「一人じゃない」。家族のサポートや
当事者コミュニティとの繋がりが心の支えに
7歳と4歳、育ち盛りの二人のお子さんのお母さんとして、慌ただしい毎日を送るさなえさん。当時、体に違和感を抱きつつもなかなか確定診断まで辿り着けなかった経験から、「いろんな人に聞いてみる・話してみることが大事」だと、改めて実感していると話します。不安やつらい気持ちをシェアするコミュニティづくりにも挑戦するなど、努力家の一面も覗かせてくれました。
「一人じゃない」。家族のサポートや
当事者コミュニティとの繋がりが心の支えに
7歳と4歳、育ち盛りの二人のお子さんのお母さんとして、慌ただしい毎日を送るさなえさん。当時、体に違和感を抱きつつもなかなか確定診断まで辿り着けなかった経験から、「いろんな人に聞いてみる・話してみることが大事」だと、改めて実感していると話します。不安やつらい気持ちをシェアするコミュニティづくりにも挑戦するなど、努力家の一面も覗かせてくれました。
2019年、長男を出産して6カ月を過ぎたくらいの頃に、突然左目の見えづらさを感じました。元々視力が悪かったので、また視力が落ちたのかな、それか産後の症状かな……と、やり過ごしていました。それからしばらくしたら、次は左足、左手と痺れが出てきて。ママ友に相談してみたら「坐骨神経痛じゃない?」と言われたので、とりあえず整骨院に行き、そこで教えてもらったストレッチをやっていました。特に効果を感じられないままでしたが、実家に帰省したタイミングで、家族ぐるみで長年お世話になっている鍼灸院でハリ治療をしてもらったら痺れが一旦落ち着いて、その後、仕事にも復帰できました。
ただ、左目の見えづらさはずっと続いていました。その頃、こんな出来事が。ある日、いつものように子どもとお散歩していると、何度も通っているはずの道が見慣れない場所に思えて、景色が記憶に全然入ってこないんです。それがとても怖かったのをよく覚えています。
そうした違和感を抱えていた時、見学で訪れた保育園のイベントで、スタッフの方が体調を尋ねてくれたことがありました。何気なく、目の見えづらさや足の痺れがあることなどを話すと、「MRIを撮った方がいい、入院する病気もあるんだよ」と、アドバイスをもらったんです。内心驚きと恐怖を覚えつつも、その時は症状が比較的落ち着いていたので、すぐには受診しませんでした。
当時はとにかく仕事と育児の両立に精一杯で、自分の体調のことは後回し。さらにコロナ禍、第二子の妊娠・出産と続いたのでなおさら……。そんな無理が続いたこともあったのか、2022年末に視野が真っ白になり、手足がこれまでにないほど痺れ、硬直状態になったことで、ようやく大きな病院を受診することに。翌年そのまま入院することになり、2023年3月にMSの診断を受けました。
今も、天候が悪い日は足が重くて、長い時間立っていられなかったり、不安で過剰にイライラしたり落ち込んだりすることがよくあります。でも、そういう時にはしっかり者の小1長男が、「ママ、今しんどいよね。僕が手伝うよ」って気遣ってくれて、家事を率先して手伝ってくれるんです。その優しさには、いつも本当に心が救われます。
また、「NPO法人 MSキャビン」さんの存在を知ったことや、そのSNSを通じてMS患者さんのコミュニティにアクセスできたことも、「私は一人じゃないんだ」と大きな心の支えになりました。その経験から、私と同じように子育てをしながらMSの症状を抱えている方々と繋がり、日々の想いを共有したいと、昨年思い切ってLINE上でオープンチャットを立ち上げてみました。私自身も皆さんの声を聞いて励みになるし、今後誰かの心の拠りどころになれたらいいなと思っています。
撮影:国分真央 MAO KOKUBU
フォトグラファー。東京都出身。広告、PR、CDジャケット、書籍表紙など、
Instagramを中心に幅広く活躍中。