合知的障害、発育遅延、運動や平衡障害、言語および発話障害、成長障害、睡眠異常、自律神経系の失調、気分障害を含みます。一般的なてんかん患者の集団と比較して、ドラベ症候群の患者はてんかんによる予期せぬ突然死(SUDEP)のリスクがより高く、ドラベ症候群の小児および青少年の患者の最大20%がSUDEP、長引く発作、発作に関連する事故や感染症により成人に達する前に死亡します1。ドラベ症候群は世界中で発症しており、特定の地域や民族集団に偏在しているわけではありません。現在、米国 (約16,000人)および英国、欧州連合主要4か国、日本を合わせて最多で38,000人がドラベ症候群に罹患していると推計されています2。ドラベ症候群に対する承認されている疾患修飾薬はありません。

Zorevunersenの第I/IIa相およびオープンラベル継続試験について
2つの第I/IIa相オープンラベル多施設共同試験は極めて難治性の高いドラベ症候群の2歳から18歳の患者(N=81)を対象に実施され、zorevunersenの効果を評価しました。主要評価項目は、zorevunersenの単回投与および複数回投与の安全性プロファイル、血漿薬物動態(PK)、CSFへの暴露でした。副次的評価項目は大運動性発作頻度、全般的臨床状態(患者の全体的機能の指標)、QOLのベースラインからの変化率でした。第I/IIa相ADMIRAL試験は神経発達状況(認知および行動)の変化をVineland Adaptive Behavior Scales 第3版(Vineland-3)で測定し評価する探索的評価項目を含みました。これらの第I/IIa相試験は2023年11月に完了しました。

第I/IIa相試験での治療を終え適格基準を満たした被験者は2つのOLEs の1つで4か月ごとにzorevunersen の投与を継続しました。第I/IIa相試験で最後の投与を受けてからOLEの最初の投与を受けるまでに少なくとも6か月の期間が開いていました。主要評価項目はzorevunersenの複数回投与における安全性プロファイルです。副次的評価項目はPKパラメーター、大運動性発作頻度のベースラインからの変化率、全般的な臨床状態の変化、およびQOLのベースラインからの変化です。探索的評価項目として、Vineland-3で測定する神経発達状況の変化があります。OLE試験は継続中です。

第III相EMPEROR試験について
第III相EMPEROR試験(NCT06872125)は国際共同二重盲検シャム対照試験で、機能獲得型に関連しないSCN1A遺伝子変異が確認されたドラベ症候群の小児(2歳以上18歳未満)を対象に、zorevunersenの有効性、安全性、忍容性を評価しました。ストーク社は米国、英国、日本での約150名の被験者登録を2026年第2四半期に完了する予定で、2027年中頃のデータリードアウトに向け順調に進行中でFDAへの新薬承認申請(NDA)が支持される見込みです。さらに少なくとも20名の被験者が2026年第2四半期からドイツ、スペイン、フランス、イタリアで登録される予定です。被験者は8週間のベースライン期間の後、zorevunersenの髄腔内投与群またはシャム対照投与群に1:1の割合で無作為に割り付けられ、52週間の試験投与を受けます。試験投与期間の完了後、適格基準を満たした被験者はOLE試験の一部としてzorevunersenによる治療継続の機会があります。本試験の主要評価項目は28週における大運動性発作頻度のベースラインからの変化率で、zorevunersen群とシャム群を比較します。主な副次的評価項目は大運動性発作頻度に対する効果の持続性、およびVineland-3のサブドメイン(表出性コミュニケーション、受容性コミュニケーション、対人関係、対処スキル、個人スキルを含む)によって測定される行動および認知の改善です。追加の評価項目は、安全性、医師による全般改善度(CGI-C)、介護者による全般改善度(CaGI-C)、およびベイリー乳幼児発達検査(BSID-IV)です。EMPEROR試験についての詳細は https://www.emperorstudy.com/をご覧ください。

ストーク・セラピューティクスについて
ストーク・セラピューティクス(Stoke Therapeutics、NASDAQ略称STOK)は、RNA医薬品で人体が持つ潜在力を活用することで、タンパク質の発現を修復する技術に専念するバイオテクノロジー企業です。特許で保護されているストーク社のTANGO(Targeted Augmentation of Nuclear Gene Output=核遺伝子アウトプットの標的増強)アプローチにより、ストーク社はタンパク質を自然発生の濃度に選択的に回復させるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASOs)を開発しています。ストーク社の開発中の最初の医薬品である、zorevunersenはドラベ症候群の患者において疾患修飾の可能性を示しており、現在第III相試験を通じて評価されています。ストーク社の当初の重点領域は正常なタンパク質濃度が50%程度まで喪失(ハプロ不全)することで発症する中枢神経系および眼病に関連する疾患です。他の臓器、組織、系統でも概念実証が確認されており、同社独自のアプローチの幅広い可能性が支持されています。ストーク社はマサチューセッツ州ベドフォードに本社を置き、同州ケンブリッジにもオフィスを構えています。同社についてのより詳しい情報はhttps://www.stoketherapeutics.com/ をご覧ください。

バイオジェンについて
1978年に設立されたバイオジェンは、数多くの革新的なイノベーションを生み出し、株主や私たちを取り巻くコミュニティに価値を創出するグローバル・バイオテクノロジー企業です。私たちはファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を前進させ、優れた成果を提供するために、人のバイオロジーに対する深い理解を応用していきます。バイオジェンに関する情報については、バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体X, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。

 

参考文献
  1. Symonds, J. et al. Early childhood epilepsies: epidemiology, classification, aetiology, and socio-economic determinants. Brain. 2021;144(9):2879-2891.
  2. Based on Stoke Therapeutics’ preliminary estimates, which scaled annual incidence to prevalence using country-specific live birth rates over the past 85 years and adjusted for Dravet-specific mortality. The estimate is based on incidence rates published by Wu et al., Pediatrics, 2015.
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