米マサチューセッツ州ケンブリッジ、2026年6月4日 — Biogen Inc.(Nasdaq:BIIB、以下「バイオジェン」)は、米国食品医薬品局(FDA)より、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬としてsalanersenのブレークスルーセラピー指定を受けたことを発表しました。ブレークスルーセラピー指定は、重篤な疾患の治療を目的とし、かつ初期段階の臨床エビデンスにより、臨床的に意義をもつ評価項目において既存治療に比べて著しい改善を実現する可能性が示唆される医薬品について、開発および審査の迅速化を図る制度です。Salanersenは、開発中の新規アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であり、年1回投与により、SMAに対して高い有効性をもたらす可能性があります。
テキサス州フラワー・マウンドのNeurology Rare Disease Centerのダイアナ・カストロ医師(Diana Castro, M.D.)は、次のように述べています。「FDAによるsalanersenのブレークスルーセラピー指定は、SMAの未だ満たされていないニーズが存在し、この疾患の影響を受ける方々のために、まだまだできることがあることを示しています。Salanersenの第Ib相試験では、以前に遺伝子治療を受けた小児において、salanersenの投与後に座位や歩行といった重要な機能を獲得するなど、探索的評価項目で予想を上回る改善が認められました。私たちはsalanersenの可能性に大きな期待を寄せており、第III相プログラムの推進に貢献できることを楽しみにしています」。
今回のFDAの判断は、salanersenの第Ib相試験データに基づくものです。これらのデータは、2026年Muscular Dystrophy Association(MDA)Clinical & Scientific Conferenceおよび第5回International Scientific Congress on SMA(SMA Europe 2026)で最近発表されました。先行する遺伝子治療への反応が十分ではなかったSMA患児に対し、年1回投与のsalanersenを投与したところ、運動機能における臨床的に意義のある改善に加え、ニューロフィラメント値の低下により示される神経変性進行の抑制が認められました。Salanersenは本試験において概ね良好な忍容性を示しました。
Cure SMAのPresidentであるケネス・ホビー氏(Kenneth Hobby)は、次のように述べています。「今回の指定は、FDAがSMAへの継続的なコミットメントを示し、salanersenがもたらし得る意義あるインパクトを認識していることを反映しています。これは、SMAには依然として緊急かつ満たされていないニーズがあり、有望な治療法には迅速な前進の道筋が与えられるべきである、と、私たちSMAコミュニティが最近FDAに伝えたことを裏付けるものです」。
バイオジェン 希少神経疾患領域開発部門の責任者であるステファニー・フラデット(Stephanie Fradette, Pharm.D.)は、次のように述べています。「今回の指定は、salanersenが既存治療に対して著しい改善を示す可能性がある、とFDAが判断したことを反映しています。これは、今後のSMA治療におけるsalanersenのポジショニングの確立を目指して第III相試験を進めているバイオジェンのSMAポートフォリオにおいて重要なマイルストーンです」。
Salanersenの第III相臨床開発プログラム
本プログラムは3つの国際共同試験で構成されています:
- STELLAR-1(被験者募集中): オープンラベル試験で、生後6週未満で、未治療で遺伝学的にSMAと診断され臨床的に発症前の乳児を対象に、salanersenの効果を評価。
- SOLAR(被験者募集中): オープンラベル試験で、未治療または以前リスジプラムの治療を受けたSMAを有するティーンエイジャーおよび成人(15歳から60歳)に対するsalanersenの効果を評価。
- STELLAR-2(被験者募集は2026年6月に開始予定)*: 無作為化二重盲検シャム対照試験で、生後6週以前で、発症前治療としてオナセムノゲンアベパルボベク-xioiの遺伝子治療を受けたSMAを有する乳児を対象に、遺伝子治療後約6ヵ月でsalanersenを開始した場合の効果を評価。 (※国内では実施予定なし)
Salanersenについて
Salanersen(BIIB115)はSMAを対象に開発中の新規の髄腔内投与アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)です。SalanersenはSMNタンパク質の産生を増加させるためにSMN2 mRNA前駆体のスプライシングを修正するように設計されています。Salanersenは高い効能につながる新規の骨格化学を有し、年1回の投与で高い有効性を示す可能性があります。
Salanersenについて、SMAを有する幅広い患者さんを対象に80 mgの年1回投与の安全性と有効性を評価するために設計された3つの国際共同第III相試験が開始されようとしています。バイオジェンはsalanersenを開発・製造・製品化するためのグローバルな権利を、アイオニス・ファーマシューティカルズ社から供与されています。Salanersenはアイオニス社により創製されました。
Salanersen 第Ib相試験結果について
第Ib相試験には、参加者24例(年齢0.5~12歳)が組み入れられ、少なくとも2回のsalanersen投与(40 mgまたは80 mg)を受けました。80 mg用量については、第III相試験でさらに評価が進められる予定です。
神経変性の変化を示す可能性のある指標であるニューロフィラメント軽鎖(NfL)のベースライン値が高値であったsalanersen 40 mg群および80 mg群の参加者では、投与6ヵ月時点でNfL値の有意な低下(75%)が認められ、この低下は追跡期間を通じて維持されました。Salanersenの投与を受けた24例すべてにおいて、少なくとも1つの評価項目でベースラインからの改善が認められました。特に、24例中12例がWHO運動マイルストーンを少なくとも1つ新たに達成し、全参加者でベースライン時に確認されていた運動マイルストーンが維持されました。進行中の第I相試験において、Salanersenは40 mgおよび80 mgの両用量で概ね良好な忍容性を示し、有害事象(AE)の多くは軽度から中等度でした。解析時点において、40 mg群で最も多く認められた有害事象は上気道感染および嘔吐であり、80 mg群では発熱および上気道感染でした。
脊髄性筋萎縮症(SMA)について
SMAは希少な遺伝性神経筋疾患で全ての年齢で発症します。その特徴は脊髄および脳幹下部における運動ニューロンの喪失で、進行性の筋萎縮と筋力低下をもたらします。1 SMAはSMN1遺伝子の損傷または欠損による生存運動ニューロン(SMN)タンパク質の産生不足により発症し、疾患の重症度は様々です1 。SMAを有する患者の中には座ることができない方、座ることができても歩行できない方、歩行できてもやがてその能力を失う方がいます。2 治療を行わなければ、最も重症度の高いSMAの小児は通常満2歳の誕生日を迎えることができないと言われています。1
SMAは約10,000人の生児出生に1人の割合で発症し、3-6 乳幼児の遺伝子疾患による死亡原因の第1位であり、7 ティーンエイジャーおよび成人の様々な障害の原因となっています。2
バイオジェンについて
1978年に設立されたバイオジェンは、数多くの革新的なイノベーションを生み出し、株主や私たちを取り巻くコミュニティに価値を創出するグローバル・バイオテクノロジー企業です。私たちはファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を前進させ、優れた成果を提供するために、人のバイオロジーに対する深い理解を応用していきます。バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体X, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
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