本資料は、米バイオジェン社が 2026年3月11日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

バイオジェン、Salanersenの追加データを発表
―遺伝子治療を受けたSMAの小児が運動機能のマイルストーンを達成―

 

  • 新たな第Ib相データは、前治療として遺伝子治療を受けた後、臨床状態が期待に満たず改善の可能性を有するSMAの小児について、1年以上にわたるsalanersenの安全性と有効性を支持
  • Salanersenは年1回の投与でSMAに高い有効性をもたらす可能性のある新規のアンチセンスオリゴヌクレオチド
  • また、バイオジェンは世界各国の施設で開始されている第III相臨床試験プログラムの試験デザインを初めて公表

米国マサチューセッツ州ケンブリッジ – 2026年3月11日 – バイオジェン(NASDAQ略称BIIB)は、脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する開発中の年1回投与の新規アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)salanersenの第Ib相試験の追加データを2026年度筋ジストロフィー協会(MDA)臨床・学術会議で発表しました。本試験は以前に遺伝子治療(オナセムノゲンアベパルボベク-xioi)を受けたにも関わらず臨床状態が期待に満たない小児を対象にsalanersenを評価しました。Salanersenは総じて高い忍容性を示しました。被験者はsalanersenの投与開始後に、神経変性の進行抑制と世界保健機関(WHO)運動マイルストーンの新たな達成を含む機能の改善を経験しました。これらの新しい結果は、2025年度Cure SMAで発表された本試験の中間データを基に、全被験者の少なくとも1年間のフォローアップを含みます。またバイオジェンはsalanersenの第III相臨床試験の試験デザインを発表しました。

ジョンズ・ホプキンス・メディシンの筋ジストロフィー協会クリニックの共同院長であるトーマス・クロフォード医師(Thomas Crawford, M.D.)は次のように述べています。「脊髄性筋萎縮症の治療は非常に大きな進歩を遂げてきましたが、治療の全容においてまだ改善の余地があります。Salanersenがもたらす進展に対して学術的にも臨床的にも大いに期待が高まっています。これらの第I相試験の追加データは、明らかになってきたsalanersenの臨床プロファイルに対してさらなる自信を付け加えてくれます。第III相プログラムの結果を楽しみにする理由がさらに増えました」。

Salanersen第Ib相試験の結果
今回の解析により、少なくとも2回のsalanersen(40 mgまたは80 mg)の投与を受けた全被験者(n=24、生後6ヵ月から12歳)の新たなデータが得られました。80 mgの用量は第III相試験でさらに評価されます。

進行中の神経変性のマーカーであるニューロフィラメント軽鎖(NfL)のベースライン濃度が上昇しており、Salanersenの40 mgと80 mgの投与を受けた被験者で、6ヵ月時点でNfLレベルの意義ある減少(75%)が観察され、これらの減少はフォローアップ期間を通じて持続しました。Salanersenの治療を受けた24人の被験者全員が1つ以上の評価項目でベースラインからの改善を経験しました。特に、24人中12人が少なくとも1つの新たなWHO運動マイルストーンを達成し、全被験者がベースライン時に文書化された運動マイルストーンを維持しました。Salanersenは進行中の第I相試験において、40 mgおよび80 mgともに総じて高い忍容性を示しており、ほとんどの有害事象(AEs)は重症度において軽度から中程度です。本解析時点で40 mg投与群で最も多く発症したAEsは上気道感染症と嘔吐で、80 mg群では発熱と上気道感染症でした。

Salanersenの第III相臨床開発プログラム
またバイオジェンは、SMAを有する幅広い患者を対象にsalanersen 80 mgの年1回投与を評価する第III相臨床開発プログラムの設計概要を発表しました。本プログラムは3つの国際共同試験で構成されています:

  • STELLAR-1: オープンラベル試験で、生後6週未満で、未治療で遺伝学的にSMAと診断され臨床的に発症前の乳児を対象に、salanersenの効果を評価。
  • STELLAR-2: 無作為化二重盲検シャム対照試験で、生後6週以前で、発症前治療としてオナセムノゲンアベパルボベク-xioiの遺伝子治療を受けたSMAを有する乳児を対象に、遺伝子治療後約6ヵ月でsalanersenを開始した場合の効果を評価。
  • SOLAR: オープンラベル試験で、未治療または以前リスジプラムの治療を受けたSMAを有するティーンエイジャーおよび成人(15歳から60歳)に対するsalanersenの効果を評価。

2つのSTELLAR試験は相互補完性を有し、発症前の新生児に対する複数の早期治療戦略(salanersenのみ、遺伝子治療のみ、遺伝子治療にsalanersenを追加)を比較し、SMAに対する将来の治療アプローチについて情報を得るべく設計されています。これらの臨床開発プログラムは既に開始されており、STELLAR-1は被験者スクリーニングを開始、他の試験はSOLARが2026年Q2に、STELLAR-2は2026年Q3に開始予定です。

バイオジェンの神経筋領域開発ユニット長を務めるステファニー・フラデット(Stephanie Fradette, Pharm.D.)は次のように述べています。「第Ib相試験の力強い結果を受けて、私たちはsalanersenの第III相試験であるSTELLAR-1、STELLAR-2、およびSOLARを1日も早く開始しようとしています。私たちはSMAコミュニティとともにこれらの試験を設計し、自信を持ってこの領域に最も関連する問いに答えを導き、今後のSMA治療の全容におけるsalanersenの役割を確立することを目指しています」。  

MDAでの発表に加えて、これらのデータは第5回SMA国際学術会議(2026年度欧州SMA会議)でも発表されます。

Salanersenについて
Salanersen(BIIB115)はSMAを対象に開発中の新規の髄腔内投与アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)です。SalanersenはSMNタンパク質の産生を増加させるためにSMN2 mRNA前駆体のスプライシングを修正するように設計されています。Salanersenには高い効能につながる新規の骨格化学を有し、年1回の投与で高い有効性を示す可能性があります。

Salanersenについて、SMAを有する幅広い患者さんを対象に80 mgの年1回投与の安全性と有効性を評価するために設計された3つの国際共同第III相試験が開始されようとしています。バイオジェンはsalanersenを開発・製造・製品化するためのグローバルな権利を、アイオニス・ファーマシューティカルズ社から供与されています。Salanersenはアイオニス社により創製されました。

脊髄性筋萎縮症(SMA)について
SMAは希少な遺伝子性神経筋疾患で全ての年齢で発症します。その特徴は脊髄および脳幹下部における運動ニューロンの喪失で、進行性の筋萎縮と衰弱をもたらします。1 SMAはSMN1遺伝子の損傷または欠損による生存運動ニューロン(SMN)タンパク質の産生不足により発症し、疾患の重症度は様々です。1 SMAを有する患者の中には座ることができない方、座ることができても歩行できない方、歩行できてもやがてその能力を失う方がいます。2 治療を行わなければ、最も重症度の高いSMAの小児は通常満2歳の誕生日を迎えることができないと言われています。1

SMAは約10,000人の生児出生に1人の割合で発症し、3-6 乳幼児の遺伝子疾患による死亡原因の第1位であり、7 ティーンエイジャーおよび成人の様々な障害の原因となっています。2

バイオジェンについて
1978年に設立されたバイオジェンは、数多くの革新的なイノベーションを生み出し、株主や私たちを取り巻くコミュニティに価値を創出するグローバル・バイオテクノロジー企業です。私たちはファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を前進させ、優れた成果を提供するために、人のバイオロジーに対する深い理解を応用していきます。バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体X, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。

参考文献
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  2. Wadman RI, Wijngaarde CA, Stam M, et al. Muscle strength and motor function throughout life in a cross-sectional cohort of 180 patients with spinal muscular atrophy types 1c–4. Eur J Neurol. 2018;25(3):512-518.
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  4. Jedrzejowska M, Milewski M, Zimowski J, Zagozdzon P, Kostera-Pruszczyk A, Borkowska J, Sielska D, Jurek M, Hausmanowa-Petrusewicz I. Incidence of spinal muscular atrophy in Poland--more frequent than predicted? Neuroepidemiology. 2010;34(3):152-7. doi: 10.1159/000275492. Epub 2010 Jan 15.
  5. Prior TW, Snyder PJ, Rink BD, Pearl DK, Pyatt RE, Mihal DC, Conlan T, Schmalz B, Montgomery L, Ziegler K, Noonan C, Hashimoto S, Garner S. Newborn and carrier screening for spinal muscular atrophy. Am J Med Genet A. 2010 Jul;152A(7):1608-16. doi: 10.1002/ajmg.a.33474.
  6. Sugarman EA, Nagan N, Zhu H, Akmaev VR, Zhou Z, Rohlfs EM, Flynn K, Hendrickson BC, Scholl T, Sirko-Osadsa DA, Allitto BA. Pan-ethnic carrier screening and prenatal diagnosis for spinal muscular atrophy: clinical laboratory analysis of >72,400 specimens. Eur J Hum Genet. 2012 Jan;20(1):27-32. doi: 10.1038/ejhg.2011.134. Epub 2011 Aug 3.
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