本資料は、米バイオジェン社が 2026年3月21日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語訳として発表させていただくものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

 

米国の実臨床における「レケンビ®」(レカネマブ)の長期の治療継続性に関する解析結果をAD/PD™ 2026において発表

 

「レケンビ」実臨床データの解析より、当事者による長期治療継続の選択が判明

      エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq:BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:クリストファー A. ヴィーバッハー、以下 バイオジェン)は、このたび、デンマーク・コペンハーゲンおよびバーチャルで開催された第20回アルツハイマー病・パーキンソン病学会(International Conference on Alzheimer's and Parkinson's Diseases and related neurological disorders:AD/PD™ 2026)において、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体であるレカネマブ(一般名、製品名「レケンビ®」)の静注(IV)治療を受けた当事者の背景および長期の治療継続性(Persistence)を解析した結果を発表したことをお知らせします。本解析の結果、18カ月のレカネマブによる初期療法を完了した大多数の当事者がレカネマブ治療を継続していることが明らかになりました。

      慢性疾患において、実臨床での治療継続率の高さは、より良好な臨床アウトカムや患者満足度と関連していることが報告されています¹,²。レカネマブについては、臨床第Ⅲ相Clarity AD試験において、18カ月のレカネマブ投与を完了した当事者の94%がその後の非盲検長期継続投与試験(OLE)に参加し、治療を継続することを選択しました。OLEにおける4年間にわたるレカネマブの継続投与では、ADNI*(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)データを基にしたアルツハイマー病(AD)の自然経過に対して、継続的なベネフィットが得られていることが示されています。

米国における実臨床下でのレカネマブの治療継続および当事者の背景
(発表:3月20日17時5分 中央ヨーロッパ時間)
      今回発表された解析は、レカネマブの実臨床(リアルワールド データ)における18カ月を超える治療継続率に関する初めての報告です。全米の医療保険請求情報に基づく広範なデータセットであるPurpleLab® CLEAR Claimsデータベースを用いた後ろ向き観察研究であり、レカネマブ治療の長期間の治療継続性を実臨床下で評価することを目的として実施されました。

■ 当事者の背景と投与実績
      本解析の対象は、2023年1月6日から2025年11月30日に本データベースに記録されている、1回以上のレカネマブのIV治療を受けた13,388名のうち、継続的な受診の要件を満たした10,763名としました。ベースライン時における当事者の平均年齢は73.8歳であり、女性の割合が56.5%でした。また、ベースライン時の主な併存疾患は脂質異常症(42.2%)、高血圧(36.9%)でした。平均追跡期間は350.9日、月当たり平均投与回数は1.7回、平均投与間隔は16.4日(中央値14日)であり、推奨されている隔週投与と概ね一致していました。

■ 長期の治療継続性の解析結果
      18カ月を超える長期の治療継続性の評価については、2023年にレカネマブの投与を開始し20カ月の連続フォローが可能であったサブグループ(371名)を対象に、Kaplan–Meier法を用い、投与を継続している当事者の割合の経時的推移を評価しました。その結果、18カ月時点で78.4%、20カ月時点で71.7%、24カ月時点で67.3%の当事者がレカネマブによる治療を継続していました。18カ月時点で治療を継続していた78.4%の当事者の大多数は、18カ月以降の維持投与期間も投与を継続しており、実臨床においてもレカネマブによる高い治療継続率が確認されました。本解析で観察された当事者の背景および投与パターンはClarity AD試験と概ね同様でした。さらに、当事者の比較的高い投薬アドヒアランスが認められていることから、MRIモニタリングの要件や有害事象などは、レカネマブの投与に大きな影響を与えていないことが示唆されました。

      レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

* ADNIは、ADの発症を予測し、治療の有効性を確認する方法を開発するために2005年に開始された臨床研究プロジェクトで、健常高齢者、軽度認知障害(MCI)、軽症AD当事者を対象に、複数年にわたる縦断的観察を実施しています。

以上

参考資料

1. レカネマブ(一般名、製品名「レケンビ」)について
      レカネマブは、バイオアークティックとエーザイの共同研究から得られた、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体です。「レケンビ」は、日本、米国、中国、欧州(EU)、韓国、台湾、サウジアラビア等、53の国と地域で承認を取得しており、6カ国で申請中です。18カ月間の隔週投与による初期療法後の 4 週に 1 回の静注(IV) 維持療法について、米国、中国、英国等、7カ国において承認を取得し、10の国と地域で申請中です。米国において、2025年8月に皮下注製剤「LEQEMBI IQLIK」による維持療法の承認を取得し、2026年1月に初期治療の生物製剤承認一部変更申請(sBLA)が受理されました。本sBLAは優先審査に指定され、PDUFA(Prescription Drug User Fee Act)アクション・デート(審査終了目標日)は 2026年5月24日に設定されました。日本においては、2025年11月に皮下注製剤の申請を行いました。中国においては、2026年1月に皮下注製剤の生物製剤ライセンス申請(BLA)が受理されました。また、2025年12月に中国において国家医療保障局によって新たに発表された「商業健康保険の革新的医薬品リスト」に、IV投与が収載されました。

      Clarity AD試験は、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化グローバル臨床第Ⅲ相試験です。18カ月間のコア試験における、主要評価項目である全般臨床症状の評価指標CDR-SBのレカネマブ群とプラセボ群のベースラインからの平均変化量の差は、-0.45(P=0.00005)でした。CDRスコアにおいて、記憶、地域社会活動、家庭および趣味に関する項目が0.5から1へ変化(悪化)するということは、当事者が自立して最近の出来事を記憶し、日常生活や家事を行い、趣味や知的関心事を楽しむといった能力が、軽度障害の段階から自立した活動が難しくなる段階へ移行することを意味します3,4

      コア試験とそれに続くOLEを通して継続投与を受けた被験者のCDR-SBのベースラインからの平均変化量の差は、ADNIデータを基にしたADの自然経過による低下と比較して、3年間の投与時点では -1.01でしたが、この効果は4年間の投与時点でさらに顕著になり、-1.75までさらに拡大しました。また、BioFINDER**データを基にしたADの自然経過による低下と比較した場合では、3年間投与時点では-1.40でしたが、4年間投与時点で-2.17にまで拡大しました。

      2020年7月から、臨床症状は正常で、ADのより早期ステージにあたる脳内Aβ蓄積が境界域レベルおよび陽性レベルのプレクリニカルADを対象とした臨床第Ⅲ相試験(AHEAD 3-45試験)を米国のADおよび関連する認知症の学術的臨床試験のための基盤を提供するAlzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)とのパブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)で行っています。ACTCは、National Institutes of Health傘下のNational Institute on Agingによる資金提供を受けています。また、2022年1月から、セントルイス・ワシントン大学医学部(米国ミズーリ州セントルイス)が主導する顕性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(Dominantly Inherited Alzheimer Network Trials Unit、以下 DIAN-TU)が実施する顕性遺伝アルツハイマー病(DIAD)に対する臨床試験(Tau NexGen試験)が進行中です。本試験において、レカネマブは抗Aβ療法による基礎療法として選定されました。

** BioFINDERは、スウェーデン・ルンド大学を中心に行われている、神経変性疾患の早期診断と病態解明を目的とした長期間の大規模な前向き研究です。ADの他にもパーキンソン病などの疾患に焦点を当てており、参加者は定期的な臨床評価、認知機能検査、脳のイメージング(MRI、Aβ PET、タウPET)や、血液・脳脊髄液(CSF)バイオマーカーの採取などを受けます。

2. プロトフィブリルについて
      プロトフィブリルは、ADによる脳損傷に寄与し、この進行性の深刻な疾患の認知機能低下に主な役割を果たす、最も毒性が高い可溶性のAβ種であると考えられています。プロトフィブリルは脳内の神経細胞の損傷を引き起こし、その結果、複数のメカニズムを介して認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります5。そのメカニズムとして、不溶性アミロイドプラークの発生を増加させるだけでなく、神経細胞やその他の細胞間のシグナル伝達に直接的な損傷を起こすことも報告されています。プロトフィブリルを減らすことで、神経細胞への損傷や認知機能障害を軽減させ、ADの進行を防ぐ可能性があると考えられています6

3. エーザイとバイオジェンによるAD領域の提携について
      エーザイとバイオジェンは、AD治療剤の共同開発・共同販売に関する提携を2014年から行っています。レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

4. エーザイとバイオアークティックによるAD領域の提携について
      2005年以来、エーザイとバイオアークティックはAD治療剤の開発と商業化に関して長期的な協力関係を築いてきました。エーザイは、レカネマブについて、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるADを対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を取得しています。2015年5月にレカネマブのバックアップ抗体の開発・商業化契約を締結しました。

5. エーザイ株式会社について
      エーザイ株式会社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。また、当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧に向けた活動に世界のパートナーと連携して積極的に取り組んでいます。エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。SNSアカウントXLinkedInFacebookでも情報公開しています。

6. バイオジェン・インクについて
      1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。
      バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体XLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。

参考文献
  1. Guerci B et al. Lack of treatment persistence and treatment nonadherence as barriers to glycaemic control in patients with type 2 diabetes. Diabetes Therapy, 2019; 10(2), 437-449.
  2. Menditto E et al. Persistence as a robust indicator of medication adherence-related quality and performance. International journal of environmental research and public health, 2021; 18(9), 4872.
  3. Cohen S., et al. J Prev Alzheimers Dis.2022;9(3):507-522.
  4. Morris JC. Neurology. 1993;43(11):2412-4.
  5. Amin L, Harris DA. Aβ receptors specifically recognize molecular features displayed by fibril ends and neurotoxic oligomers. Nat Commun. 2021; 12:3451. doi: 10.1038/s41467-021-23507-z.
  6. Ono K, Tsuji M. Protofibrils of Amyloid-β are Important Targets of a Disease-Modifying Approach for Alzheimer’s Disease. Int J Mol Sci. 2020;21(3):952. doi: 10.3390/ijms21030952. PMID: 32023927; PMCID: PMC7037706.
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